2021年01月15日

テンポコントロール

心臓の鼓動のペースと考えると、わかりやすいかも知れない。


展開の早いところは、心拍数が上がる。
危険、危機、大きな決定、
ドキドキが多いところは、心拍数が上がる。

展開がゆったりになると、心拍数が下がる。
落ち着いて考えたり、
深いところを探ったり、
慎重になったり、
笑ったり、味わったり、
過去の話をするところなどは、心拍数が下がる。

ストーリーは旅であるが、
マラソンだと考えても良い。

走り出しから飛ばせば心拍数は上がるが、
どこかで歩いて、心臓を休めないとまた走れない。
(第一作者がムリーってなる)

最初は普通でも、
徐々に上がってくるパターンでは、
ノリがどんどん上がってくる。

二時間心拍数を上げっぱなしにしたら、
心臓が持たない。
ずーっと低調なのは、退屈な散歩だ。

ストーリーテラーならば、
このマラソンの心拍数の上げ下げも、
上手にコントロールしなければならない。


これはストーリー作りとは少し違う要素で、
執筆やリライトのときに意識することだと思う。


どういうテンポで展開すれば、
どれくらい心拍数は上がるか、下がるかを考えて、
全体を面白いコースに設計するということだ。

ジェットコースターの設計、
マラソンコースや自転車レースのコース設計、
のようにイメージするといいだろう。

あるいは、自分の執筆のノリのコントロールでもある。
このあと落ち着くところがあると知ってるなら、
全力まで出し切って心臓を圧迫していくが、
どこで落ち着くか分からないなら、
中途半端な加速になってしまうかもしれない。
コースの下見でペースコントロールを作るのだ。
その下見とはずばりプロットのことだ。


最大心拍数はどれくらいが適切か。
それがどれほど続けば心臓は破れてしまうか。
それが休まるにはどれくらいまで落とせばいいか。
休みすぎて退屈するのはどこか。
じゃあどの辺からまたアップしていけばいいか。

自分が走り続けることを想像する。
その心拍数を測るような気持ちだ。

「心臓破り、心臓破り、心臓破り」よりも、
「軽いドキドキ、一気に心臓破り、
下がって落ち着いたと思ったら心臓破りマックス」
のほうが絶対面白い。
予想と裏切りをうまく使うことだ。


リライトの時は、
そうした心拍数にも気をつけるべきだろう。

このコースは走ってて面白いか?
このコースは走らせられて面白いか?
このコースはいつのまにか夢中になるか?
それは、心拍数と関係していると思うよ。

音楽の場合は、BPMや編成の厚みみたいな、
物理的に測れる指標があるけど、
ストーリーテリングは作者の感覚だ。
それに敏感になるように。

わかりやすいのは心拍数のグラフを書くことだけど、
そんな風にほんとに書けてるかな。
気持ちは少し後からついてくるよね。


あるいは、
常に初見のランナーの気分になって、
コースの見通しを良くしたり、
わざとブラインドコーナーを作ったりする。

ドキドキは、つくれる。
posted by おおおかとしひこ at 00:36| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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