2021年02月10日

減速ポイントはふたつある

経験上、二か所の魔のポイントをクリアしないと、
ストーリーの速度は落ち、
詰まらなくなってしまうことがよくある。
二幕前半の前1/3あたりと、
二幕後半の前1/3あたりだ。


それぞれ、前に、
第一ターニングポイント、ミッドポイントという、
大きなストーリー転換点があり、
おそらくはかなりのイベントだったことだと思う。
それが終わってちょっと落ち着いて、
次にするべき大体の方向性は分ったものの、
まだストーリーが乗っていない、
平らな部分がそれになると思われる。

大体、
第一ターニングポイントまでは緊張して書けるものだが、
それ以降どうしてよいかわからなくなり、
第二幕で苦労することはよくある。
そこをクリアしても、
ミッドポイント明けに、同様の症状を呈することは、
稀によくある。

なんだろう、五月病に似ているのだろうか?



で、色々考えてみると、
どんなものでも、承の部分が難しいという法則はあると思う。

立ち上がりは書ける。
落ちも書ける。
クライマックスも書ける。
その「間」が難しい。

立ち上がりから一気にクライマックスに行くような、
短編なら書けても、
立ち上がったものとは別のベクトルが必要とされる、
承の部分は、とても難しい。

正解がないことが余計に分らなくなる。


じゃあ、
第一幕の1/3、
第三幕の1/3でも同じ現象があるかというと、
二幕のそれほどではないことが分る。
ここが多少苦しくても、
その後にあることのほうがよく書けるから、
そこの苦しさはそこまで記憶に残らないのかもしれない。

しかし第一幕のオープニング明け、
クライマックスの真の対決の前の部分、
などは多少苦労したことがあるかと思う。

どうやって書いたらいいか分らないし、
未だにベストがなんだったか分らないが、
まあ書けたしヨシ、ってのが実情ではないかと思う。

つまり、承の部分の答えを理論的に導く方法はない、
というのが僕の経験則だ。

それをもっともプレッシャーが高い状態で要求されるのが、
二幕前半、後半の、1/3あたりではないか、
というのが僕の説である。


で、まずは「そこは難所なんだ」という知識を持つことが前提だと思う。
それを知らないと、
「その前まではあんなに書けたのに、
なぜここで詰まるのだろう?
俺は調子に乗っていただけで、
才能がないのではないか?
読み直してみよう。
…やっぱり才能がない」
という負のループにはまりがちだと思う。

ストーリーを書く上で、
もっとも障害は、
伏線の回収やキャラクターやテーマではなく、
「自信を失うこと」である。

その場所は、難所で、自信を失いがちな所だ、
という事前知識があれば、
「来た来たハイここね」と、鷹揚に構えてられると思うんだよね。
知らないと、
「なんで書けないんだ! やっぱ才能か!」
となるだけだからね。

多分ここは、どんな名作家でも困るポイントだと思う。
名作を研究すると、
だいたいこれのどっちかがダレるポイントになっていることが多い。
ラストの印象で名作にはなっているものの、
よくよく見ると、どっちかはたいていだれている。

全てが完璧な作品などないから、
瑕疵があるとすると、大抵ここらへんなんだよね。

それはやはり、
展開ということがいかに難しいか、
を物語っていると思われる。

じゃあどうしたらいいか?

それは全ての作家に突きつけられた課題だ。
お楽しみポイントで乗り切る手はひとつある。
それを事前に一杯用意していることは、
ひとつ手としてあるよ。

そもそも、そのお楽しみポイントを、
プロットやテーマより先に思いついていた可能性も高いしね。
そこは、ノリノリでお楽しみポイントで、
遊んでいい所なんだよ、
って自分に許可すると、
わりとうまく行くかもしれない。

ただし、スプレッドを繰り返して、
話が進まないと退屈がやって来る。

そのときに、次へスムーズに進行できるのか、
ということは大事かも知れない。
スムーズなストーリー進行をどうするかは、
これまで何が問題となっているのか、を整理して、
どこから手を付けるべきか、
ということと関係がある。


彼女と付き合い始めたはいいが、
これからどうしていいか分らないとき、
どうすればいいか?
という問いと似ていると思う。

「それを始める前に思い描いていたことを、
一通りやってみる」がいいんじゃないかな。

もしそれがなかったら危険だ。
そういう時は、
前の幕の焦点とは違う焦点を思いつき、
まずは目の前のそれに集中できるように誘導しよう。

それが本筋とどう絡んでくるか、
先に組み立てていないと、
話は迷子になると思う。


つまり、その後の本筋への、
今は前振りの時間帯なのだ、
と考えると、
この難所を抜けやすいかもしれない。

どうしていいか分らないなら、
何かやってみるといい。
ダメだったとしても、あとでリライトすればいいさ。
次へ進み、
次のストーリーの重要ポイントにさえなれば、
速度は回復する。
それまで耐える時間帯だと思えばよい。

みんなここが苦手なんだと思うと、
気が楽になるのではないか。
posted by おおおかとしひこ at 00:44| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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