コピー打鍵は、コピー元の文字と指と、打鍵組み立てに集中する。
創作打鍵は、文意の組み立てや前後関係や、この文章がもたらす意味や、
言葉の正誤などに集中する。
僕は、集中する対象がひとつも被っていないと思う。
僕がタイピングゲームに夢中になれないのはまさにそこで、
薙刀式でタイプウェルをやらなくなったのもそれが理由だ。
(常用XJは出したいんだけどね…)
タイパーのアドカレは全部読んだけど、
なるほどこういうことを考えているのかすごいなあと思うと同時に、
そこに意識を割いてたら、
何も書けなくなるやん、と思ってしまう。
文章を書くことは、
指先に集中することではない。
文章を書くことは、
レイテンシを上げることではない。
文章を書くことは、
先読みと指の意識のバランスを柔軟に変えることでない。
タイパー達が生涯研究してきた成果を見るのは興味深いが、
それは文章を書くコツには、
一つもいらないものである。
つまり、
タイピングテクニックが多ければ多いほど、
自由に文を書いていくことに対して、
ノイズだと僕は考えている。
文章の修行に、
毎日辞書を読むというトレーニングがあるくらいだ。
新しい言葉を知り、
言葉と言葉の間のネットワークを増やし、
色んな例文に触れることは、
文章力を上げる基礎だ。
「こういう表現が来たら次はこう来る」
は、文章を書いたり読んだりする上で大変重要な予測力だが、
それはランダムベースのタイピングゲームでは、
一生不要な力だろう。
こういうことを言ったら、
こういう人はどう思うか、
それに対する反論はこうだろうか、
などと頭の中で想像を膨らませ、
それに答える形で文章は書いていくものだ。
その力も、タイピングゲームでは必要としない。
もちろん、
文章力は文章力で、
タイピング力はタイピング力で、
別々に鍛えるべきなのかもしれない。
0から分速700字(変換後)/10分程度に至るには、
タイピングゲームは有効な練習方法だと思う。
しかしそれ以降のタイピングゲームは、
文章を書くことに害すらなすのでは無いかと思う。
文章を書くことは大変難しく、
脳の力をフルに使う。
タイピングに脳を使うスペースなどないと僕は思っている。
僕は、だから、
タイピングは消えるべきだと考えている。
優れたナイフは一度持てば存在を消して、
モノの解体だけに意識を集中できるのと同じで、
優れたキーボードおよび配列および入力方法は、
一度ホームポジションを決めたら、
あとは文章を書くためには消えてくれないと困る。
それは、ペンを握って書くくらい、
簡単であるべきだと僕は思う。
最上段ブラインドタッチは、ほとんどの人には無理だ。
小指外の法外に遠いキーは、ブラインドタッチなんてほぼ無理だ。
(出来る人は尊敬するが、すべての人に強要するのがおかしい)
ひとつの言葉を書くのに、
効率の悪い指と動線で書く配列や、
単語ごとに指を変えた方が良くなる配列なんて、論外だ。
僕はタイパーを否定しているのではない。
むしろ尊敬している。
あそこにいくのは才能と無限の努力が必要だ。
だが文章を書く道具は、その才能と無限の努力を、
0で使えるべきだと僕は思う。
薙刀式は、
現在その理想に(僕からみて)最も近い配列で、
MiniAxeと色々改造した物理は、
現在その理想に(僕からみて)最も近い物理だ。
薙刀式は極限まで来ていて、
物理はまだ先に良いものがありそうなので、
もう少し物理を頑張りたい。
次に手を出すとしたら漢直かなあ。
漢字変換のボトルネックは、
薙刀式の打鍵動画を見ても明らかだ。
あのペースで漢直を使いたいのが次の理想なんだよなあ。
(DvorakJからカタカナを送れれば、葦手とかやってみたい。
今のところひらがな入力→カタカナ変換→変換かけて漢直、
と二度手間になる部分を一挙動に出来ないか考えている)
僕はタイピングがきらいだ。
なるべくしたくない。
それはまだ効率の悪い、不恰好な道具だからだ。
もっとタイピングを消えるものにしたい。
創作打鍵のためには、それが必要だと思う。
前後関係や言葉の使い方や、
俯瞰で見て文章全体を考えることに100%意識を向けたい。
手書きで「あの漢字どう書くんだっけ、ああ、こうか」
くらいの詰まり方で、
「この単語や操作どうするんだっけ、ああ、こうか」
くらいに詰まる程度にしたいんだよね。
それってだいたい800字に1、2回程度だと思うんだ。
つまり、798:2くらいで、
内容:指先くらいの意識バランスにしたいんだよな。
ペンの時はほぼそうだ。
ポールペン一本って、4万字は書ける。
タブレットのバッテリー一回充電して、そんなに書けないんだよな。
精々1万字くらいだろう。
そのへんも、別のことが気になる要因。
もっと消える道具にしたい。
しかし速く文章を書いている動画がないので、
イメージが湧かない…
2020年12月29日
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