荒療治というか、免疫療法というべきか。
「メアリースーは良くないぞ」なんて言ったって、
失敗してみないと分からない。
じゃあ転ぶ練習をしよう。
近づかないで恐怖するくらいなら、
皿まで毒を食らって、
そこに落ちない方法を学ぶべきである。
大体三本も書けばわかるので、
完結した話を三本書け。
出来れば長編がいい。
短編だとあんまり実感がないから、
最低1時間ものくらいが3本は欲しいな。
30分ものなら6本に本数を増やすことで対応しようか。
以下のような主人公を徹底的に書きなさい。
・普段は目立たないが、○○の時は隠された能力が最高に出る。
・それは最強、最高。
・その二つ名は○○。
・つまり異能持ちなのだ。
・なぜか周りから人気があり、一目置かれている。
・そう、主人公はまるで俺だ。
本当の俺がそこにいるのだ。
・なんならモテる。うっかり滲み出てるからね。
・絶対的に認めてくれる理解者がいて、
どんな失態も気にせず信頼が揺るぐことはない。
・基本逃げる。何もやらない。
・後始末は、周りの誰かがやってくれる。
・ストーリーを進めるのは主人公ではなく他の何か。
・主人公は流されているだけだが、なぜかうまくいく。
・美味しいところは主人公がいただきだ!
・そして自らのトラウマや暗黒面も持つ。
そう、主人公は可哀想なやつなんだ。なかなか理解してくれないが。
・クライマックスは、これまで一度も動かなかった主人公が、
ついに全能力を解放するところだ!
バッタバッタと敵は死ぬ!
やっぱモテモテになるのはしょうがないよな!
違う舞台、違う主人公、違う異能、
違う敵、違う事件、違う解決の仕方で、
3パターンくらいやってみるといい。
麻薬のように気持ちいいかも知れない。
自分の願望や性癖を満たす凄いのを作ろう。
ヒロインは最高の自分好みにね。
書き終えたらしばらく放置しよう。
そして再読してみるとよい。
うわーやっぱかっこいいわーと言う人は、
ラノベの賞にでも応募したまえ。
才能があるかも知れない。
なんという恥ずかしいものを書いたのだと思えるなら、
黒歴史として封印しなさい。
それをわざと3ループくらい回せば良い。
全能感の麻薬との付き合い方を知ろう。
メアリースーの麻薬は、
自分は吸わずに、
客に吸わせる。
そこまで思えるくらいに、
その麻薬の性質を知るのだ。
まずあなたが中毒になり、解決法を確立しなさい。
薬学者は、こうして薬を作ってきたんだぜ。
三本も書けば飽きる。
自分じゃない、全くの他人である主人公が、
誰かのために何かを解決する、
ご都合の一切ない、自ら切り開く話を書くことが、
こうして出来るようになる。
かも。
2020年12月30日
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