ためしに作ってみたら面白かったのでアップする。
「各配列で、トップ20のカナを並べると、
概ね骨格がわかるのでは?」なんて仮説で作ってみた。
トップ20の出現率のカナとは、
kouyさんの100万字統計によれば、
い う ん か の と し た 、 く
な て に こ は る 。 が で っ
である。
なんとこれだけで、全出現率の60%を超える。
日本語の6割はわずか20のカナで出来ているわけだ。
これを各配列にプロットしてみたのが以下だ。
在宅につき手書きかつスキャナが微妙なのは勘弁していただきたい。
トップ3の、いうんに赤丸をつけて、重要な部分を分り易くしてしみた。
新下駄は両手にまんべんなく分散していることがよくわかる。
全て単打なのは流石で、中段、上段の中指薬指の黄金部分を使いながら、
下段は右に多く位置させて、
「打ちやすい位置から順番に」の設計方針がよくわかる。
飛鳥は泥臭く、中段にシフトこみで集中させている。
たとえシフトであろうが、連続シフトで連続させていくから、
中段にすべて集める覚悟が見られる。
薙刀式は独特だ。
右中段薬指の「う」を除き、
人差指中指に集中させている。
これが薙刀式の独特の指使いと関係する骨格であることが、
浮かび上がった感じだ。
新下駄、飛鳥と異なり、
いうんの3つは左右に分けていない。
右手しか信用しない、という考えなわけだ。
親指シフトは薙刀式の真逆だと感じられる。
外側指に集中させている。
句読点の位置もふくめ、
外側に確実に打つものを集め、
内側に何に使うのかわからないものを集めているのは、
親指シフトニコラ配列の独特の特徴だと思う。
月は薙刀式同様、いうんを右側に集めている。
新JISと同様だ。
新JISは中下段、月はまんべんなく三段にちっている。
DKをシフトとして使う月はやむなくそうなったのだと思う。
蜂蜜小梅も同様にいうんを右側に置いている。
中段と、中指薬指上段に集中させ、
かつ句読点が小指上段という独特の分布になっている。
なんとなくだけど、FJと句読点を一直線に結び、
その近辺に重要カナをばらまいたイメージ。
いろは坂は独特のΩ型ホームポジション周りに、
トップ20を集中的に置いているのが特徴的だ。
逆にいうと、
「たくさんホームポジションですぐ打ちたい」
という願いをかなえたのがいろは坂だと言えよう。
いうんがすべて左側にいるのは、かなり癖が強いと思う。
(シフトを右手で操作するため、
ややこしいシフトは右手、簡単な単打は左手、
のようにバランスを取ったのかもしれない)
これだけでも骨格があぶりだされてくると思ったが、
さらに今回のメインイベント。
「トップ20のカナの連接を視覚化」してみると、
各配列の特徴が出るのでは?
という仮説。
同じくkouyさんの100万字統計、2gram統計から、
5000以上出現したものに限って示す。
すなわち:
いう かい とい しい たい ない てい がい
しう しん した して
こう こと
った って
かん
である。
「い」が連接の中心であることがよくわかる。
順不同の統計のため、逆順も含まれている。
し、ん、て、た、うあたりも準中心になっていることがわかる。
新下駄はバランスが取れていて、偏りがない。
思ったより右手アルペジオが多く、
これが実は新下駄の速さの秘密かも、と思った。
連接の主役になる、色んなものと連接を作るカナは中段、
それとしか連接をつくらないカナは右上下段に散らして、
アルペジオをつくっている骨格だ。
このことによって、連接が打ちやすくなっていると考えられる。
飛鳥は中段同士の連接が密だ。
シフトを使ってでも中段だけで完結させようという意思を感じる。
左右交互が多い印象。
薙刀式はとにかく内側だけで完結させる。
そのためには上下段に散らす、
という方法論が見て取れる。
アルペジオを重視したといいながらも、
こうした中心的なカナは左右交互が多いのだな、
と、この図を作って初めてわかった。
右は右、左は左でアルペジオをつくっているのが、
ほかの配列にはない特徴かもしれない。
親指シフトは、
外側へ左右交互で連接することが図を見てわかる。
あとなぜか左手しかアルペジオがない。
この独特の感覚が、
薙刀式の僕が、合わない理由だと思う。
真逆の感覚なんですもの。
これを見ると、
実は親指シフトの設計者は左利きだったのではないか、
という仮説すら立てられる。
あと、下段を異様に嫌っていることが分るね。
月の連接は左右がぐちゃぐちゃで、
あまり整理されていない印象だ。
もとの新JISと比べれば、
中段同士の連接だったものを、
DKにシフトを置く関係で上段にしたものが、
自動的に上にいった感じ。
しかし新JISの「な」の小指外は、
いつ見ても欠点だと思う。
単純に;位置の「き」と入れ替えたほうがましなのでは?
あるいは、月の左手人差し指下段とか。
蜂蜜小梅の運指は、
出発点が親指シフトでありながら、
薙刀式に似ていると思った。
左右交互が多く、アルペジオにはあまり頼っていない感覚は、
親指シフトに近いかもしれない。
親指シフトの欠点と思われる、
左手アルペジオは消失しているようだ。
いろは坂は、
左手人差し指中指の「いうん」
から全て流すような運指に整理されていることがよくわかる。
このダイヤグラムがキレイになるようにわざと並べたのではないかと思うくらいに、
美しく整理されていることに驚いた。
どうやってこれを作ったのか、
ある程度計算配列でつくったようだが、
あらためていろは坂配列制作記を読むとわかるかしら……。
それぞれの配列の骨格が視覚化されて、
思ったより楽しめたので、手書きの図ながらアップしてみた。
小指を信用するか、左右どちらの手をより信用するか、
下段を信用するか、などで感覚が分れているように思う。
左右、上下ともにバランスの取れた新下駄、
シフトを使ってでも中段にこだわる飛鳥、
内側と右手しか信用していない薙刀式、
外側同士の連接にしている親指シフト、
中段を中心に各地に散らす新JISと月、
薙刀式を広範囲にしたかのような蜂蜜小梅、
左手ホームポジションから展開するようないろは坂、
などのように言葉でまとめることができるかな。
配列図を見ているだけでは、
なかなかここまで読解できないと思うので、
カナ配列選択の参考にされたい。
ていうか、自分の指がどういうものが好きかなんて、
触ってみて初めてわかるからねえ。
2020年12月06日
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