2021年01月11日

感情移入のほうが、共感より遠くへ行ける

感情移入と共感は違う。
これはこのブログでよく強調する部分である。
両者を比較してみようか。


【大枠】
感情移入 自分と遠いものにする
共感   自分と近いものにする

【仕組み】
感情移入 自分と同じ部分を他人に見出す(抽象的)
共感   自分と同じ部分を他人に見出す(具体的)

【主人公の問題解決能力】
感情移入 自分と遠いので、いくらでも大きく出来る
共感   自分と近いので、自分くらいしか力がない

【ストーリーの起伏、スケール】
感情移入 能力が大きいからダイナミックな話になる
共感   能力が小さいから小さい話にしかならない

【多くの人を引き付けられるか】
感情移入 誰にも当てはまるものだから、多くの人が相手
共感   その「あるある」が理解できない人は、対象でない

【テーマ性】
感情移入 どの時代、どの国でも成り立つ普遍性
共感   その文脈しか分らない人用、きわめて狭い範囲


強烈に共感する時代性は大事だけど、
それだけじゃ狭いし、
三か月も過ぎたらその気分は終わっているかもしれない。
尖ったところはいずれ腐るのだ。

それよりも、どんな時代でもどんな人にでも、
感情移入させられるようなストーリーのほうが、
遠くへ、広く、行くことが出来る。


共感を防いで感情移入をマスターするには、
「あるある」を禁止することだろう。
ディテールじゃなくて、
与えられたシチュエーションと行動で、
感情移入していけるようにしよう。
posted by おおおかとしひこ at 00:04| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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