2020年12月30日

本当のストーリーとはこういうことだ(「無人島漂着100日日記」評)

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数ある「100日」系の中で、
群を抜いて作品のクオリティが高かった。
本日、ワニと違い、堂々満足のいく完結。
拍手。

以下ネタバレ。


クォータービューの感じが新しい。
寒天みたいに世界を切り取り、
断面から見えている部分に表現がある。

よくみるとすぐそばに危険が迫っていたりして、
神視点でハラハラと楽しめる。

バナナをあげた猿が、
三日月の石をお返しにあげようとしていたら、
アカメに食われていたのを主人公は知らない、
というのは絶妙にこのアングルならではの面白さ。
その後知らぬうちに主人公はその石を手に入れるのだが、
「それは猿のなんだぜ」って僕らは言いたくなる。
それが寝床に大事に置いてあったりして、
そこに私たちは感情移入する。
とてもうまい。

(その石は、家がバラバラにされたときに無くしたんだよねたしか)

これは、
「登場人物の知っている情報と、
観客の知っている情報に差を作る」手法で、
劇的アイロニーと呼ばれる方法だ。

昔の訳で訳語がよくないので、
僕は「情報の齟齬」と訳していいと考えている。
持っている情報の齟齬を使って、
表現の面白さをつくる手法だ。

後半からは動物との友情ものになるのかな。
一度だけ触れた子供の暖かさとか、いいよね。

アカメ退治も立体的でとても楽しめた。
ワンダと巨像みたいな感じかなあ。


100日目、前日ヌシたちが見守っていることから予想できたように、
大物からの脱出にヌシが助けてくれて、
見事にめでたしめでたしとなってよかった。
襲われて絶体絶命→ヌシが助ける、
を予想してたのだが、最初から曳航だったのは尺の問題か。

この脱出劇のために5日くらい使ってもよかったよね。


100ワニ見てるか?

バズった数じゃねえんだ。
○通がつくかどうかじゃねえんだ。
作品の価値ってのは。
本当に価値のあるものは、金儲けとか考えてないんだ。



これ、ゲームでやりたいなあ。
スマホゲーとかにならないかな。
注目してほしいところをタップして、
それに主人公がリアクションするような感じのやつに。

主人公がいなくても、
箱庭を見ているだけで幸せになれる、
アトリウムのような効果があるよね。
posted by おおおかとしひこ at 18:10| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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