2020年12月23日

何が困ってるのか、言わせてみる

ストーリーの途中でよくある、
「次になにをしていいか分らない」
という問題を解決するためのひとつの方法。


今何が困っているんだっけ?と、
各キャラクターに問うてみよう。

停滞しているとき、必ずこれが曖昧になっている。
「なんとなく流れでこうなっている」とか、
「分らないのでここにいる」になっているのは危険だ。
「ずっと前にこうしたと思うが、
今はわからなくなった」もあると思う。

「何を困っているのか」ということは、
つまりは動機がきちんとしているということだ。
「〇〇で困っている」となれば、
「じゃあ、〇〇を試そう、〇〇をやってみよう、○○を調べよう」
と次への展開が見えるからだ。

単純にモノに困ってなくて、
人に困っていてもいい。
「誰々に手を焼いている」でも最初はいいと思う。
「じゃあ、どうしたい?」と問うてみるといい。
「排除したい」のか「仲良くなりたい」のか、
「なぜそうなっているのか知りたい」なのかで、
その後の展開は全然変わってくるだろう。

最初は和解するつもりでいたとしても、
相手の反応によっては、
排除へと心が変わっていく可能性もあるよね。
(ターニングポイント)

自分の中のそうしようというつもりと、
現状が異なっていると、
そこでもコンフリクトが起こる。
それを解消しようとすることで、
また行動が加わるだろう。

そのとき「何に困っている?」と聞いてみると、
具体的であればあるほど、
具体的な次の行動は見えてくるはずだよね。


そもそも困っていないなら、
わざわざ行動を起こすわけがない。

物語とは行動で記述されるが、
行動しないのは、
物語が分っていないからではなくて、
今とくに困っていないからかもしれない。

じゃあ、困らせることを起こせばいいんだよ。
ずっと先だと思っていたら、
急に締切が前倒しになってもいいし、
自分が困らなくても、
身内が困ったことになってもいいんだ。

行動を起こすには、それなりの根拠が必要で、
困っていない限り人は動かない。


もちろん、利得があることなら行動することもある。
単に得したいからポイントを溜める、ってこともある。
しかし、それをもっと大袈裟にすると、物語的になる。
あと一円得したら地球が爆発する、
なんて設定を追加するだけで、
ポイントを溜めることは急にドラマチックになるぞ。

たぶん停滞しているときは、
次に何をするべきか分らないときだ。

しかし、困っていないならばわざわざ動きようがない。
「なんとなく困っている」
「困っていることはわかっているが、何をすれば分らない」
なんてこともあるだろう。

それに具体的な方向性をつけてやれば、
ストーリーは動き出す。
困っていないなら停滞(=安定)はやむなしだと思う。


主人公や各キャラに、
「何か困っていないか?」とインタビューすることは、
とても有効なやり方だ。

何も主人公が毎回先手を取らなくたっていい。
別の人物が困って動いた先に、
主人公が行動するべきポイントが現れるかもしれない。

そうしたことを利用するために、
「現時点で、誰がどのようなことで困っているか」
というリストを作ってみるのは、
大変有効である。

一番困っている人が一番動機があり、
一番実現できそうな手段を手に入れた人が、
真っ先に素早く大胆に行動するだろう。

ストーリーとは、つねにこれらの連鎖であるべきだ。


「困ったなあ、どうしよう」はストーリーの出発点。
「こうしよう」はターニングポイント(行動の起点)。
「こうなった」はその結果。
そして「困ったなあ」になり…

が理想だ。
posted by おおおかとしひこ at 00:04| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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