昔から僕はTo Be Continued...
の英語表記が納得していない。
ただの「つづく」しか言っていないからだ。
これはSuspended表記するべきだ。
シーンの終わりは常にサスペンデッドであるべきだ。
何かが終わってはいけない。
つねに、「あれはどうなるのか、一端置いておこう」
があり、
「それはどうなるのか」という疑問を置いたまま進行するものである。
それが解決したらまた別の何かのサスペンデッドが増える。
解決しなくても途中で増えるかもしれない。
つまり、もし許されるならば、
シーンの終わりは、
たとえば、
To Be Suspended
・主人公の過去は明かされるのか
・あいつの「ダメ」発言の謎の意図とは
・伏線と思われる花瓶の正体
・主人公は犯人を捕まえられるのか
・アリバイを崩せるのか
などと、
サスペンドされたものを列挙して終わってもいいくらいだと僕は考えている。
もちろん、それは一々表示していたら、
うっとうしいし切りがないけどね。
ストーリーもののゲームを一時中断して、
だいぶ経ってから再開するとき、
よくこの現象に遭うことがある。
えっと今ミッションは何をすればいいんだっけ、
クリスタルを何個集めればいいんだっけ、
なんでこれをしてるんだっけ、
などはセーブポイントから再開したときによく忘れていることが多い。
3日経つと大体忘れているから、
ストーリーもののゲームは、昔はぶっつづけでやったものだ。
今サスペンドされていることを、
毎度リストアップしてほしいものだ。
まあそうすると、「忘れていた伏線」とかもリストアップされてしまうので、
「ああ、あれを使うのか!」という伏線の面白さがまったく失われてしまうけどね。
だがしかし、
作者にとって、
こうしたサスペンドリストを作ることは、
作劇上、非常に大事なことだと思われる。
サスペンドしていることが多すぎないか、
逆にまったくサスペンドしていなくないか、
サスペンドしていることに興味を持続できているか、
それがどれだけアツイのか、
どれだけ感情移入して見守っているのか、
忘れている要素はないのか、
リストを一通り見たら、
あとあとどういうことがあるのか読めてしまわないか、
あるいは逆に、想像できなすぎて、期待やわくわくがなさすぎないか、
などをチェックするリストになると、
僕は思うわけだ。
むしろ、自動的にそういうリストをつくってくれる人工知能が欲しいくらい。
シーンの終わりには、常にそうしたものリストがあるはず。
スポーツ中継の横のスコアのようなものだ。
マラソンのように地図が出ていてもいいくらい。
ところで、サスペンスの語源はもちろんSuspendである。
吊り下げられて不安になる、が原語であろう。
その不安要素を強調したらサスペンスになり、
一端棚上げしておく、を強調したらサスペンドになるだけだろう。
つまり、
ストーリーというのは常にサスペンスなのだ。
どういうことが起こるか分らず、不安で、
一つのサスペンスだけではなく、
複合的に棚上げが残り、
どれが解決するかはわからない、
複雑なパズルになっているはずである。
それをシーン終わりに常にやる。
それをブロック終わりで、より強力なものにする。
それをもっと大きな括り、たとえば幕単位で、
分り易いひとつの何かにまとめる(センタークエスチョン)。
こうした構造化をしながら、
ストーリーはすすんでいくはずだ。
つねにサスペンドしなさい。
それが面白いようにしなさい。
つねに「いいところでつづくになるんだよなあ」にしておきなさい。
それが物語の駆動力、つまり、「この先を見たい」になるはずだ。
もちろん、それが全て明かされたときに、
なるほどと思えるまとまりになっているべきで、
「犯人や動機が分ってしまったらつまらなくなるサスペンス」であってはならない。
サスペンスは、殺人事件や刑事や犯人や事故にだけあるのではない。
サスペンドされたものがあり、
その先が気になるものであれば、
なんでもいいわけだ。
「あの子に好きな人がいるらしい」だけで、
そいつは誰だ、がとても気になれば、
それはサスペンドがかかっているということになるわけだ。
おそらくこれは英語のSuspendで、
ぜんぶ一緒くたに語られるべきことだろう。
しかし日本では、
サスペンスと、サスペンド(ペンディングという言い方もあるか)という、
別ジャンルのふたつの概念に押しこまれているわけで、
それがこの話をややこしくしている原因だろう。
ということで、
つねにTo Be Continuedではなく、
To Be Suspendedになるようにしていこう。
そのサスペンドされたリストアップをシナリオの脇に書いておくと、
これからやるべきことが見えてくるかもしれないよ。
2020年12月02日
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