2020年12月12日

人の話を聞く5段階

目を引いた隙に、権威、共感、論理、感情移入。


人の話をどうやって聞くのか。
広告でも使われる手法もふくめてみた。
この五段階があると思う。
上から順に動物的反応で、
下に行くほど影響が深く、心の奥底まで残る。

【目を引いた隙に】
スカートをめくったら、そこに広告があった、
よく目につく場所に、広告がある。
もっとも原始的な方法で、強い方法だ。
しかし目を引きはするものの、
その内容が長く持続することはないだろう。
その刺激そのものに対して、
裏切られた感じがするからだ。

映画の場合、
アクションシーンのあととか、
ラブシーンのあととか、
刺激が強いところのあとは、
話を聞いてくれるだろう。
しかしそれが本質的に心に残るかは疑問だ。

よくあるのは、
アクションを派手に書いたあと、
何も展開できないという病だ。
あるいは、アクションのあと、急に話が詰まらなくなったというパターンだ。
これはつまり、あなたはおっぱいの谷間を見せることでしか、
話を聞いてもらっていないということだ。
もっと話を面白くしなければならない。


【権威】
有名タレントならば話を聞く。
「ぼくも使ってます!」は広告の常套である。
それを利用したステマも多くなった。
あるいは、首相の緊急事態宣言は、皆聞くだろう。
ある種の権威がある人ならば、
話を聞かせることがある程度可能だ。

しかし本来話の中身が重要なのであり、
振り向かせるのは広告パンダのやることだ。

重要人物が話す内容は、
権威があるだろう。話を聞くに違いない。
また、人は、
権威のあるほうの話を信用しがちだ(ハロー効果)。
権威のある教会の天動説のほうが、
事実にもとづいた地動説より信じられた。

「どっちがいうことが正しいのか分らない」
という状況を意図的につくるならば、
こうした権威を混ぜると、より混乱させられる。
混乱させるのが目的でない場合、
権威のある人に言わせたほうが責任が発生しやすいだろう。
権威といっても大人のそれでなくたってよい。
子供の世界でも強いやつのほうが発言権があるというものだ。


【共感】
自分と近い者のいう事は聞く。
身内や友達の忠告やアドバイス、
経験者のアドバイスは信用に値するだろう。
知らない人の、なんの関係もない話はスルーだろう。

自分と同じ年齢や境遇の人は、
より共感値が高くなるだろう。
猫好きは猫動画だったら何でも思考停止する。

これは身内を上げて、囲いの外の人を下げる方法だ。
人気タレントは、下手な身内よりも共感値が高い。
色恋営業はこれを利用する。

逆に自分と遠い話は、
人は興味すら抱かない。
ここで間違ってはいけないのは、
「共感されないから共感されるものを」という判断だ。
共感が高いものしか見られないのなら、
あるあるしか見られないことになってしまう。
そうではなく、あるあるはひとつの要素に過ぎないということだ。
あとで述べるが、感情移入というものは、
「自分と遠いものに共感を抱かせるテクニック」
だと言えるだろう。


【論理】
論理を共感よりも深いレベルに設定してみた。
論理は頭のいい人しか理解できない。
多くの人は、感情で判断してしまう。
だから炎上は起こる。
論理的な思考力があるならば、
国語も算数も全員満点だ。
そうではないからこそ、
人は誤解し、論理的な行動よりも共感値が高いもの優先したりする。

どんなに論理的に正しくても、
「それは正論だ」と非難するということは、
論理ではない判断基準があるということだ。


【感情移入】
たびたび誤解されて伝播していることなので、
このブログではたびたび取り上げている。
自分に近いものに抱くのは共感、
自分に遠いものにすら抱くものを感情移入として、
ここでは分けて考えている。
そうでなければ、
人は、まったく違う環境の、まったく違う人の、
ストーリーが理解したり感動できるはずがない。
大阪府出身の、おっさんの、ディレクターの話しか、
僕は理解できないことになる。
そうではない。
少女の話にも、年寄りの話にも、
まったく関係ない職業や地方や国の話にも、
感情移入できるし、感動するし、爆笑するし泣く。
(それがうまくできていれば)

あとは、それが感情移入するように、
うまく誘導できていればよい。
感情移入がうまく行くためには、
まず自分と違うところの認識と、
次に興味の持続が前提で、
そのうえで、「自分と共通する何かを見つけること」
が鍵となる。
自分と違う人に、自分と同じところを見つけさせるとよいわけだ。
そうすると共感が起こり、
感情移入が起こり始める。

まったく知らない外人でも、
「俺達と一緒なんだなあ」という発見があれば、
感情移入は起こる。


感情移入はとても腕がいる。
「目を引いた隙に」つまり派手な爆発とか、
派手なシチュエーション、興味深いシチュエーションで目を引き、
「権威」、つまりその世界で発言権がある人、影響力が大きな人を使って、
「共感」を呼んで仲間だと思わせ、
「論理」が正しく間違っていないことで信用させ、
「感情移入」、
つまり自分から遠いものなのに自分と近いものを発見させること。
これがすべてそろったときのみ、
感情移入はうまく機能し始める。

一回うまく行ったからといって、
ずっと持続するとは限らない。
感情移入を裏切ることがあると、
人の感情は簡単に離れていく。
(例 渡部の不倫)
それを回復させるには、
前回以上の感情移入をさせなくてはならない。
二度手間で、とても腕がいるだろう。


刺激の強いものや、
権威は誰でもできることだ。
金で買ってくることもできる。
共感は、あるあるを思い出せばいい。
僕は、ここまではクリエイティブだと思っていない。

論理、感情移入あたりから、
ようやく腕が問われると考えている。


人はどうやって、話を聞く体勢になるか。
刺激から始めて、
感情移入に至らせることだ。

いつの間にかそこに巻き込まれているならば、
ストーリーテリングが上手だという事だ。
posted by おおおかとしひこ at 00:16| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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