高速打鍵においては、ロールオーバーが基本だ。
qwertyローマ字や月配列の高速性は、
いくらでもロールオーバーしていいという保証にある。
「指を離すことを意識しなくていい」というのは、
意識を「押す」ことだけに集中できるわけだ。
同時押しなどでシフト面を増やして打鍵範囲を狭めているカナ配列では、
すべてのロールオーバーが出来るわけではなく、
そこがボトルネックになりがち。
薙刀式の同時押しはすべて相互シフトで定義されている。
ロールオーバーすると相互シフトになるため、
以下のポイントでは離してから次を入力する必要がある。
薙刀式のロールオーバーできないポイントを、
よくある順に並べる。
・シフト面→単打面
・「か」「あ」を含む連接(濁音がらみ)
・「る」「く」「へ」を含む連接(拗音がらみ)
・「こ」「な」を含む連接(半濁音がらみ)
・シフト面→単打面
これはスペースキーを通常シフトキーと同じに使う以上、
原理的に避けられない問題だ。
恐らくここが飛鳥配列同様、
「離し」を意識しなければならない分、
最大のボトルネックになる。
とはいえ、今のところ5打/秒くらいでも安定するから、
実用上は問題ない。
タイパーのような、7〜8打/秒あたりでは気になるかも知れない
(僕がそこに至ってないので未検証)が、
薙刀式はそれ用ではないと諦めた。
逆に、
単打面→スペースキーはいつでもロールオーバー出来る。
薙刀式のオリジナルDvorakJ版では、
実装上先押ししか対応していないが、
QMK版ではオプションで、
同時連続シフト(飛鳥と同様)を選択できる。
こっちの方が便利だぞ、と最初は思ったのだが、
単打→変換のロールオーバーが、
シフト文字に化ける現象がある。
ここは好みなので僕はオリジナルと同様の版を使っている。
変換とシフトを別のキーにするなどすると、
また事情は変わってくるかもだけど。
シフト文字はそもそもマイナー文字だから、
確率的にはそんなにないようにはしているし、
マイナー文字の中でもメジャーカナは中央なので、
同期の取りやすい中央指でコントロールするような配慮はしてある。
これは、通常シフトは直感的で使いやすく、
しかも連続が効くというメリットとトレードオフだ。
左右どちらの指でも押せるというセンターシフトのメリットもある。
デメリットと比較して、僕はメリットを取った。
・「か」「あ」を含む連接(濁音がらみ)
濁音になるカナと、逆手のFJをロールオーバーすると濁音に化けてしまう。
全組み合わせを列挙すると、
きあ あき
てあ あて
しあ あし
ろあ あろ(ぜに化ける)
けあ あけ
とあ あと
かあ あか
っあ あっ(ぢに化ける)
ほあ あほ
ひあ あひ
はあ あは
こあ あこ
そあ あそ
かす すか
かへ へか
かく くか
かう うか
かー ーか(づに化ける)
かた たか
から らか(ぶに化ける)
このうち頻度の高いものは「から」「あと」「かく」
あたりかな。それ以外は注意しなくても大丈夫だと思われる。
なるべくマイナー連接になるように並べてはいるものの、
完全には除去できなかったので、
この3ワードは意識して離し入力している。
濁音同時押しはFJというホームキーで打てる、
簡単で高速なメリットがあるが、
この化け問題とトレードオフである。
それでも簡単に高速で濁音化できるメリットを取った。
これも、FJならコントロールが効くよね、
ということで。
・「る」「く」「へ」を含む連接(拗音がらみ)
拗音になるイ段カナと、るくへ(それぞれ裏によやゆがある)
をロールオーバーすると拗音に化けてしまう。
これも列挙すると。
きる るき
てる るて(りょに化ける)
しる るし
とる ると(にょに化ける)
っる るっ(ちょに化ける)
ひる るひ
そる るそ(みょに化ける)
きく くき
てく くて(りゃに化ける)
しく くし
とく くと(にゃに化ける)
っく くっ(ちゃに化ける)
ひく くひ
そく くそ(みゃに化ける)
きへ へき
てへ へて(りゅに化ける)
しへ へし
とへ へと(にゅに化ける)
っへ へっ(ちゅに化ける)
ひへ へひ
そへ へそ(みゅに化ける)
このうちよく使う連接は、
「しる」「とる」「てる」「きる」「そく」
あたりで、ここらを気をつけてれば、
概ねマイナー連接になるようになっている。
「とる」「てる」あたりは、裏の「に」「り」と拗音になるので、
意識の外なので気付きにくいよね。
これは拗音同時押しという薙刀式のメリットとのトレードオフだ。
同時押し拗音を別に覚える必要がなく、
使用二音同時押しにすればよいという簡便さ、記憶負担のなさのメリットを取った。
・「こ」「な」を含む連接(半濁音がらみ)
濁音同様半濁音がらみ。
こへ へこ
こふ ふこ
はな なは
ひな なひ
ほな なほ
このうち「はな」はよく出る連接なので注意。
あと、「こな」がエンターに化けるのも追加で。
逆から見れば、
シフトの離しと、
「から」「あと」「かく」「しる」「とる」「てる」「きる」「そく」
「はな」「こな」
の10ワードにさえ気をつけてれば、
実用入力上はガンガンロールオーバーで打っていける、
ということでもある。
薙刀式のメリットを享受することに対して、
裏返しのデメリットとしては小さいと僕は考えている。
2021年02月10日
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