話を分かりやすくするコツは、
対立する真反対のものを見つけることで、
それを何かに象徴してしまうことだ。
善と悪の戦いを、
白と黒の戦い、たとえばオセロやチェスにすることは、
伝統的なやり方だ。
炎と氷でも同様かもしれない。
それらに意味があるともっとよい。
空軍と陸軍が対立しているならば、
空飛ぶ自由と、地に這う不自由さを対立させるとか、
燃料切れと、無限に歩いていける強さを対立させるとかするとよいだろう。
それを、航空機と戦車というイメージに収束していくと、
ストーリーの象徴がつくれるというわけだ。
たとえば自由さと不自由さが対立する話ならば、
空飛ぶ飛行機が戦車を翻弄している対立図式として記憶できるだろう。
これをイコンというわけだ。
ストーリーというのは、対立軸を見出すと強くなる。
そしてそれがどういう理由で対立しているのか、
あるいはどういう主張の違いで対立しているのか、
さらにそれを絵で表せるか、
ということが大事だ。
ある何かに象徴されるように、
意味をこめられるのがベストである。
そうなるような、
対立する何かのビジュアルまでたどり着いたら、
たぶんイコンは強くなり、
その絵としてストーリーは記憶されるだろう。
勿論、それはテーマを象徴する絵になるし、
タイトルにまで一気通貫しているべきだと思う。
逆に、そのビジュアルとタイトルのペアで、
ストーリーが思い出せないようならば、
そのストーリーには、強力な対立が内包されていないということだ。
リライトでそのモチーフを探していては、
僕は遅いと思う。
主たる対立やモチーフは、最初から意識されているべきだ。
リライトでやるべきことは、
それらを整理して、枝刈りして、
明確な太い対立軸にするように、
正しく直していくことだと僕は考えている。
(ないなら、最初から作り直すレベルで筋を通さなくてはならないので大変だ。
たとえば鬼滅の刃には対立するモチーフが存在しない。
人間と鬼はあるが、
それが何と何の価値の争いなのか、
良くわからないのだ。
これが前記事で鬼滅の刃が実写化がむずかしいという理由のひとつである。
それを新しくつくれば、
まったく原作になかった軸をつくることになるからで、
それは原作派からすれば、
違和感以外にないだろうからだ)
2020年11月15日
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