最初にこのマクロを知った時はすげえ!と思った。
「カッコひらき、カッコとじを一気に入力して、
確定して、さらにカッコの真ん中にカーソル移動だって?
なんて便利な!」と思ったものだ。
かつては薙刀式の編集モードでも色んなパターンを取り入れたが、
現在それらは全廃止している。
たっぷり使ってみて、効率が悪いと判断したからだ。
それは、
「カッコとじまで書いたときに、
→でカッコとじの外に出るのが面倒」なことが主な原因。
そこで1ストロークあるなら、
カッコとじを1ストローク(確定付き記号)で打てた方がいいと判断した。
カーソル移動と文字を書く感覚は、
僕の中では別の行為なので、
「文字を書いている途中で移動操作をしなければならない」
が僕に混乱を与えた。
手は常に最新の部分にある舳先のようなもので、
氷を割って進む砕氷船の衝角である感覚だ。
その感覚に影響を及ぼして、厄介だった。
じゃあカッコ内の文を確定する際に、
確定と、確定→の二つを用意してみたが、
その使い分けがとても面倒で挫折した記憶がある。
それだったら、
「カッコひらき確定」と、
「カッコとじ確定」をホームポジションからアクセスしやすい位置に置き、
「カッコひらき確定」
…カッコの中を書く…「カッコとじ確定」
…そのまま次を書く
のほうが、指の動線と思考が混乱しないと判断したわけだ。
(最新の編集モードでは、
もっとも使う「」()は、左人差し指にバインド)
そもそも、
カッコとじの前には、
「。」「?」「!」「…」「ー」「〜」「何も来ない」などの、
文末のバリエーションが多すぎて、
それを確定させないとカッコとじにたどり着けない。
セリフだったら「○○○○。」になる場合と、
「○○○○」になる場合がある。
(文章内で統一すべきだが、どちらが正解とも言えない)
丸括弧の場合は、
○○○○(○○○○)、
のように、本文の句読点が続きにきたりするものだ。
この日本語特有の文末記号とカッコとじの組み合わせが多彩すぎて、
だったら一個ずつ確定させたほうが、
配列も思考も指さばきもシンプルになるし楽だぞ、
と最終的に考えた。
余談だけど、
英語の引用符はシングルクォーテーションで、
米語の引用符はダブルクォーテーションだそうだ。
引用符内の引用符は、
日本語だと「…『』…」と、二重鉤括弧になるが、
英語では'…""…'
米語では"…''…"
と、シングルとダブルのクォーテーションの関係が逆になる。
さらにちなみにこれはiPhoneのクォーテーション記号で入力していて、
Web上でどのように表記されるかはブラウザのフォント次第だが、
ひらきととじの区別のない記号で入力している。
本来はひらきととじは異なる記号だ。
タイプライター導入時に、ひらきととじは同じ記号に省略されたが、
印刷の世界では、ひらきととじは使い分ける。
ワードなどでは自動的にひらきフォント、とじフォントに置換してくれるようだ。
(フォントによっては同形のものもある。クーリエとか)
さらにちなみに,.はとじクォーテーションより前だ。
He said "〜."
"〜," he said.
少し調べると、
フランス語は《》(二重山括弧の半角記号、iPhoneにはなかった)
ドイツ語は下付きダブルクォーテーションと上付きダブルクォーテーション
を使うそうな。
歴史の古い言語ほど独自表記なのだろう。
スペイン/ポルトガル語だと、
疑問文や感嘆文は、上下逆の?!と、?!で囲むしね。
日本語だと、
「〜」と、彼は言った。
「〜」の彼の発言で、
彼は言う、「〜」と。
などのように、「」に直接句読点をつけないように助詞で繋ぐ。
地の文地の文
「会話」
「会話」
地の文
のように小説ではとじカッコのあとは改行だ。
小学館の漫画だけ、
吹き出しの中が「〜。」と最後に読点が入ってることは、
漫画読みの中では有名な話。
ちなみに僕はこれが苦手でサンデーを避けていた。
集英社、講談社では吹き出しの文末は「。」なしで統一だ。
あるいは()では、
ということで(なんでや)、こうなのだ
おしまい(じゃないかも)。
のように直後に句読点が来る。ややこしや。
日本語には色んなカッコがある。
()丸括弧
「」鉤括弧
『』二重鉤括弧
〈〉山括弧
【】墨括弧
《》二重山括弧(青空文庫記法における振り仮名記号)
は、薙刀式の編集モードで採録している。
これに一々「ひらく、とじる、一文字戻る」
も並列して編集モードに採録した時期もあったけど、
とじカッコの前後の操作で混乱することと、
操作ミスでとじカッコをBSしたりしたときに、
とじカッコ単独で欲しいことなどがあり、
パーツ単独確定がシンプルだと僕は判断した。
「ひらく、とじる、一文字戻る」は、
ひらいた瞬間はいいような気がするが、
とじるときに手間が増えて、
借金を返すみたいな感覚になり、
得した気分がマイナスになり、
トータルでマイナスに僕はなる。
プログラミングではペアがあった方が、ミスが少なそうだけど、
文章表現は、記法が豊かすぎるのかもね。
上手いやり方さえあれば、
「カッコひらき、とじ、一文字戻る」
に可能性は感じるのだが、
まだスマートな解がない状態。
僕の主戦場たる物語文では、
補足を書く丸括弧よりも、
セリフを書く鉤括弧のほうが圧倒的に頻出する。
で、鉤括弧とじのあとの展開は、
・返しのセリフ(改行→カッコひらき)
・地の文(改行→一文字空白。小説の場合)
・地の文その2(改行→一文字空白あけず書く。脚本の場合)
の展開があり得る。
最後のものは、
次に返しのセリフが来る場合は役名、
ト書きが来る場合は三文字下げ、
シーン最後なら改行後柱、
同シーン内時間経過なら時間経過記号、
などと場合わけがある。
上二つは「鉤括弧とじマクロ」として採録してあり、
小説を書く時はたいへんべんり。
()の中を選択とか、()こみで選択とか、
エディタによってはできるだろうけど、
それがOSの仕様として欲しいよね…
(UNIXでは中クリックでそれが出来た記憶)
実は日本語は、
カッコの多様さでも特殊な言語だと思う。
中国語ではどうなんやろ。アジア言語まで調べきれなかった…
2020年11月24日
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