テストでも、解けない問題は先に飛ばして全部を一通りやるじゃない?
そうしないと全体が底上げされないからさ。
ストーリーもそうやって作ってみる手もあるぞ。
ストーリーを書いていく上で、
最もよくある局面は、
「ここからどうやればいいか分からなくて、止まる」である。
「全部で10万字書くから、
100日で書くとして1日1000字ペースでやればよい」
なんて計算はなんの意味もない。
書けるところは一日一万字くらい書けるし、
書けない時は一週間ずっと一文字も書けなかったりする。
それは書いたことのある人だけが知る感覚で、
「ペース配分をしよう」なんてアドバイスする人は、
やったことがない人だと僕は思っている。
川は等速度では流れていない。
流れは急なところもあるし、
穏やかなところもある。
ある地点のその川の全ての水すら、
同じ速度では流れていない。
表面は速いし、底はゆっくりだ。
表面より速く流れている底もある。
岩の手前は遅いし、合流点は速いし、
窪地では渦を巻いている。
執筆もそれと同じである。
結果的に等速度で流れている、
外から見た川を最終的にはつくるのだが、
実情はそうではない。
創作に工数管理なんて意味がない。
管理ができるのは分かっていることだけで、
創作とは分かってないことをすることだ。
だから、
今流れが急激に悪く、
全く前に進めず、
にっちもさっちも行かなくて、
それで書くのを辞めてしまうくらいならば、
テストのように飛ばして次へ行けばいいのだ。
次のシーン、次のブロック、
次の章、なんでもいいので、
次へ飛ばしてしまえ。
「このシーン(ブロックetc)飛ばします」と大きく書いて次の白紙へ行け。
ただし次は、
「○○の危機を辛くも切り抜けた一行は、」
ぐらいから書き始めるのがコツで、
とにかく書けなかったところを、
すでに書いたようなふりをすることが大事だ。
そうして、
虫食いの状態でいいから、
「おしまい」まで書いてしまうのだ。
少なくとも、
「書けなくて前に進めないから、
辛くて(飽きて)辞めてしまう」はなくなる。
あとは虫食いの穴を埋めればいい。
プロットに問題があるなら直す。
後々使う伏線をここで引くならばそうする。
虫食いの便利なところは、
普通に前から書くだけだと、「前からの情報」しかないところだが、
「後ろからの情報」もあることだ。
「こう入って、こう出る」の両方があるわけだ。
虫食いの入れ子もできるよ。
虫食い穴を細分化して、
書けるところだけ書いてしまえばいい。
紙で書いてる時はこれが便利で、
部屋の床や壁に全部原稿を並べて、
虫食いのところだけ蛍光ペンで目立つようにしておく。
全体でどれだけ穴が空いてるか視覚化しておき、
あとどれだけ埋めれば終わるかを自覚すればいい。
引いて見ることができるぞ。
これはデジタル作業ではやりづらいやつだね。
アナログの強みはこういうところにある。
で、コツコツやればそのうち穴は埋まる。
もちろん出来は悪い。
前から順番に書いた方がいいものが出来るのは明らかだ。
しかし完結しないことに比べれば、
ヨレヨレだとしても最後まで繋がった方が、
一億倍偉いのだ。
繋がりさえすればこっちのものだ。
また一から頭から書き直すのである。
そうすれば、もっといい原稿になるだろう。
リライトの時にも詰まる所があるだろう。
だったら飛ばしたっていいんだぜ。
そのうち前に戻って書き直したくなるなら、
戻ってもいいんだぜ。
一文字一文字順番に書き、
ラストまでそうしなければならないルールはない。
「一文字一文字再生されてラストまで体験されるもの」が、
出来上がってさえいればそれでいいんだぞ。
なにせ、出来上がれば反省会が出来るのだ。
「なぜ俺はあそこで詰まったのか?」を、
俯瞰して分析できる。
必ず理由がある。
「○○だったから」がいくつか見つかる。
それは自分の弱点だろう。
じゃあ、弱点を避ける話を作ってもいいし、
弱点を鍛える習作をしてもいいと思う。
出来上がらなかったら、
そんなことすら出来ないから、
出来ないのループにしかならない。
反省会のないところに成長なんてない。
さっさと飛ばしてガンガン埋めていけ。
そういうやり方だってあるんだ。
紙なら思いつける。
紙と自分と紙の外の空間がある。
無限空間のデジタル原稿を見ていては、
永久に思いつかない方法だろう。
2021年01月03日
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