2020年11月13日

【風魔】再編集映画版をポシャらせた話

あんまりしてなかったけど記録として書いておく。


舞台の前後あたりだったと思うが、
ドラマ13話を90分から110分の映画に出来ないか?
という相談を受けた。

新撮なし編集のみ。
何故なら相変わらず予算はなく、
かかるハコも六本木の狭いミニシアター一舘のみ。
当時劇場映画監督を目指していた僕は、
うーん一館のみ上映かーそれでも映画監督を名乗れるのかなー、
などとワクワクしたものの、
え、90分?
という無茶振りに、
手も足も出なかった。

だって、
1話と2話と、12話と13話やったら100分なんですよ?
(1話の正味25分)

4、5話の項羽小龍、
6話の霧風、
7話の劉鵬、計100分。

8話の聖剣25分。
10話の告白25分。

このへんは削れない。
陽炎パートをなくす?
劉鵬黒獅子は削る?
告白を入れないわけにはいかないよね?
11話の麗羅どうすんだよ?

この275分を仮に「半分にする」でまだ133分。

倍速で見たような感覚になってしまう。


考えた末、「前後編90分ずつ180分なら」
としたけれど、
劇場の回転が悪くなるので、90分が望ましいとまで言われ。

うーん無理!


僕には、どのエピソードも思い入れがありすぎて、
ハサミを入れるに忍びなかった。
壬生と陽炎落として、
死鏡剣や白羽陣はダイジェストで、
なんて考えても、切なくなりすぎる。

というか、映画のプロットラインは精々数本だから、
19人のエピソードに膨らませたドラマ版を、
「数人の話」に絞らないといけなくなる。
それは、小次郎、姫子、蘭子、竜魔、武蔵、(壬生)、
で精一杯になってしまうということ。
項羽も小龍も劉鵬も霧風も麗羅も入らないということ。
絵里奈も、最初に知り合っただけでラストに死ぬだけになる。
(あるいは全カット)

そりゃあないよね?


舞台版のシナリオを見れば、
あんなに駆け足になってしまうことが分かると思う。
あれプラス10分くらい(3シーンくらいだろう)で、
終わらせないといけないんだよな…

舞台版だって、段取りを一気に省略することで、
話をなんとか進めたけれど、
新撮がないということはそれも出来ない。
じゃあナレーションとか字幕で説明があって飛ばす、
という謎の進行になっちゃう。

今落ち着いて考えても、
やっぱりやりようがない。


もし誰か編集のプロで、
ドラマ風魔を90分映画に仕立て上げる方法があったら、
ご教授ください。
僕の中ではまだ解が見つからない問題です。



もしやってたら?
舞台版並のスピード感でさらりとやっただけになり、
「人気原作の表面を舐めただけの、
イケメン集めた学芸会」になったと思う。
ドラマ風魔のいいところ、
「掘り下げたことで感情移入がうまくいくこと」が喪失し、
「とりあえず原作場面を再現したダイジェスト」みたいな、
ペラペラのものになったに違いない。

脚本論でも書いてるけど、
毎週ものは繰り返しのリズムがあるから面白いんだ。
市野さん回の食卓コントも毎回あるからいいんであって、
映画版は一回しかなかったかもしれないし。
それじゃあなくてもいいくらいだ。
部活も女子サッカー以外全カットかも知れない。

映画は、ドラマから見たら短編だ。
ドラマの面白さは、クラスで長い間わいわいする面白さ、
映画の面白さは、ワンナイトの面白さ。
ファミリー的なドラマを、
ワンナイトの冒険に仕立て上げるのは困難だよな。


仮にドラマがなかったとして、原作風魔を映画にするなら?
を考えてもわかる。
バトルバトルバトルはいおしまい、
これなんやったん?(テーマなし)になると思う。

参考になるのは実写「男塾」。
油風呂や直進の行進を省いたことで、
テーマ「狂気の男道」がなくなってしまった。



…などを0.05秒くらいで考えて、
「無理だと思います」と、慎重に答えたと思う。

試しに誰か編集者を入れてみて、
妥協の範囲を探る、
という寝技もあったかもしれないが、
ストレートに断って、僕は損切りで良かったと思っている。

もっと上手い人なら上手いことやって、
そこそこ稼ぎ、映画化というイベントで沢山金が落ちて、
聖剣戦争へ繋げられた(ただし予算7掛けで)かも知れないと思うと、
立ち回りを間違えたかもなあとはうっすら思うけど、
どう見てもどん詰まりしかなかったような。


「ドラマは良かったのに映画はダメだ」となるのが、
僕は怖かったんだろうな。
成功のポイントが僕にはひとつも見えなかった。


こうすれば90分で映画風魔が成立した、
というアイデアのある方、教えてください。
いまだにたまに考えては無理と思う問題のひとつ。

珍品B級カルト映画にする勇気も、
風魔愛のある僕には出来なかった。
愛のない人がザクザク切り刻めば、血を流しながら成立してたかも知れないなあ。
(作品として面白いかどうかは別として、
歴史には残ったろうが)

当時の「腐女子向けイケメンドラマ」のどんなものも、
90分映画はキツイんじゃないかなあ。
そういうやつを90分映画3本まとめた興行とかなら、
祭りとして面白いかも知れないがねえ。
posted by おおおかとしひこ at 11:03| Comment(0) | 実写版「風魔の小次郎」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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