時代物を書いたせいで、昔の資料をたくさん見た。
その中で、「〇〇物語」や「〇〇伝」ではなく、
「〇〇始末」と題した資料がわりとあることを知った。
現代語ではあまり使わない死語に近いものだなあと思ったが、
その意味することは、物語の本質であると思った。
ストーリーとは何か。
やりだしたことに、始末をつけることである。
ストーリーのテーマとはなんだろう。
それは、今までやってきたことが、意味があるということだ。
単なる空騒ぎならば、何も意味がない。
これまでと変わらない日常に戻るのなら、
これまで苦労した意味は全然ないのだ。
ストーリーのはじめとおわりで、
何かが違っているべきだ。
その価値が主人公のなしえたことで、
世界の意味で、テーマである。
ざっくりいえば、
最初と最後の差分を取って、
そのうち主人公がかかわった部分がテーマである。
このなしえたことは、
たった一語、「始末」という言葉で示せるな、
と思ったわけだ。
主人公は何かしらのことをはじめ、
それらの始末をした。
何かを片付けた、
何かをつくって整理した、
何かを成し遂げた、
何か工夫をして、それが二度と起こらないようにした、
などだろうか。
それをどうやってはじめ、
その始末をどうつけたか、ということが、
ストーリーではないか、ということだ。
(始末という言葉自体には、始と末、つまり最初と終わりが含まれているが、
始末という言葉がさすものは、
どちらかと言えば終わり方のほうだね)
始末がついていないものはストーリーではなく、
ただの中途半端である。
始末を主人公がつけなくて、
誰かほかの人によるものならば、
それは始末ではなく丸振りである。
主人公が始めていないものは、
ストーリーでもなんでもなく、
ただの主人公が被った迷惑でしかない。
ただのトラブルが起こり、
手持ちの力で一瞬で解決するだけではストーリーではない。
主人公は、何かしら解決するために、
何かを始めているはずだ。
その始めたことを、
どう始末をつけたのか、
ということがストーリーなのだ。
自ら責任を取る、
などと僕はこれまで書いてきたが、
日本人の責任の取り方なんて、
辞任か結婚しかない。
これではよくわからないかもしれない。
なので、
「どう始末をつけるのか」
という言葉のほうが分かりやすく結論を導けるかもしれない、
と思ったわけだ。
始末という言葉は、あまり使われていない言葉で、
「あいつを始末しろ」くらいしか使われないが、
「後始末」と考えるとわかりやすいかもしれない。
やり始めたことは、全部けりをつける、
そうしたことだろう。
あなたの主人公は、
何を始めたのか?
それはどのように始末が行われるのか?
上手に纏めるには、
それを考えるといいかもしれない。
2020年12月07日
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