クレショフが、時間軸を持つもの特有のものとして発見した効果。
今日では編集というもので当たり前になされているけど、
改めてその威力を見てみる。
「AとBというものを繋げた時、
それぞれ単独では発生しない、
新しい意味Cが発生する現象」のことだと考えると良い。
A: カードキャプターさくらの広告
B: 次は「桜田門」
C: 「さくらだモンッ!!!」に脳内変換されること
それぞれ単独では存在しなかった、
Cが発生している。
これがモンタージュ効果だ。
A→Bの順にのみ発生して、
逆順では効果がないところから、
時間軸を持つわけだ。
Bに対して、Aを伏線という。
前振りでもいい。
しかし、予告ではない。
次起こることが予測されないからだ。
しかし、Aが前振られたことによって、
私たちの中に、
カードキャプターさくら関係の何かがセットアップされる。
僕は詳しくないので情報量は大したことはないが、
すくなくとも萌え系のセットアップがあるわけだ。
この影響を受けて、
BがCへ変質するわけだね。
この影響そのものが、
時間軸を持つもの特有の現象で、
前駆効果などという。
我々はこれを使うことで、
表現を作っていくわけだ。
逆から考えよう。
Cの発見、
「桜田門って『さくらだモンッ!』みたいな萌え台詞に見えるよね」
が先にあったとしよう。
これをこのまま書いても表現にはならない。
そこで、
「前振りを加えることで、
モンタージュ効果の表現にしよう」
と考えたとする。
じゃあ、あとは何を前振れば面白いかを考えればいいわけ。
「萌えっぽい何か」をAにすればいい、
というところまでは理屈でいける。
ただ、「さくら」という名前の女の子はいそうだなと気づければ、
あとは知識センス問題だ。
僕の知識の範囲で思いつくのは、
スト0のさくら、
サクラ大戦の真行寺さくら、
くらいなので、
「さくらだモンッ!」って言いそうなのは前者かなあ、
くらいで終わってしまう。
しかし爆発的じゃないな、と再考して、
「さくら」「キャラ」あたりで検索すれば、
いずれカードキャプターさくらに辿り着き、
「言いそう」という特徴や、
メジャー度を抑えたAになるだろう。
このように、
「BがCに再解釈されること」ありきで、
前振りのAを、つくることができる。
柔道風にいえば「つくり」なわけだ。
こうしたことを、
いかに意外に組むかで、
モンタージュのキレが違ってくる。
よく使われるモンタージュは、
Aが怪しんでBを見る→もう犯人にしか見えなくなる
などの、
次に来るものへ、前駆効果を足して次へ渡すことだろう。
ほとんど無意識にやっていることだけど、
前振りがあることで、
その後に来たものが、
それ単独以上の意味が追加されていれば、
そこにはモンタージュ効果が効いていると言えると思う。
自然に使える武器ですら、
このように点検して、
意図的に強力に使えるようになっておく必要がある。
もし「BがCに見える」現象を発見したら、
その前にどんなAを前振るのがベストか、
表現のレベルまで煮詰めてみよう。
駅シリーズでいうと、
「田園調布のL'Arc〜en〜Ciel感」と前振っておき、
と繋ぐ例もある。
この場合は謎解きみたいな感じだね。
「?」が前振られている。
謎解きはまさに伏線と解消の関係だが、
もう田園調布がラルクにしか見えなくなるので、
モンタージュ効果が効いてるわけだ。
2021年01月06日
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