逆から考えたり、
全然違う組み合わせを考えるのは、
アイデアの基本だ。
大抵はめちゃくちゃで無理があるんだけど、
たまに当たりがある。
苦手な人もいるので、こういうところから練習しよう。
【動詞+目的語】
「AをBする」の形のものを、10個書く。
「飯を食べる」とかでいい。
なんでもいいぞ。
一つ目を見よう。
Bをそのままにして、なるべく意外なAを10個書いてみる。
逆に、Aをそのままにして、なるべく意外なBを10個書いてみる。
これを、他の9個についてもやる。
すぐに200の何かが生まれる。
面白そうなのは2、3個だろうね。
それに丸をつけて、アイデアノートにでも保存する。
【形容詞+名詞】
「AなB」の形のものを、10個書く。
「美しい景色」とかでいい。
なんでもいいぞ。
同様に、
Bを固定して、なるべく意外なAを10個書く。
Aを固定して、なるべく意外なBを10個書く。
同様に、
残りの9個もやれば、200のアイデアが生成される。
同様に、面白かったやつをアイデアノートに保存する。
これ、機械で代替できるかな?
世の中の動詞や目的語、形容詞や名詞が登録されてれば、
ランダムで組み合わせを作れるのでは?
今、意外な組み合わせを得ることが目的ではない。
あなたの中に、どういうアイデア体系が埋まっていて、
それをどうやったら外に出せるかを訓練している。
あなたの中の発想がどれだけ普通で、
どこは非凡かを探す為にやっている。
あるいは、自分は何が面白いと思うか、
その興味や傾向を知る為にやっている。
「自分の中から何が出やすいか/出にくいか」
「自分は何を面白いと思い、それが客観的に見てハズレがあるか」
「世間はハズレと思っても、自分はアタリを拾えると思う根拠はなにか」
などを知るのが目的である。
結果的に面白いものを出すのは仮の目的で、
あとあと使えればラッキーだけど、
自分の発想そのものにアクセスしようとするのが、
このトレーニングの目的である。
もちろん手書きでやろう。
アイデアは、頭と字が直結するべきで、
漢字変換とか改行操作とかが介入するべきではない。
あるいは、
アイデアというのは活字のようなきっちりした形になる前の、
もっとふわっとしたものだ。
それを作るのに、先に活字に受肉させるべきではない。
【動機+行動】
「AゆえにBする」を20個。
「ムカついたので殴る」とかでいい。
もっと劇的なものでもいいし、
日常的なものでもいい。
Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。
全部で400個できる。
10個くらいは面白いのがありそうだ。
これを元にプロットを作ることもできそうだね。
良さげなやつはアイデアノートに保存だ。
【象徴】
「AはBの象徴」を20個。
「武器は男根の象徴」とかでいい。
よくある象徴でもいいし、
どこかで見た象徴でもいい。
Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。
全部で400個できる。
なぜAがBの象徴になるのか、理由は考えなくて良い。
もし、その理由が思い付いたら、
それはある種のストーリーになり得る。
それは是非アイデアノートにメモしなさい。
意外なものがこうした顛末で、意外なこれの象徴になったのだ、
というのは、新しいストーリーを含む。
【人物】
「Aな性格のB」を20個。
「時間に正確な運転手」とかでいい。
Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。
めちゃくちゃな人物像になるだろうか。
それともこういう人がいて欲しいという人物像だろうか。
面白そうなキャラクターはメモしておこう。
【舞台設定】
「AなB」を20個。
「楽しい学校」とかでいい。
「自由が丘はおしゃれで静かな街」みたいな形式でもいい。
Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。
破天荒な場所になるだろうか。
面白そうな舞台はメモしておこう。
さて、たくさん溜まった?
良さげなアイデアはいくつも出ているかも知れない。
で、短編課題。
そのメモしたアイデアたちから、3つを選びなさい。
書きたい、書けそうなやつを選んでもいいし、
あえてランダムを入れてもいいよ。
人物で3つ使ってもいいし、要素をバラしてもいい。
で、その3つを必ず使うストーリーを一本作りなさい。
つまり三題噺である。
プロット形式でよいので、A4一枚に収めること。
さらに、使わなかったアイデアから3つを選び、
もう一本、もうn本書いてもいいよ。
そのうち、アイデアは枯渇する。
2つを使った二題噺、
1つを使った一題噺、
前に使ったやつを再利用した別の話を作っても良い。
アイデア出しに戻り、
また続けても良い。
これは、ほとんど作家の日常のシミュレーションである。
こうしたことを毎日やってるかどうか、
ということなのだ。
タイピングを使わずに手書きで、
と僕がいうのは、
小さいメモ帳ひとつあればいつでもどこでも出来るからだ。
起動や機材セッティングを待つ時間にアイデアは蒸発するし、
漢字変換の途中にアイデアは蒸発するし、
漢字変換や確定している間に次のアイデアも蒸発する。
充電を気にしなくていいし、コーヒーこぼしても風呂に持ち込んでもOKだし、
夜中に起きて書くことも可能だ。
あ、って思ったら、路上に座り込んで書いてもいいんだ。
いきなり東銀座駅のホームで2時間座って6000字の小説を書き出すのは、
ノートPCには出来ない芸当だ。
ポメラなら出来るかも知れないが、
ローマ字と漢字変換、総覧できない狭さが邪魔をするだろう。
メモ帳は小さいやつから大きなやつまで、
何冊あってもいい。
大きなやつに小さいやつを貼りつけて一元化してもいいし、
整理せず何冊もまとめとくだけでもいい。
パラパラとめくりながら、適当にサルベージするには、
複数の形式の違うやつの方がアイデアはスパークしやすい。
色んなものを入れ替えよう。
明日になったらまた違うことを考える。
一ヶ月先は、また違うことを考える。
定期的にやると、アイデアは貯まる。
何冊貯めたっていいぞ。手塚はいつも10冊は貯めていた。
そのうち、そのどれかを使って何かを書きたくなるだろう。
じゃあ、その作品用のアイデアノートをおろして、
思うままに書きつけていけばいいのさ。
2021年01月23日
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