リライトで大事にするべきは、
こうした粒度をそろえることもあるだろう。
非常に雑に話を展開することはよくある。
逆に、丁寧に話を描くこともよくある。
数日、数週間、数か月にわたる執筆生活で、
全てのシーンの丁寧さと、雑さをそろえることは、
一発では難しいと思う。
そのシーンを初めて書くわけだから、
ちょっと前の段取りから丁寧に書かないとうまく掴めないので、
丁寧に書いてしまうことはよくある。
会社で起こる事件のために、
朝起きてから出社するまでを描いてしまうことは、
とてもよくあることだと思う。
書きなれてくると、
そうしたことを全部省略して、
事件が起こるところから書くことができるようになる。
あるいは、ベテランならば、
事件が起こってしまった後から始めることすらできるようになる。
「会社で花瓶を割ってしまった」という事件を描くのに、
書きなれていない状態だと、
朝起きて満員電車に揺られるところからはじめてしまい、
おはようとか言っているところで、
昨日徹夜したやつがうっかり肘が当たって花瓶を落してしまうシーンを書くだろう。
そうではなく、
肘が当たるところから書くとよい。
さらにベテランは、
床に花瓶と水と花がちり、
その同僚が片付けているところからスタートさせたりする。
事件が明らかに分るようならばいちいちそれを描写する必要はなく、
そこからの行動や反応のほうが重要だとわかっているからである。
しかしながら、
全シーンにおいて、
それらの粒度があっているとは限らない。
ある時はベテラン並に省略法で書いてしまい、
ある時は初心者並に丁寧に書きすぎてしまうこともある。
それがストーリーに効果的であれば問題ないが、
ここは省略できる、
ここは省略するべきでなく丁寧にするべき、
などと判断して、
そのように直しておくと、
何が重要で、何が要らないかを、
整理できるというものだ。
そうした整理を経ると、
自然と、ストーリーの中で重要なところが目立ち、
重要でないところは省略されているような、
俯瞰した感覚で状態が整っているような感覚になる。
それが通した感覚がある、
作者の目が効いている状態になると思う。
逆に、そうしたことができていないと、
粒度がそろっていないので、
どこに注目すればいいか誤解が多発し、
いらぬ期待を持たせたり、
逆にするすると省略されすぎて、
大事なところを見のがされてしまうこともあるだろう。
粒度をそろえるには、
真中の感覚をつくることが大事で、
それから丁寧なのか、省略して雑なのかを、
わかっていくことが重要だ。
そうしないと、基準がわからなくなる。
2020年11月16日
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