完璧なものをつくっていくと思うと、
にっちもさっちもいかなくなる。
完璧でないならば、作らないほうがいいとすら思ってしまう。
それじゃあいつまでも完成しない。
「これはこれで完成させる」と思うと、
とりあえず最後までは書けるぞ。
初心者にありがちな現象でもっともあるものは、
「最後まで書けない」である。
そもそも実力がないから、というのもあるけど、
無理矢理にでも完結させればいいのだ。
完結さえすれば、リライトという直しで、
もっとよくすることが出来る。
完成しないのは、その機会すら失う。
うーん、最初に思ってたのと違うな、
もっと面白くなると思ってたのに、
と一回思ってしまうと、
「これ以上書く意味ある?」なんて考えてしまう。
「自分は才能がない」とか、
「こんな不完全なものは世間に存在する意味がない」とか、
ネガティブになり、ついには挫折することはよくあることだ。
その時は、完結を優先したほうがよい。
「これはこれで、先へ進もう」と思うとよい。
どんな名作でも、だれるところはある。
全部が全部100点ではないよ。
ちょっと詰まんないなあ、なんてところはあって、
でもうおおおおってところもあって、
トータルで名作なのだ。
詰まんない部分は詰まんないから意味があるかは分らない。
書き直せば、もっと面白くなって、
より点数があがるものをつくれる可能性はゼロでない。
しかしプロの作品というものは、
100点になったからリリースされたものではなく、
締切が来たからリリースされたものだ、
ということを考えればよい。
人間を一番動かすのは締切だ。
夏休みが無限にあったら宿題は一生終わらないだろう。
プロが完結しているのは、
あらゆる可能性を尽くして、ベストの形になり、
自信一杯でリリースしたものではなく、
締切まででの、ベターの形をリリースしたに過ぎないのだ。
だから、完璧な作品などない。
どこかに瑕疵がある。
じゃあ、自分のもそれでもかまわないと気楽になれ。
完璧でないことで批判されることはあるだろうが、
完結しないことよりはよっぽど良い。
批判の板の上に乗らない限り、「次はこうするぞ」がないからだ。
「描かない漫画家」というのがあったが、
描かないことで批判を避ける心理が人間にはある。
批判が怖くて、完璧でないことで、
創作をやめてしまうことは一番よくあることだ。
だから、
「まあこれはこれでいいや」という諦め力が大事だ。
ひょっとしたら、
ここを抜けたら前の面白さを取り戻し、
作品全体で一番つまらなかったパートが、今なのかもしれない。
これはこれで、と進めよう。
あとで気になったら直せ。
あるいは、
「気に入らないが、これはこれで進める。あとで戻って来る」
と赤字でメモを取り、
書き終えたあとで戻って来ること。
以前書いたように、そこを飛ばして、
先を書いてしまってもいいのだ。
これはこれで。
妥協というと大げさだが、
「悪くない」「苦しゅうない」というのは、
案外いい感じの湯加減かもしれないよ。
別の情報を入れたら、新しく思いつくことはよくある。
それまで寝かせておくか、
さっさと書いてしまうか。
ノリノリで書かないといけない法律はない。
これはこれで、次行けるぞ、
というレベルで進めていくだけで、
意外と書けてしまうことは、稀によくある。
数をこなすということは、
そんな、オール100点以外の経験を積むことでもある。
個人的にテーマとそれを表現するのに最適なモチーフを思い付くのがむちゃくちゃ難しく、毎回こんでいいのか?と考えてしまいます。
でも、まずつまらなくても良いからとにかく完成までこぎ着ける。
これが大事なんだなと…。
完成させてしまうとつまらないものしか描けない自分と向き合うことになり、それが辛いのですが、そういった完璧主義を捨てて「今回はこれで良い」と割りきる考えも大切なんですよね…。
まあ、慣れですね。
慣れるためには数をこなすのが大事で、
全作品100点にならないことを体験することです。
3本くらいだとどれも可愛くなってしまうので、
昔のおかあさんみたいに10人兄弟くらい生んでしまうといいと思います。
あくまでそれは習作と考えて、
本気を出すべき作品もたまにやると。
そうやって自分の武器を少しずつ貯めていくといいでしょう。
すぐ弾切れになるけど。