2020年12月17日

なぜここへ来たか

ストーリー進行で、つねにこれはチェックしておこう。
主人公はまあ把握しているだろうが、
サブキャラでなんでいるんだっけ、
ということがよくあるからだ。


ストーリーに出演しているキャラクターは、
全員が目的がある。
目的のないキャラは、モブである。
(町を歩くエキストラでさえ、
本来は目的をもって移動している。
だから歩いているのを遮られたら、
「困るよ」というはずだ)

主人公がその場にいるときに、
なぜここに来たかを説明することは、容易だろう。
「〇〇を〇〇するために〇〇から来た」
と説明することができるだろう。
出来ない場合はヤバイ。
ストーリーが繋がっていないことを注意したほうがいいぞ。

主人公は少なくとも、
ある目的を達成するために、
その場所(シーン単位で柱で書かれる)へ、
来ているはずだ。
その目的を達成するか、
それに準じる結果が出るまでは、
そこを動かないはずである。
(次の目的ができたり、その目的を変更した場合は、
例外だろう)

だから主人公には、
「どこから来ましたか?
それまで何をやってましたか?
そして、ここには何をしに来ましたか?」
と問うことができるし、
答えられなければならない。

それが一続きにつながっていることがストーリーだからだ。

で、ここからが本題なのだが、
全ての人物に対して、
これが設定されているべきである。

主要登場人物はもちろんだ。
「ただここにいる人」はいない。
「主人公の付き添いで」でもいいし、
「そのふりをして実は真の目的がある」でもいいし、
「たまたま通りかかった」もあってよい。
その場合「〇〇の為に〇〇へ行くところで、
偶然通りかかった」になるだろう。
「なぜか知らないがここにいる」人はいない。

前に出てからしばらくたって出演したキャラだとしても、
「前に出てから今まで何をしていたか」
「昨日の晩はどこで寝たか」
「ここへはそこからどうやって来たか」
「なにしに来たか」
は設定されていなくてはならない。

カフェの店員がお釣りを受け取る場面であったとしても、
そのカフェの店員は、
朝家から来たのか、朝彼女の家から来たのか、
そしてこのバイトが終わればどこへ行くのか、
まっすぐ帰るのか、
そうした目的があって今お釣りを受け取っている。
短期的には終わったらプレステ5を買いに行こうとしているかもしれないし、
長期的にはバンドでデビューすることが目的かもしれない。

そうした、
色んな人々が、
いまここに集っているときの、
「どこから来たのか」
「何しに来たのか」に、
空白があってはならない。

「ストーリー上の都合上、
ここにいないと成立しない」からここにいるのを、
ご都合主義という。
それは作者の勝手に過ぎず、
不自然なものとなる。

最悪でも、とってつけたような目的が必要だ。
「コンビニに行く途中で通りがかった」でもいい。
なぜいるのかわからないよりも、100倍ましである。


で、やっと本題なのだが、
それを使わないならば、
ご都合主義と同じなのだ。

黙ってたって分らないじゃないか。

何かを設定することは、
それを本編で使うことである。

コンビニに寄る途中ならば、
たとえば喉が渇いてるのを利用して何かをするのだ。
コンビニの袋を劇中で道具として使えるならば、
コンビニの帰りに通りがかったようにすればいいのだ。
そこでスマホをわすれてきた、などのように作り、
次へつなげていけばいいのだ。

もちろん、
主人公の目的のメインストーリーを邪魔するようならば、
それはカットしたほうがいいだろう。
しかし豊かなストーリーというものは、
そうしたサブプロットを利用して進めるものだ。


いまこのシーンに、
5人がそろっているとしよう。
それぞれに問う。
「なにしに、どこから来た?」と。
答えられないなら、
それは脚本が甘いということだ。


役者がそのシーンを演じるときに、
そうしたことが設定されていれば、
すごく役に入りやすい。
それは、目的を持っているからである。
ないなら、自分でつくる役者もいる。
ないのにそこにいるのは、
ただのご都合主義だ。
「おれ、必要ですかね?」なんて言われたら、
アウトだよね。
それは役者じゃなくて、
そのキャラクターに言われているのと同じだぜ。


各自の目的が違っていても、
同じでもいい。
同じ目的の為に違うところから集まって来るのは、
わくわくするからね。
でもいつそれが同じだと知ったんだっけ。
どこから一緒に目的を同じくしようと思ったんだっけ。
そういうことを詰めていくと、
足りないストーリーが浮かび上がってくるかもしれないね。
posted by おおおかとしひこ at 01:10| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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