2021年01月23日

入れ替えのレッスン

逆から考えたり、
全然違う組み合わせを考えるのは、
アイデアの基本だ。

大抵はめちゃくちゃで無理があるんだけど、
たまに当たりがある。

苦手な人もいるので、こういうところから練習しよう。


【動詞+目的語】

「AをBする」の形のものを、10個書く。
「飯を食べる」とかでいい。
なんでもいいぞ。

一つ目を見よう。
Bをそのままにして、なるべく意外なAを10個書いてみる。
逆に、Aをそのままにして、なるべく意外なBを10個書いてみる。
これを、他の9個についてもやる。
すぐに200の何かが生まれる。

面白そうなのは2、3個だろうね。
それに丸をつけて、アイデアノートにでも保存する。


【形容詞+名詞】

「AなB」の形のものを、10個書く。
「美しい景色」とかでいい。
なんでもいいぞ。

同様に、
Bを固定して、なるべく意外なAを10個書く。
Aを固定して、なるべく意外なBを10個書く。
同様に、
残りの9個もやれば、200のアイデアが生成される。

同様に、面白かったやつをアイデアノートに保存する。


これ、機械で代替できるかな?
世の中の動詞や目的語、形容詞や名詞が登録されてれば、
ランダムで組み合わせを作れるのでは?

今、意外な組み合わせを得ることが目的ではない。
あなたの中に、どういうアイデア体系が埋まっていて、
それをどうやったら外に出せるかを訓練している。
あなたの中の発想がどれだけ普通で、
どこは非凡かを探す為にやっている。
あるいは、自分は何が面白いと思うか、
その興味や傾向を知る為にやっている。

「自分の中から何が出やすいか/出にくいか」
「自分は何を面白いと思い、それが客観的に見てハズレがあるか」
「世間はハズレと思っても、自分はアタリを拾えると思う根拠はなにか」

などを知るのが目的である。
結果的に面白いものを出すのは仮の目的で、
あとあと使えればラッキーだけど、
自分の発想そのものにアクセスしようとするのが、
このトレーニングの目的である。

もちろん手書きでやろう。
アイデアは、頭と字が直結するべきで、
漢字変換とか改行操作とかが介入するべきではない。
あるいは、
アイデアというのは活字のようなきっちりした形になる前の、
もっとふわっとしたものだ。
それを作るのに、先に活字に受肉させるべきではない。


【動機+行動】

「AゆえにBする」を20個。
「ムカついたので殴る」とかでいい。
もっと劇的なものでもいいし、
日常的なものでもいい。

Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。

全部で400個できる。
10個くらいは面白いのがありそうだ。
これを元にプロットを作ることもできそうだね。
良さげなやつはアイデアノートに保存だ。


【象徴】

「AはBの象徴」を20個。
「武器は男根の象徴」とかでいい。
よくある象徴でもいいし、
どこかで見た象徴でもいい。

Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。

全部で400個できる。
なぜAがBの象徴になるのか、理由は考えなくて良い。
もし、その理由が思い付いたら、
それはある種のストーリーになり得る。
それは是非アイデアノートにメモしなさい。

意外なものがこうした顛末で、意外なこれの象徴になったのだ、
というのは、新しいストーリーを含む。


【人物】

「Aな性格のB」を20個。
「時間に正確な運転手」とかでいい。

Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。

めちゃくちゃな人物像になるだろうか。
それともこういう人がいて欲しいという人物像だろうか。
面白そうなキャラクターはメモしておこう。


【舞台設定】

「AなB」を20個。
「楽しい学校」とかでいい。
「自由が丘はおしゃれで静かな街」みたいな形式でもいい。

Aを固定して、意外なBを10個。
Bを固定して、意外なAを10個。

破天荒な場所になるだろうか。
面白そうな舞台はメモしておこう。



さて、たくさん溜まった?
良さげなアイデアはいくつも出ているかも知れない。


で、短編課題。

そのメモしたアイデアたちから、3つを選びなさい。
書きたい、書けそうなやつを選んでもいいし、
あえてランダムを入れてもいいよ。
人物で3つ使ってもいいし、要素をバラしてもいい。

で、その3つを必ず使うストーリーを一本作りなさい。
つまり三題噺である。

プロット形式でよいので、A4一枚に収めること。


さらに、使わなかったアイデアから3つを選び、
もう一本、もうn本書いてもいいよ。

そのうち、アイデアは枯渇する。
2つを使った二題噺、
1つを使った一題噺、
前に使ったやつを再利用した別の話を作っても良い。

アイデア出しに戻り、
また続けても良い。



これは、ほとんど作家の日常のシミュレーションである。

こうしたことを毎日やってるかどうか、
ということなのだ。

タイピングを使わずに手書きで、
と僕がいうのは、
小さいメモ帳ひとつあればいつでもどこでも出来るからだ。
起動や機材セッティングを待つ時間にアイデアは蒸発するし、
漢字変換の途中にアイデアは蒸発するし、
漢字変換や確定している間に次のアイデアも蒸発する。
充電を気にしなくていいし、コーヒーこぼしても風呂に持ち込んでもOKだし、
夜中に起きて書くことも可能だ。
あ、って思ったら、路上に座り込んで書いてもいいんだ。

いきなり東銀座駅のホームで2時間座って6000字の小説を書き出すのは、
ノートPCには出来ない芸当だ。
ポメラなら出来るかも知れないが、
ローマ字と漢字変換、総覧できない狭さが邪魔をするだろう。


メモ帳は小さいやつから大きなやつまで、
何冊あってもいい。
大きなやつに小さいやつを貼りつけて一元化してもいいし、
整理せず何冊もまとめとくだけでもいい。
パラパラとめくりながら、適当にサルベージするには、
複数の形式の違うやつの方がアイデアはスパークしやすい。



色んなものを入れ替えよう。
明日になったらまた違うことを考える。
一ヶ月先は、また違うことを考える。
定期的にやると、アイデアは貯まる。
何冊貯めたっていいぞ。手塚はいつも10冊は貯めていた。

そのうち、そのどれかを使って何かを書きたくなるだろう。
じゃあ、その作品用のアイデアノートをおろして、
思うままに書きつけていけばいいのさ。
posted by おおおかとしひこ at 00:01| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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