2021年02月20日

構成とその他のものの分離

構成をしよう。プロットとは何が違う?


定義にもよるけど、
僕は構成という言葉を使う時、
ストーリー構成だけの意味で使う。

ストーリー構成だけだから、
人物設定、目的、感情移入、
世界の設定、事件や解決法、
テーマ性、新規性、
展開の妙、サブプロットがいくつあり、どこで絡んでくるのか、
伏線やどんでん返し、
などは、構成に含まないと考える。

え?じゃ何が構成に相当するの?
と思われるだろう。

僕は、構成とは、
一番プリミティブなものは、
「第一ターニングポイントと第二ターニングポイントで区切られた、
一幕と二幕と三幕のこと、
そしてその長さを決めること」
だと考える。

長さを決めることと、二つの大きなターニングポイントを決めること、
だけに絞って考える。

つまり、
「このストーリーの構成は良くない」というとき、
三幕のバランスが悪い
(よくあるのは一幕が長くて退屈する、
二幕が短くて物足りない、
三幕が決着がついてるのにダラダラ続く、
などだろうか)
ときか、
区切りが明確ではない
(目立った強い大ターニングポイントではない、
ターニングポイントになってない)、
ということを意味するわけだ。

逆に構成が良いとは、
テンポが良く、各幕の役割が明確で、
今ストーリーのどの辺にいるのかいつも自覚できて、
大ターニングポイントで、
「いよいよこうなるのだな」と、
きちんと感情移入して身構えられる、
ということである。

人物設定や事件や解決の見事さや、
テーマ性とかとは一切関係ない、
独立した要素であることに気をつけられたい。


構成というと、
プラモデルのパーツが綺麗に並べられたものみたいなイメージだから、
人物設定や動機や目的や、
地図や、アイテムの配置や、
展開の主従などまで想像してしまうけれど、
「ストーリー構成」だけを取り出して考えるならば、
それらは入らないと考えた方が、
腑分けしやすいと僕は思う。


構成という言葉は曖昧で、
あまり理解されてないなあと思ったのは、
某映画Pが僕の一稿を読んだ時、
「構成は大体出来てる」と評したことだ。
その後全然違う構成になったときも同じことを言って、
「出来てへんかったんやんけ」と心の中で突っ込んだ記憶がある。

構成といった場合、
あまり詳しくない人は、
「大体の全体構造」みたいな意味でしか使ってないと思われる。

専門的な「ストーリー構成」の場合はそうではないということだ。

一幕は何分あり、二幕は何分あり、三幕は何分あり、
そして幕の切れ目の大ターニングポイントでは、
次の幕へ進む劇的な面白いポイントになっているか、
をチェックするべきなのだ。


さらにストーリー構成について深く考えると、
メインプロットとサブプロットの関係がある。

メインプロットだけを追うわけでないので、
シナリオのどの時点でどのサブプロットに切り替わり、
どの時点でメインに戻り、
どこでサブと交差しているのか、
という、列車のダイヤのような図を書いて、
考えることになるだろう。

サブプロットは多いのか少ないのか、
このサブプロットは必要かどうか、
これとこのラインは同じにならないか、
このラインは複雑だから減らすか分離するか、
サブプロットのこの場面の前に、
メインプロットのこの場面を入れるべきではないのか、
などが、
サブプロットも含めた、
構成を考えるということだ。


AはBすることになってるけど、
Cするようにしては?とか、
理由はDだったが、Eにした方が良いのでは?とか、
Fという設定は、実はGだったとした方が良いのでは?
などは、
構成について考えているのではなく、
プロットについて考えていることだ。

構成はあくまで、
時間の場所と長さと順番の話に過ぎないのだ。

まあ、単純に構成という言葉で全部のこれらを示す誤用があるが、
厳密には違うのである。

ストーリー構成は、
文字数、時間に関するものだけを取り出して考えるべきだ、
ということ。


逆に、部分の文字数や長さについて気にしたことがないならば、
どこにどれだけの長さが費やされているのか、
名作を分解して研究してみるべきだ。

ずいぶん共通の法則があることに、やってみると驚くよ。

つまり、
「人間の思考の速度や、気持ちよさの速度は大体決まっている」
というのが、
映画シナリオだけが持っている独自の真理だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 00:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。