2021年02月02日

【薙刀式】ブラインドタッチは周期表の暗記じゃない、新しくスポーツを始めること

ブラインドタッチが出来る人は、
いまだに日本人の3割程度なのだろうか。
残り7割が出来ないというのはあまりに切ない。

そもそもブラインドタッチしづらいqwertyローマ字と
(A小指とか、TYとか)、
そもそもブラインドタッチしづらく、
機能キーも遠いロウスタッガードキーボードで、
ブラインドタッチをマスターしようというのが間違いで、
合理的な新配列と合理的な物理配列の自作キーボードの方が、
ブラインドタッチをマスターしやすいのだが、
そこは置いといて、
ブラインドタッチそのものはこういうことだ、
ということを整理しておく。


ブラインドタッチが出来ない人の、
ブラインドタッチに関する最大の誤解は、
丸暗記をすることだと思い込んでいることだと思う。
「どこに何があるか覚えてるの?」
と無刻印キーボードを使っているとよく聞かれる。

まあ勿論覚えてはいるけど、
元素記号の周期表のような、
年表や年号のような、
丸暗記や写真記憶で覚えてるわけじゃないんだよね。

○のキーはどこかな、
えっと(頭の中に映像を浮かべて)、
あったあった、ここだ、
と押しているわけではないのだ。


仮に「○△□」という言葉があるなら、
言葉単位で指の動きがあり、
○と△と□を順番に押すのではなく、
○△□というひとかたまりの動作をすることが、
ブラインドタッチを覚えることだ。
一個一個のキー単位のテーブルではなくて、
「言葉と運動の対応」で覚えるのである。

だから、新しいスポーツを始めるのに近い。

たとえば野球を知らない人が始めたとして、

バットを持ってボールを打つ、
球を投げる、
グローブで取る、
フライを取る、
ゴロを取る、

なんて感じで、「一連の動き」をスムーズに出来るようにするよね。
何回も練習して、
パッと思ったらそれが自動的に出る感じ。

この一個一個の新しいムーブが、
ブラインドタッチにおける、
ひとつの単語に相当する。

ある程度単語をマスターすると、
あとはパーツパーツの組み合わせになるので、
急に文章が打てるようになる。

野球も同じで、基本ムーブをある程度マスターすると、
野球的な動きが出来るようになる。

だから、
「ここからここまではマスターしてなくて、
ここから以降はマスター」というものではない。
「ある程度の組み合わせが出来るから、
あとはやりながら滑らかになっていく」
の状態が、一通りマスターした、
ということになると思う。

周期表や年表の暗記だと、
何個のうち何個覚えたか、
みたいに達成度を数字で示せるけど、
野球のムーブは○%マスターした、
と計算しづらい。
ざっくり半分、ざっくり7割、ほぼほぼマスター、
どこへ出しても大丈夫、
くらいの段階はあれど、
数値的にどれくらい、というのは測定できない。


ブラインドタッチができている状態では、
不思議と周期表のように配列を答えられないんだよね。
Aの二個右のキーは?って咄嗟に答えられない。
指を動かしてみて、ああ、Dだ、と初めてなる。
まずAを打ってみて、
Aと一個隣を含む言葉を思い出して、一個隣はSかと分かり、
Aと二個隣、Sの一個隣のどっちかを含む言葉を思い出して、
ようやくDかとわかる程度だ。

それが、写真記憶ではなく、
ムーブとして体で覚えていることの証拠である。


新配列は、ブラインドタッチ前提だ。
配列の見た目ではなく、
言葉と運動の関係を設計し直したものである。

自作キーボードもほとんどはブラインドタッチ前提で、
ブラインドタッチの指の動きを、
もっと無駄なく効率化できないか、
という物理配列を追求している。

ということにも関わらず、
新配列って、配列図がアイデンティティーになっちゃうんだよね。

そういう風にしかプレゼンできないからなんだけど、
本当は、
「この配列は○○とか△△とか□□とかいう言葉を、
こういう風に指を動かして打つ」
みたいな、ピアノの即興演奏みたいなデモになるべきだよね。

薙刀式では、一部「ある」「ない」「する」「して」「こと」「てき」「ょう」
なんて頻出二連接をいいところのアルペジオに当てている、
なんて説明するけど、
言葉と指の動きはもっともっと複雑なので、
そこをどうやったら示せるかなあ、
などといつも考える。


ブラインドタッチがどういうものか、
マスターしたことのない人は、
新しいスポーツをひとつマスターすることを想像するとよい。
基本ムーブを何個も何個も覚えて、
あとはそれを組み合わせて自由演技、
みたいなイメージで、
新配列またはqwertyをやってみるといいかもしれない。

もっとも、qwertyの指の動線効率は無駄が多く、
新配列をより僕は勧める。
qwertyローマ字のブラインドタッチは、
ブラインドタッチしやすいブラインドタッチじゃないと僕は思う。
もっとブラインドタッチしやすい、
薙刀式をはじめとした新配列を使うべきだとは思うがね。

あ、もちろん、指の動線効率が合理的な、
左右対称な自作キーボードを使った方が、
ブラインドタッチしやすい手の形を作りやすい。


最初に戻るけど、
日本人の7割がブラインドタッチが出来ないのは、
日本人が愚かなのではなく、
qwertyローマ字というブラインドタッチするには難しい配列と、
ブラインドタッチするには合理的でない歪な物理キーボードのせいだと、
僕は考えている。

qwertyは特殊すぎるよ。
「一番使う音を、まず最弱の指に当てます」
なんて拷問の初手じゃん。


新配列や自作キーボードに手を出す人は、
もともとブラインドタッチが出来る人が、
乗り換えるパターンが多いと思う。
僕みたいな、
デファクトではブラインドタッチできないが、
合理的な新配列や自作キーボードならできる、
という人がもっと増えると、
ブラインドタッチとはなんぞや、
というものが人々に理解されやすいのではないかとすら、
思っている。


ブラインドタッチが出来ない人が、
ブラインドタッチをやってみようというのは、
新しいスポーツを始めることに似ている。
少し覚悟が必要で、
転ぶことも覚えなければならない。
しかし一旦覚えると、
あとは体が勝手に動くのさ。
それが爽快で楽しいことは、
もっと伝えるべきことだと思う。

薙刀式のブラインドタッチは、ただそれだけで楽しいんだよね。
言葉が躍り出てくる感覚がとても楽しい。
特に意味なくダンスすることが楽しいのに似ていると思う。
体を動かす楽しみというのは、動物的快感がある。
posted by おおおかとしひこ at 12:05| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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