2021年01月30日

日常が破れる方向

企画を考えよう。ざっくりでいい。
何がおもしろそうか?
プロットについて面白さを考えるときは、
「それが日常が破れる方向か?」と考えてみるといぞ。


今の、この、日常を維持した話なんて、
何も面白くない。
わざわざ金を払って見る価値のある話とは、
「今のこの状況をぶっ壊す」ものである。

これがバッドエンドになるならば、
ぶっ壊し損かも知れない。
(スッキリする、という程度のストレス発散は出来るかもだが)
これがハッピーエンドになるということは、
「壊したことが(結果的に)良かった」
とならなければならないのだ。

まずはそこまで考える余裕がないだろう。
だから、まずは、
「これは今の世の中を、このようにぶっ壊している」
と考えるのが良い。

今の日常と遠いほど、面白いだろう。
SFやファンタジーが面白いのはそういうことだ。
あるいは、
この日常世界が舞台だとしても、
「まるで立場が危うくなるとんでもない事態」
ということになれば、それは面白そうな話になる。

じゃあ、どういう立場が危うくなる事態なのか。

不倫か。犯罪か。失敗か。はめられたのか。
誤解か。炎上か。ミスか。勘違いの天狗か。
誰かに怪我を負わせてしまったのか。
色々あるだろう。
リアル寄りでもいいし、もっとめちゃくちゃでもいい。
どうしたら日常を逸脱するか、日常が破れてしまうか、
考えるだけのことである。

恋をしたら日常は日常でなくなるから、
あらゆるラブストーリーは日常が破れる。
出産や結婚、就職、クビ、死などもそれまでの日常が大きく破れる瞬間だから、
よく使われる手である。

どんな破れ方をしたら、面白くなるだろう?
こういうシチュエーションに陥った人の話、
と聞いて、より面白さを感じるのは、
大体日常が破れて、とんでもない目に遭う人の話だ。

その、何をどう破るかだけを考えてみよう。

どう回復するか、どう解決するかまで考える必要はない。
50個、100個考えたまえ。
未来の自分への無茶ぶりで良い。
無責任に、こういう大変な事態の人を見たい、
ということだけを考えるとよい。

それらを眺めて、
「そこに陥った人は、こういうことならば、
これを脱出できる」
と条件付きで思いつくかもしれない。
50個、100個のうち、1、2個思いつけば儲けもの。
それはおそらくプロットになる。

思いつかない残りを眺めて、
どういう方法ならこれを解決できるかなあ、
と考えるだけで、ストーリーの訓練になるだろう。

人は第一手で解決に興味が湧くわけではない。
最初に興味があるのは、
「どういう困った状況か」
「どういう風な日常の破れ方か」
だと思う。
まずそれが引きにならない限り、
第一手目のツカミは出来ないだろう。


これは、このような、
日常が破れてしまった人の話。

ネタバレ無しで紹介するときもこうだろう。


たとえば「コロナで会社が縮小し、ホームレスになってしまった人」
でもいい。
(解決方法は分らない)
なんでもいいから、
破れた日常を沢山設定してみよう。

なるべく面白い破滅、転落、不幸を考えてみよう。
posted by おおおかとしひこ at 00:38| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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