2020年12月12日

独断と偏見によるカナ配列10のスペック比較

【この記事は、キーボード #2 Advent Calendar 2020用に書かれました】
https://adventar.org/calendars/5307

みんな、カナ配列を使おうぜ!

ローマ字より効率がいいカナ配列を使った方が楽なのは、
理屈としては分かるけど、
デフォルトのJISカナ配列は効率が悪いし、
48キーブラインドタッチは困難だ。
だから有志によって、使いやすい/効率のいい新配列が、
あまた作られている。
カナ配列だけで100以上ある、それはそれは広大な沼だ。

この記事は、いい感じのカナ配列10を取り上げ、
スペックを比較することで、カナ配列沼を概観するものです!


デファクトスタンダード、JISカナ配列の策定から今年で40年。
しかしブラインドタッチしにくく(広すぎ)、
効率が悪い(指の動線悪すぎ)ため、
有志達が色々な新しい配列(ローマ字、カナ、漢字直接入力)
をつくっていて、
「新配列」「モダン配列」「代替配列」などと呼ばれてきた。

qwertyローマ字は運指効率が悪い。
だからローマ字系の新配列、
Eucalyn配列やDvorak配列に手を出す人もいる。

しかしどうせなら一打で一カナが出る、
カナ系列のほうが合理的じゃない?
覚えるのはちょっと大変だけど、
その効率性に目覚めたら、
ローマ字で2打3打打つのがめんどくさくてしょうがなくなるよ。

そう、40%キーボードなんて絶対無理、
と最初は言っていたくせに、
使ってみると「手を動かさないから楽」とわかったようにね。
「数字段なんてレイヤーあるからいらないぜ」みたいな感覚だ。

人はどこまでもものぐさになるし、
一回楽を味わったら元に戻れなくなる。
そして思うのだ。「ここは無駄なのでは?」と。


カナ新配列の基本的な考え方は、
「頻度の高いカナを打ちやすいところに、
低いカナは打ちづらいところに」だ。
キーマップと同じだね。

あるいは、
「頻度の高いカナをデフォルトレイヤーに、
低いカナは上のレイヤー(シフトレイヤー)に」だ。
これもキーマップと同じだ。

カナ配列ではレイヤー数を「面」の単位で表す。
たとえば薙刀式は2面、親指シフトや飛鳥配列は3面の配列だ。


また、「連接」というものがある。
日本語には連続しやすいカナとそうでないカナがある。

統計によれば、頻出順に、
「ょう」「てい」「しょ」「って」「ゅう」「して」「ない」「かい」だ。
これらのカナを連続して打ちやすい配置にするのが合理的だ。
たとえば薙刀式では「ない」はMKと片手連続で打ちやすく配置されている。

キーマップで、
エクセル作業用レイヤー、ゲーム用レイヤーなどを作っている人は、
あるショートカット→次に使うショートカットが繋がりやすいように、
指の連続を考えて置いたりするよね。それと同じ。

カナ配列の作者は、日本語におけるカナの出現率(1-gram)、
連接の出現率(2-gram、3…N-gram)の統計データを参考につくっていく。
有名なのはkouyさんの100万字統計。https://kouy.exblog.jp/9731073/


ここで、並べるべき日本語のカナを数えてみよう。

いくつのカナをキーマップに並べればいいだろうか?

ちなみにアルファベットは26、句読点を入れても28。
これが3段10キーの30範囲に並べるのが、
タイプライター以来の考え方。

じゃあカナは?


清音  あいうえお………………… 46個
濁音  がぎぐげご………………… 21個(ヴ含む)
半濁音 ぱぴぷぺぽ………………… 5個
小書き ぁぃぅぇぉゃゅょっゎ… 10個
記号  、。ー………………………  3個(「」などを除く)
拗音  しゃしゅしょ……………… 21個
濁拗音 じゃじゅじょ……………… 12個
半濁拗音 ぴゃぴゅぴょ…………… 3個
計………………………………………… 121個

え? 英語28の4倍?!
ということは、Lower、Raise、Adjustとしても、
4レイヤー(4面)いる。これは厄介だ。

゛゜キーやゃゅょキーとの組み合わせにすれば、
2打になるけど使用カナは減る。
しかし打鍵数を上げるならローマ字と変わらなくなってしまう。
このへんのトレードオフを、
各配列はどう工夫しているか、すこし細かく見てみよう。

(なお、ファ、ティ、ドゥ、ウィ、ヴォなどの、
外来音は省略していることに注意されたい。
日本語というのはいかに複雑な言語であることか。
これで漢字あるんだから、外人はキレていい。
でもこれを30キーとかで打つんだから、日本人もキレていいと思う。
カナ配列は、その仲立ちをしようとするわけだ)



121(+α)個のカナを、どう圧縮して配置するか?
代表的なやり方を見ていくことにしよう。

【シフト(レイヤー)】

まず最初に見るべきところはカナの範囲だ。
何%キーボードか、と同じように、
どれくらいを文字範囲にするかを考える。

上中下段の30キーが手の届く範囲だろう。
QPTYあたりが苦手な人もいる。

小指外も使うか、数字段をさらに含むかは指と相談だ。
親指にカナを配置した配列もあるぞ。

範囲を狭くすれば楽だけど、レイヤーが増える。
範囲を広くすれば、レイヤーは少なくて良い。
これは完全なるトレードオフで、○%キーボードと同じ議論だ。

清音46個のうち、
頻度の高いカナはデフォルトレイヤーに、
頻度の低いカナはシフトレイヤーにおけば、
30+16で2レイヤーに収まる。

1レイヤー48キーにしたのがJISカナ配列。

レイヤーキーを、
親指1キー(スペースキー)で2面にしたのが新JIS配列、薙刀式。

親指キー2つにして3面にしたのが、親指シフト、飛鳥配列、蜂蜜小梅配列。

中指2キー(DK)にしたのが月配列、
中指薬指6キー(SDKLIO)にしたのが新下駄配列。

LowerやRaiseはふつう親指に置くけど、
カナ配列の考え方によれば、
人差し指や中指や薬指でアクセスできるところに置いてもいいんだぜ。


さて、残り80の変化音(濁音、半濁音、小書き、拗音)は、
どうやって打つ方式にする?
レイヤーに単純に積む?
打ち方を変える?
色んなパターンがある。


【濁音、半濁音】26個

濁音は合計10%の出現率で、清音以外で最も出るカナだ。
とくにメジャー濁音(だ、が、じ、ど、で)は、
マイナーな清音(ね、ぬ、む、ろ、など)より、
断然出現率がある。

一番簡単なものは「゛」をつくって、
清音+゛で、濁音とする二打方式。
これを「濁点後置」と呼ぶ。(JISカナ配列、新JIS配列、月配列)

ただJISカナの濁点@位置は最悪だ!
10回に1回も打つと死ぬ!
その反省か、新JISと月はL位置だ。
いずれも左手に濁音になるカナを置いて、
左手→右手と打つパターンを採用し、打ちやすく高速化する工夫がある。


2つ目のアイデアは、
清音と何かを同時押しすると濁音化する「濁音同時」。

逆手の親指レイヤーキーと同時押し: 親指シフト、蜂蜜小梅配列
逆手のFJと同時押し: 薙刀式

清音の位置さえ覚えればOKで、
同時押し一発で出るので楽だよね。


第3の方法は、スパルタンな「清濁別置」。

濁音と清音はそもそも別のカナであり、
頻度も、繋がりやすいカナ連接も違う。
じゃあバラで置いたほうが効率的、と考える。

新下駄、飛鳥が採用していて評価が高い。
そのかわりマスターするハードルも高い。

僕が触ってみた経験だと、
たしかにメジャーな濁音は運指効率が良くなるが、
マイナー濁音(ぞ、ぐ、ぢなど)があまりにも記憶に残らず挫折した。

いろは坂配列は、「清濁部分別置」で、
メジャー濁音「が」「ど」「で」を別置して、
マイナー濁音は同置することで、
記憶負担を減らすことと効率を両立させている。


【小書き】10個 ゃゅょ ぁぃぅぇぉ っ ゎ

ゃゅょは拗音に使われ、出現率は3%。
ぁぃぅぇぉは外来音(ティなど)か、「あぁ」「ねぇ」とかに使われ、
1%未満の出現率。

なので、
ゃゅょは連接のいい位置に別置して、
ぁぃぅぇぉは規則的配置にして覚えやすくしているパターンが多い。

促音「っ」だけはよく使うから、
これだけ単打にしている配列は多い。
「って」「っと」「った」あたりに連接するから、
このあたりの運指が練られている配列は多いぞ。

ちなみに小「ゎ」は、現代語では唯一「シークヮーサー」にしか使われない。
これ豆な。
古語にあった「くゎ」音は、現代語ではカ行に統一されたが、
シークヮーサーは方言だから漏れたんだね。

クオリティーと書くかクォリティーと書くか、
クエスチョンと書くかクェスチョンと書くか、
kwは揺れがある。外人はキレていい。

ちなみにswも「スエット」「スェット」表記があり、
「スェーター」ではなく「セーター」と書く。みんなキレていいぞ。
「ウェットスーツ」?「ウエットスーツ」?
「マカロニウエスタン」?「マカロニウェスタン」?
「ウエストゲート」?「ウェストゲート」?
なんなん日本語…


【拗音】33個

「しょうがない」「ちょっと」などの和語に少々、
漢語の熟語に集中的に出る。「象徴」「終了」とか。
たとえば「集中力」「職業病」は三連続拗音で、
これをローマ字で打つのはわりと大変だ。

簡単なのは、ゃゅょと合わせて二打にする方法。しょ=し、ょと打つ。

新配列の中には、「拗音専用レイヤー」を持つものもある。
「きしちにひみり/ぎじび/ぴ」と「ゃゅょ」の機械的な組合せなのだから、
マトリックス配置したほうが使い易くね?というアイデアだ。
新下駄配列、蜂蜜小梅配列が代表的で、同時押し一発で「しょ」などが出る。

僕はものぐさでそれすら覚えられない、と思ったので、
「使うカナを同時押しすれば拗音になる」
という薙刀式のアイデアにたどり着いた。
(「し」と「よ」を同時押しすると「しょ」になる、など)
濁点と3キー同時押しで濁拗音、
半濁点と3キー同時押しで半濁拗音にする、という画期的なものだ。



カナ配列は、
こうした日本語の特徴を知れば知るほど、
どういう工夫をしてるのか知るほど、面白くなってくる。

ではいよいよ以下の代表的な10のカナ配列を比較して、
議論しよう!




独断と偏見によるカナ配列10の、出場選手紹介ッ!


まずは新配列のッ東西横綱ァァァ!!
スーパースター新下駄配列と、飛鳥配列ッッッッ!

どちらも効率重視の清濁別置!
速度!たまに使ってる人を見る普及率!
どれをとっても、カナ系新配列王者の風格ッ!
新下駄.jpg

すべての1モーラ(濁音、半濁音、小書き、拗音)を、
同時押し1アクションで出せる最高効率の新下駄ッ!
とくに拗音に強いことで有名ッ!
ピアノを奏でるように6シフトキー5面を、同時打鍵で使いこなすッ
同時押しで、常に両手が二の字を作ることから「下駄」の名!!!
だがそのステップの速さは、下駄というより華麗なるタップダンスッ!

飛鳥.jpg

飛鳥は3レイヤー、親指2キーのみとシンプルな範囲!
拗音は2打と割り切ったッ!
この配列独自の同時連続シフト
(同時または押しっぱなしでレイヤー切り替え継続)が、
じっくり考える文章書きには好評だ!!!


三番手に、いきなり薙刀式だあッ!
まさに作者の優遇か、
一番手に出さないところが奥ゆかしいと思っている、
その図々しさが小憎らしいッ!
薙刀式.jpg

QTYにはカナを置かない、小回りと手軽さではトップクラス!
清濁、半濁、小書き同置、
さらに2〜3キー同時押しで、拗音も外来音も同置という、
スーパーゆとり仕様で記憶負担が最小だあー!

短期的スピードよりも、楽さで長文を打っていく、
極限まで軽い長距離ランナー仕様!
「薙刀」の名は、「長モノ(=長文)最強」からッ!
作者はMiniAxe(36キー)で薙刀式を使う!
30%キーボードと相性のいい、30+スペースキーのカナ配列ッ!


四番手は親指シフト!
80年代のワープロ「OASYS」からのレガシー配列ッ!
2021年5月末をもって、ついに富士通に打ち切られた専用キーボード生産!
今の今までPS端子+板バネキーボードをサポートしてきた誠実さに敬礼ッ!
親指シフト.jpg

「昔は速かった」伝説、JISカナに次ぐ使用率らしいが、
そんな人見たことないッ!
速いと噂だけが先行するが、なぜか爆速動画が存在しないぞッッッ?
それは単なる都市伝説か?
それは老人の「若い頃は結構ワルで」かッッッ?!


五番手は蜂蜜小梅!
かわいい名前とうって変わって凶悪に使える、
親指シフトの上位互換ッ!
蜂蜜小梅.jpg

練り上げられた配字の良さ、
拗音外来音を規則的にまとめあげた蜂蜜(8×3)マトリックスが強力ッ!


変わり種、かわせみ配列ッ!
かわせみ.jpg

左手の子音と、右手の母音を同時押しして1カナにッ、「同時押し行段系」だッ!
そして単打にはメジャーカナを置く、
単打カナ配列と同時行段系のハイブリッド!!
メジャーカナ1打、マイナーカナ2打の、
月配列より速いか?!


出たァァァァァ月配列!
不遇の名作、新JIS配列の改良版!
単打カナと、DまたはKのあとに打ったカナの、
たった2レイヤーで勝負!
月.jpg

2ちゃんで開発された呪われた運命!
だがMS-IMEのローマ字定義だけで使えるようにするという、
実装へのやさしさ!
ヲタクは本当は優しい、みたいな配列ッッッッ!


その親、新JIS配列だッッ!
新JIS.jpg

親指センターシフト、つまりLT(Layer2, KC_SPC)
で設計されたにも関わらず、
80年代の阿呆メーカーがふつうの小指のシフトキーで実装したので、
使いにくく誰も使わなかった不遇の配列ッ!

カナを覚えるなら、僕はこれをお勧めするッッッ!
僕は3日で使えるようになった!
2レイヤーしかないし、圧倒的に指が楽になる!
だがしかし、右小指外がしんどい欠点を持つッッッ
この欠点さえなければ天下を取れたはずッ
悔しいのう! 悔しいのう!


さあラス前は、
ご老体JISカナだッッ!
なんだああ化け物みたいに範囲が広いぞぉぉぉぉ!!
のそり… こんなもんブラインドタッチできるかボケッッッッ
JIS.jpg

効率悪すぎィ、それもそのはず、
ブラインドタッチを想定して設計されていないと言うッ!
なんという無能!48キーを拾い打ちさせる無能!
qwertyローマ字がデファクトになったのは、このJISカナと二択を強制された、
単なる消去法の結果だろ!!!
こんなものを無反省に推すJIS老害組織はさっさと解体せよッ!
聞いてるか河野太郎!
(河野太郎は親指シフト使いで有名です)

右小指外で打つ最悪運指「ホームページ: -\]^[\D@」1000回打って小指もげろ!
ついでに遠いBSとエンターも右小指で打ちつづけてもげろ!
自作キーボードの親指クラスタは、まさにこれへのカウンターカルチャーッッッ
親指シフトが都市伝説ならば、こいつは戦後の亡霊だッ!


そして最後にやって来た真打かッ!?
彗星のごとき新戦士いろは坂!
なんと60%キーボードのうち56キーを使う、狂気の広範囲配列!
ホームポジション(図中の白線で示す)を独特の構えにして、
「全指から2キー以内にカナがある」をキープ!!!
日本語の頻出連接が、外側→内側→外側と、
折り返しになるように配字されてることから、いろは坂の名があるッ
現在新配列で最速タイム保持者ッッッ!
いろは坂.jpg



さあスペック比較バトル、ファイッッッッ!!
10Layouts_Spec_Battle.jpg
(クリックで拡大します)
(pdf版)10Layouts_Spec_Battle.pdf

第一試合【カナの範囲】

図の+α表記の部分はシフトキー(レイヤーキー)。
シフトキー数はカナの範囲に数えなかった。

1位 薙刀式  27 やはり最軽量!
          QTYをカナに使ってないから楽!
2位 かわせみ 30 行と段を指定して同時押しする、
          ローマ字方式ならではのキーの少なさ!
3位 月配列  32 30と小指外2!新配列では狭いほう!

ワースト3 新下駄   36 3段と、数字段の左手という3段半。
              高速性とのトレードオフだ!
              とはいえ、月と4キーしか変わらないけど!
              自作キーボードで3段に収めた新下駄使いもいるし!
ワースト2 JISカナ 48 JIS配列は右小指外が多いのはこのせい!
              これを撤廃すれば、
              もっとキーボードは自由になれるのに!
ワースト1 いろは坂  56 エンター以外全部使うぞ!


第二試合【打てるカナの種類】
拗音を一発で打てるように定義していたり、
外来音を一発でたくさん打てるようにしているとスコアが上がる。
121個+αの日本語のカナをいくつ出せるか?

1位 蜂蜜小梅 189 外来音が68個も定義されている、
           蜂蜜マトリックスの勝利!
2位 薙刀式  154 あとでわかるが、記憶負担が少ないのに多いぞ!
3位 かわせみ 127 やはり行段組み合わせのローマ字部分で、
           外来音が多く定義できているッ!

ワースト1 月、新JIS、JIS 58
濁音、半濁音、拗音、小書き、すべて二打方式にする割り切りだ。
記憶負担は少ないが、手数がかかり、総打鍵数が多くなる傾向にある。


第三試合【記憶負担】

覚えなければならないカナの数、と定義した。

1位 薙刀式     50 濁音、半濁音、小書き、拗音、外来音の
             すべてが同置という驚異の楽さ!
             コスパ、コスパ、コスパ!
2位 JIS     51 「っ」が同置だが、゛゜があるため薙刀式に負けッ!
3位 月、新JIS  60 JIS+ぁぃぅぇぉゃゅょっが別置。

ワースト3 いろは坂 67 範囲のわりにはそれほど覚えなくてよい!?
ワースト2 飛鳥   82 清濁別置の負担はやはり大きい。
ワースト1 新下駄  94 拗音、外来音すべて別置!

薙刀式作者の僕は「記憶負担少ない派」で、
スプリントを走る人が太い筋肉(最大パワー重視)、
マラソンを走る人が細い筋肉(エネルギー効率重視)、
のように考えている。

記憶負担が重たい図体は、10万字〜4万字を書く、
小説や脚本の、僕のメイン用途に向かないと考えた。
(ブログが2000字、エッセイが5000字、論文が1万字くらいのオーダー)

もちろん、記憶負担が少ない配列は、
マスターが楽なのはいうまでもないぞ。


第四試合【単打率】
デフォルトレイヤー(単打面)にあるカナの、統計的出現率の総和。

1位 いろは坂 90 日本語の9割を単打で打つッッッ!
          あり得ない高効率!!!
2位 JIS  79 あれだけ広いのに、8割ないのかよっ!
          句読点がシフトなのが痛いっ!
3位 新JIS 72 単打で7割、すごくない?
          なんでこんなにいい配列が普及しなかったのか???

次点の新下駄69にも注目。
新下駄のトップクラスのスピードは、この単打面の優秀さだと僕は思う。


第五試合【単打密度】

単打率/キー範囲。
キー範囲が狭いほど、単打率が高いほど良くなる指標。
コンパクト性能の指標と考えた。

1位 新JIS  2.2 コンパクトでかつ単打で打ってける、
           すごい配列じゃないか!!
2位 月、薙刀式 2.1 月は新JISの直系だからわかるとしても、
            薙刀式のコンパクトぶりよ!!

「指を伸ばさなくていい」のが作業効率に直結することは、
30%、40%キーボードを使ってれば実感できることだ。
自作キーボードのキー数がどんどん減っていくのは、
決してルブが面倒くさいからではないぞッ!



また、表中に、濁音や拗音を、どういう打ち方で打つのか、
方式を総覧できるように整理した。

新下駄のすべて別置にするという割り切った整理、
飛鳥の、すべて別置かつ親指2シフトだけで勝負という美しさ、
薙刀式の、すべて同置かつ同時打鍵という、
それぞれ思い切った整理に注目だ!




------最強のカナ配列は何か?

まだそれは決まっていない。
最強の自作キーボード、最強のキーマップが決まっていないのと同じように。

それは人によって指や手の物理的条件、
得意不得意、素早さや耐久性能が違うからだろうし、
脳内の思考や文章や、文体や書くジャンルや頻度や量すらも、
違うからだと僕は思う。

つまり、
配列のエンドゲームを決めるのは、
あなた自身だと思うのだ。


さらに、スタンダードキーボードの形をしていない、
「独自の物理配列でしか動かない自作キーボード用の日本語配列」
というものもありえて、
ぼっちラボさんのHarmonixなど…(沼はつづく




以下、カナ配列沼ガイドブック。

はじめて触るなら新JISがオススメ。記憶負担が少ないし。

配列変更エミュレータDvorakJ(Winのみ、無料)をDL(バイナリ版をどうぞ)。
https://blechmusik.xii.jp/dvorakj/
同梱されているので、SandSをオンにして使うとすぐだ。
月配列も悪くない(同梱)。

薙刀式ももちろんお勧めだよ!
http://oookaworks.seesaa.net/article/456099128.html
eswaiさん開発のQMK薙刀式もあるしね!
https://eswai.hatenablog.com/entry/2020/11/29/175116

DvorakJはQMKより簡単なコードで同時押しなどを設定できるため、
これで配列を作って、あとでQMKに放り込む、
などのプロトタイピングにも向くよ!

QMKのカナ配列では、
eswaiさんが薙刀式、親指シフトをコルネで実装、
ぼっちラボさんが色んなカナ配列を乗せているよ!

文章をペーストするとメジャー配列のスペックを算出する、
eswaiさん作カナ入力アナライザーもおもしろいぞ!
これで自分に向いた配列を判断できるかも!
https://keyboard-analyzer.vercel.app/


【付録・カナ配列動画集!】
実際にそのカナ配列を使って打っていくと、どういう打鍵の様子になるのか?

新下駄   https://www.nicovideo.jp/watch/sm22706925
      (拗音の速さに注目)
飛鳥    https://www.nicovideo.jp/watch/sm5152804 (1:00から)
      (手の動きの小ささに注目)
薙刀式   https://youtu.be/tbkEqAV6eFQ
      (日本語に良くでるフレーズをダランと高速で打っているところに注目)
親指シフト https://www.youtube.com/watch?v=U5vrcWbBsC4 (7:31から)
      (音のリズムで言葉を打っているのに注目)
蜂蜜小梅  (ない)
かわせみ  (ない)
月     https://sp.nicovideo.jp/watch/sm29020832
      (動画が少ないため全貌は謎)
新JIS  (ない)
JIS   https://www.youtube.com/watch?v=4usMMWbadks (52:14から)
      (タイパー日本一決定戦なので、これだけめっちゃレベル高い。
      しかし両手のカバー範囲と正確さよ…常人には無理)
いろは坂  https://m.youtube.com/watch?v=9W5kG8yrjt4
      (カバー範囲がホームポジションから2キー以内なのに注目)

自作キーボード勢には、とくに以下の動画は衝撃的!
「和音漢直」 https://mobile.twitter.com/Shinchan256/status/1305843026879627264
Dactyl manuformによる、Nキー同時押しで漢字直接入力する配列!

これに限らず色々貴重な配列の打鍵動画を集めた、リンク集も参考にされたい。
http://oookaworks.seesaa.net/article/475004852.html


この記事は、
カナ配列薙刀式 http://oookaworks.seesaa.net/article/456099128.html
+自作3Dプリントサドルプロファイルキーキャップ
 https://make.dmm.com/item/1244392/ (MiniAxe用)
 https://make.dmm.com/item/1244388/ (Corne用)
+自作改造涅槃イエロースイッチ
 http://oookaworks.seesaa.net/article/477790032.html
+MiniAxe
で書かれました。
94226183-B44F-45D8-B270-D0490BB2AC3D.jpeg
posted by おおおかとしひこ at 00:03| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2ページ分くらい読んだとこでローマ字でいいやって思った(^q^)
Posted by ハムスター名無し at 2020年12月18日 08:01
ハムスター名無しさんコメントありがとうございます。

ローマ字でいいやという人はそれも良しだと思います。
ローマ字じゃ無理という人に、
選択肢がないのが問題だと思います。

ちなみにローマ字でもたくさん新配列がありますよ。
おすすめは「けいならべ」ですかね。
http://web1.nazca.co.jp/kouy/keinarabe/
Posted by おおおかとしひこ at 2020年12月18日 10:23
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。