あんまりしてなかったけど記録として書いておく。
舞台の前後あたりだったと思うが、
ドラマ13話を90分から110分の映画に出来ないか?
という相談を受けた。
新撮なし編集のみ。
何故なら相変わらず予算はなく、
かかるハコも六本木の狭いミニシアター一舘のみ。
当時劇場映画監督を目指していた僕は、
うーん一館のみ上映かーそれでも映画監督を名乗れるのかなー、
などとワクワクしたものの、
え、90分?
という無茶振りに、
手も足も出なかった。
だって、
1話と2話と、12話と13話やったら100分なんですよ?
(1話の正味25分)
4、5話の項羽小龍、
6話の霧風、
7話の劉鵬、計100分。
8話の聖剣25分。
10話の告白25分。
このへんは削れない。
陽炎パートをなくす?
劉鵬黒獅子は削る?
告白を入れないわけにはいかないよね?
11話の麗羅どうすんだよ?
この275分を仮に「半分にする」でまだ133分。
倍速で見たような感覚になってしまう。
考えた末、「前後編90分ずつ180分なら」
としたけれど、
劇場の回転が悪くなるので、90分が望ましいとまで言われ。
うーん無理!
僕には、どのエピソードも思い入れがありすぎて、
ハサミを入れるに忍びなかった。
壬生と陽炎落として、
死鏡剣や白羽陣はダイジェストで、
なんて考えても、切なくなりすぎる。
というか、映画のプロットラインは精々数本だから、
19人のエピソードに膨らませたドラマ版を、
「数人の話」に絞らないといけなくなる。
それは、小次郎、姫子、蘭子、竜魔、武蔵、(壬生)、
で精一杯になってしまうということ。
項羽も小龍も劉鵬も霧風も麗羅も入らないということ。
絵里奈も、最初に知り合っただけでラストに死ぬだけになる。
(あるいは全カット)
そりゃあないよね?
舞台版のシナリオを見れば、
あんなに駆け足になってしまうことが分かると思う。
あれプラス10分くらい(3シーンくらいだろう)で、
終わらせないといけないんだよな…
舞台版だって、段取りを一気に省略することで、
話をなんとか進めたけれど、
新撮がないということはそれも出来ない。
じゃあナレーションとか字幕で説明があって飛ばす、
という謎の進行になっちゃう。
今落ち着いて考えても、
やっぱりやりようがない。
もし誰か編集のプロで、
ドラマ風魔を90分映画に仕立て上げる方法があったら、
ご教授ください。
僕の中ではまだ解が見つからない問題です。
もしやってたら?
舞台版並のスピード感でさらりとやっただけになり、
「人気原作の表面を舐めただけの、
イケメン集めた学芸会」になったと思う。
ドラマ風魔のいいところ、
「掘り下げたことで感情移入がうまくいくこと」が喪失し、
「とりあえず原作場面を再現したダイジェスト」みたいな、
ペラペラのものになったに違いない。
脚本論でも書いてるけど、
毎週ものは繰り返しのリズムがあるから面白いんだ。
市野さん回の食卓コントも毎回あるからいいんであって、
映画版は一回しかなかったかもしれないし。
それじゃあなくてもいいくらいだ。
部活も女子サッカー以外全カットかも知れない。
映画は、ドラマから見たら短編だ。
ドラマの面白さは、クラスで長い間わいわいする面白さ、
映画の面白さは、ワンナイトの面白さ。
ファミリー的なドラマを、
ワンナイトの冒険に仕立て上げるのは困難だよな。
仮にドラマがなかったとして、原作風魔を映画にするなら?
を考えてもわかる。
バトルバトルバトルはいおしまい、
これなんやったん?(テーマなし)になると思う。
参考になるのは実写「男塾」。
油風呂や直進の行進を省いたことで、
テーマ「狂気の男道」がなくなってしまった。
…などを0.05秒くらいで考えて、
「無理だと思います」と、慎重に答えたと思う。
試しに誰か編集者を入れてみて、
妥協の範囲を探る、
という寝技もあったかもしれないが、
ストレートに断って、僕は損切りで良かったと思っている。
もっと上手い人なら上手いことやって、
そこそこ稼ぎ、映画化というイベントで沢山金が落ちて、
聖剣戦争へ繋げられた(ただし予算7掛けで)かも知れないと思うと、
立ち回りを間違えたかもなあとはうっすら思うけど、
どう見てもどん詰まりしかなかったような。
「ドラマは良かったのに映画はダメだ」となるのが、
僕は怖かったんだろうな。
成功のポイントが僕にはひとつも見えなかった。
こうすれば90分で映画風魔が成立した、
というアイデアのある方、教えてください。
いまだにたまに考えては無理と思う問題のひとつ。
珍品B級カルト映画にする勇気も、
風魔愛のある僕には出来なかった。
愛のない人がザクザク切り刻めば、血を流しながら成立してたかも知れないなあ。
(作品として面白いかどうかは別として、
歴史には残ったろうが)
当時の「腐女子向けイケメンドラマ」のどんなものも、
90分映画はキツイんじゃないかなあ。
そういうやつを90分映画3本まとめた興行とかなら、
祭りとして面白いかも知れないがねえ。
2020年11月13日
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