僕は「バックドラフト」のラストシーンがすごく好きで、
新米だった消防士が一人前になって現場に向かう時、
緊張で震えてる新人を、かつての自分のように思って励ますんだよね。
ああ、人間の本質ってそういうところにあるよなと、
凄く感動した覚えがある。
バッドエンドにはよくあるループ落ちだと思う。
麻薬で苦しんだ人が、ラストシーンでまた別の薬に手を出すとか、
ハリウッドに弄ばれた女優が去り、
希望に溢れた新人女優がまたやってくるとか
(「イヴの凡て」のラストシーン。
その新人女優役は無名時代のマリリンモンロー)。
「人はその宿命や悲劇から、
本質的に抜け出すことができないのだ」
というループ落ちはよくある。
「ゴーンガール」のラストもそうだったか。
ホラーや皮肉や絶望を表現するのに向いている。
でも、
人間には、いいループもあるんだ、
というのがバックドラフトのラストシーンだ。
悲劇はいつでも起こる。
それに向かって戦おうとする人は、
たとえ新人でも立派だ。
かつて緊張していた自分をほぐしてくれた先輩のように、
自分もならなければならない。
そのことで、いいループを繰り返すことができる。
バックドラフトのテーマは火事じゃない。
人は、いいループを作ることができるということだ。
火事は単なるモチーフにすぎず、
それを戦争にだって刑事にだってスーパーヒーローにだって、
置き換えられる。
消防士と火事の新しい描き方があったから受けたが、
本質的なストーリーは実に普遍的なことを描いているわけだ。
我々はこうなるべきだ。
脚本なぞ書こうとする人は、
映画が大好きでいろんな作品をたくさんみてて、
ほっといても勝手に何かを見る人で、
映画が現実を忘れさせるほど夢中にしてくれたりして、
そのうち自分でも書いてみたいと思った人のはずだ。
だから映画の世界で貰ったものを、
他の人にもあげることが僕らの役目だ。
勿論同じものをあげちゃダメだ。
僕らが映画からもらったものは、
「全く新しい、すばらしいもの」だったはずだからね。
与えられる人の年齢はもう過ぎた。
あなたは与える人になるのだ。
こうしていいループを続けてきたことを、
サンタクロースというのなら、
サンタクロースはいるよ。
俺たちのことだ。
メリークリスマス。
今年は大岡さんにたくさんのプレゼントを頂きました。面白い記事本当にありがとうございました。
文才も他に取り柄もないですが、与える側になって人の喜ぶ顔が見れるように頑張ります。
メリークリスマス!
砂漠に水を撒いたら、どこかで偶然芽が出るかな、
という思いで脚本論を書いています。
僕が若い頃はどこで勉強すればいいのか分からなかったので、
若い頃の自分に向けて未来の俺が説明してる感じです。
自分自身も書きながら成長してる感じなので、
日々分かったことを書きつけることにしたいです。