これ意外と難しいので。
AがBに、知らなかった事実Xを伝える
↓
BがCに、Xを伝える
C「そうだったのか…」
これは現実でも良くあることだ。
これを脚本に書くときは、
このようにしない。
AがBに、知らなかった事実Xを伝える
↓
BがCに、それを伝え終わったところからはじめる
C「そうだったのか…」
のようにする。
なぜなら、観客は二回Xを聞かされることになるからだ。
普通それは避ける。
無駄だしたるいし、観客にとってはひとつも益がない。
「大事なことだから二回言いました」でもないよね。
脚本の構成上何とかならんかったんかい、
と突っ込んでしまうよな。
これくらい単純な構造ならば、
書いてても気づくから修正が効くのだが、
もう少し複雑だと気づかずに二回Xを言ってたりする。
間に複数シーン挟むとさらに忘れたりするし。
先日それをやらかしたのだが、
それは、BとCがひさしぶりに再会する場面から書き出したことが原因であった。
ようひさしぶりから始めると、
「Xについてだが」と始めるしかなく、
Xを二度繰り返してしまうなあ、
とずっと悩んでいた。
で、脚本の都合上、
すでにCはXを知っている、としてそのシーンを始めてみた。
ようひさしぶりのパートを終えて、
Xの話になるとき、
B「Xのことは」
C「知っている」
と、さっさと本題へいけるように改変したのだ。
こうすることによって、
観客がXを二回言われるめんどくささを回避できたわけだ。
あるいはもっと先回りして、
C「なんでXの事を言ってくれなかった」
などと、
Xを知ってる前提で話を進めたっていいということにも気づく。
リアルだとXという情報がA→B→Cと渡るところを、
そのようにしなくたっていい、
という割り切りが出来るわけである。
これはご都合ではない。
観客に対するサービスと言うべきだろう。
ご都合とは、
作者が思いつけなかったことが原因で、
リアリティがなく進行してしまうことである。
「ほほう、Xを二回言うのを避けたな」
などと気付ける人は、
余程こなれた脚本家だけかもしれないね。
「浮気を目撃する」という次のシーンでは、
大体みんなそれを知っている、
ということがよくあるけど、
それは現実以上に、Xを繰り返さないためのテクニックなわけだ。
今やラインで回ったりリツイで回ったりするから、
まあ大体知ってる前提で話を進められる。
むしろ「知らなかった」「知らされてなかった」
がドラマになるかもしれない。
そのとき、二回目に繰り返されるXに、どのようにCが反応するかは、
見ものの芝居になるだろうね。
2020年11月20日
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