を調べてみた。
薙刀式、蜂蜜小梅、新下駄、下駄、
あまのあすか、姫踊子草、
かわせみ、ローマ字をピックアップした。
結果だけ先に置いとく。
(クリックで拡大します)
定義されている拗音、外来音の多さの順にならべた。
並べている基準は、99式のローマ字にならっている。
99音あるからかと思いきや、
1999年に制定されたものであるかららしい。なんじゃそりゃ。
ちなみに拗音外来音を同じものとして扱っていて、
その数161。
日本語として使わないもの、無理があるものも入っているのは、
ラテン語の音写が基準だからだそうな。
つまり一応ラテン語にあるやつは少なくともカタカナでこのように書ける、
という信念のもとに定められているものである。
ちなみに、99式で定義されていないものも他にあり、
それを一番下の6個で示している。
クヮ、グヮはいいとして、
ブュってなんだよ。いるのかそれ。クャクュクョってどこで使うんや……。
ところで、
ローマ字の定義はたいへんこれに近い。
PCの黎明期に基準となる外来音があいまいだったので、
現状で使いそうなものをここからピックアップしたのではないかと推測される。
その証拠に、なんとMS-IMEの定義には、クヮ、グヮがないのだ。
一応古語とはいえ、クヮ音は日本語の子音のひとつだったというのに、
ゐゑの配慮はあるくせに、日本語の教養が足りていなかった?
(当時はまだ人名にすゑさんとかいたのかもね)
ともあれ、
この複雑怪奇さが、
おそらくは日本語と外国語の差分の軋轢を一身に吸収している部分かもしれない。
多くの配列はゃゅょ、ぁぃぅぇぉを別のキーとして、
二打(以上)で打つことが多い。
それは見てもわかるとおり、種類が多く、
記憶負担が莫大なことになるからかである。
しかし二打以上打って1モーラの音を打つのは、
やはり不快というものだ。
ていうか、一回1モーラ1アクションに慣れてしまうと、
元に戻るのが大変面倒なんだよね。
カナ配列に慣れたらローマ字に戻る気がしないのと、似ていると思う。
人は、どこまでも短縮していきたいのだ。
記憶負担を最小にするアイデアで、
納得がいきやすいアイデアは、
マトリックスによる規則配置だろう。
姫踊子草、蜂蜜小梅が代表的だろうか。
あまのあすかのマトリックスは、
飛鳥配列に蜂蜜小梅のマトリックスを足そうとするのが、
基本的なアイデアだと思う。
しかし姫踊踊子草の、
キヮ、キゥってなんだよ。キゥイとかに使うつもりだったのか。
このふたつがマトリックスにあるため、もっとも多い配列となった。
おそらくは拗音外来音の定義数の多さは、
一時期ある種のステータスにもなっていたように思われるが、
そのうち記憶できなかったり、誤打が増えたりして、
淘汰されていったような歴史があると考えられる。
(リアルタイムじゃないので、違ってたらすみません。あくまで推測)
ということで、ひとつひとつを見ていこう。
【姫踊子草】
ちょっと水増し感がある。笑
とはいえ、例外がちょっとあって、
それを覚えきれるかなあ、
というのが難しいポイントかな。
マトリックス部分を生かすため、
右手にすべてい段かながあるのは、
運指的にいいことなのかどうか。ホームキーが「き」なのが、いいのかそれ、
という感じがなくもない。
例外的な部分はほぼ左手の2キー同時。
一応単打のカナに関連している場所が多いが、
例外もあり、ちょっと恣意的だなと感じた。
【あまのあすか】
飛鳥のカナ+マトリックスで行けるようになっているアイデアは秀逸だけど、
ちょいちょい例外があるのがね。
作った本人は全部覚えているものだが、
他人が使うのはちょっと難しいかもしれない。
俺用なんだからいいだろ、という論もなりたつけど。
蜂蜜小梅のマトリックスを参考にしているからか、
謎の「ヌォ」がある。これ何に使うんだろう。
【ローマ字】
MS-IMEの定義表を参考にした。
拗音を除いて、これにすべて打ち方が違うのがあるって信じられないね。
子音を全部覚えるのは無理だろう。
使う人のことをまったく考えていない、独善的な設計だと思う。
つくっときましたが問題ないですよね、みたいな言い訳臭い。
二打三打していくのは薙刀式に慣れた今では、大変めんどくさい。
子音+X+母音みたいな感じに統一できないものか……
【蜂蜜小梅】
大変完成度の高い、蜂蜜マトリックスが売りだ。
左手のマトリックスと右手のい段かなの組み合わせで出せるアイデアは、
姫踊子草とどっちが先なのか知らないので、
リアタイの人いたら教えてください。
しかし精査してわかったのだが、例外が微妙にある。
覚えてしまえばよい、という突き放し方もあるし、
いや、いざ使うときなんて覚えていないやろ、
というツッコミもあると思う。
毎回「ヌォ」が謎。
固有名詞にあるのだろうか。
【かわせみ】
左右同時行段系だからこその、
マトリックス的に、しかも同置の関係で沢山生成できるのがポイント。
とはいえ、
わずかながら例外があり、
これは上と同じ議論があるだろう。
【薙刀式】
全部同置ってこういうことさ、の面目躍如だ。
清音拗音は2キー同時押し、
濁音と半濁音拗音、
濁音と清音の外来音は3キー同時押しと、
きれいに纏められらている。
しかも使う音二打(+濁音、半濁音)
という記憶負担をほぼ要しない配置が見事。
(誰もほめてくれないので自画自賛。
排他的配置が効いているのだ)
左手にい段かな、右手に8母音なので、
その意味ではかわせみに考え方が近かったりする。
ちなみにあり得る定義でも使わないやろ、と思ったものは省いているので、
まだ「すぃ」「いぇ」など、ある程度入る余地があります。
欲しい方は改造してどうぞ。
【下駄】
下駄と薙刀式は同着の71なんだけど、
新下駄との比較をしやすいようにこちらに置いた。
薙刀式は行段系のかわせみの同置と比較したほうがよさそうだったので。
拗音、濁拗音はマトリックスで規則的に打ち、
外来音は不規則な2キー同時、
というのが基本的な考え。
一応順番は配慮されてはいるものの、
何指の同時押しだっけ、とか記憶が混乱しがち。
並べ方もすべて同じ規則ではないので、
個人的には記憶がかなり難しかった。
まあぜんぶ覚えられなかったんですけど。
【新下駄】
その反省か、多くの外来音を削っている。
ヴァ行、トゥドゥすらないんだなあと改めて思う。
記憶負担があること、滅多に使わないこと、
またロールオーバーで誤打してしまうこと、
などが省かれた要因だろう。
この割り切りが新下駄の高速の下支えかもしれない。
あったっけ、と迷うと遅くなるからね。
ファフィフェフォ、ウィウェウォ、ティディ、シェジェチェしかないぞ、
というのはわりと決断だと思った。
二打で拗音外来音を打つよりも、
僕はこれらのように、
1モーラ1アクション配列のほうがすぐれていると感じる。
とくに外来音は発音の音写でしかないから、
発音とリズムが一致しているほうがいいと思う。
あとは何を採用して、何を採用しないかは、
ある程度作者の感覚かもしれない。
しかし固有名詞を除いて、
ルゥはカレー以外で使われることはあるのだろうか。
qwertyのカタカナ表記は、
クワーティーなのかクヮーティーなのか、
クオーティーなのかクォーティーなのか、
まだ定まっていなかったり、難しいねえ。
スィング、スウィング、スイング、
どれもswingの音としては正しいので、
そのへんのややこしさとかもあるよね。
sweetのカタカナ表記に、
かつてスヰート表記が使われたことがある。
ワ行をw音に使おうという考え方だ。
スイート、スィート、スウィート、
面倒なことだ…いっそヰを復活させたいね…
サントリーやニッカはまだウヰスキー表記を使ってるかな。
以前も論じたが、
慣用的に広まったものはひっくり返らない。
sweaterなのにセーターとか。
同じ語源なのに業界で表記が異なる言葉も沢山あるだろう。
コンピュータとコンピューターみたいな例が沢山あるはずだ。
thも、タ行とサ行に振り分けてしまっただろうし。
セフィロトなのかセフィロスなのか、
リヴァイアサンなのかリバイアタンなのか、
資料によるものね。
なんてことを考えながら、
各配列の外来音を眺めては、
これが整理される日は来ないだろうなあとすら思う。
ということで、僕は薙刀式の「その場でジェネレートできる」が、
いちばんかしこいと思っている。
定義されているかいないかは打ってみればわかる、
みたいなことで考えている。
なおここでは取り上げないが、
いろは坂では「ねぇ」も扱っている。
外来音ではないものの、「まぁ」「あぁ」
などは間投詞として良く出てくるだろう。
文体によるだろうが。
https://www.fiat-auto.co.jp/archives/FIAT_NUOVA_500.php
長年の謎?が解けました。
カリオストロの城で崖を走ってたやつか。
なら専用キーがあってもしょうがなし!
ちなみに薙刀式の「フュ」はほぼ、
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」専用です。
フュージョンは自分から打ったことがない…。