2021年02月23日

【薙刀式】エンジニア系に広まるとは予想外

文筆家が求めているものをつくったから、
普及はそっちが早いのかなあとぼんやり考えていたのだが、
食いつき、広まるのは圧倒的にエンジニア系なのが興味深い。


エンジニアも文筆家も、
種類は違えど、キーボードで疲れていることに変わりはないと思う。

そしてそれは、
「ふつうの」キーボードや、
「ふつうの」qwertyローマ字が、
エンジニアや文筆家のプロレベルの要求に対して、
低すぎるスペックのまま普及してしまったことが、
主な原因だと僕は考える。


エンジニアの方により広まった理由は明快で、

・現状は工夫すれば良くなることを知っている
・自分で(プログラミングの)DIYができる
・「どのキーを押したら何が出るか」はプログラムで制御されているから、
 それをコントロールすれば変えられると予想できる
・じゃあやるか

となるからだろう。
勿論自力で0から配列を作る手もあるが、
そこはエンジニアの常識、

・巨人の肩に乗る

つまり既にあるものをコピペして利用できるならば、
自分の労力は最小になることを知っているわけだ。
(物理はコピペできないが、論理やコードはコピペできる)

そして一番のエンジニアの素養、
・好奇心
こそが、薙刀式を使ってみるきっかけなんじゃないかなあ、
と僕は考えている。


逆に言えば、
筆記用具に好奇心があったり、
筆記用具を詳しく調べようとしてる文筆家が、
あまりにも少ないことに、
僕は文化レベルの低下を憂えるくらいだ。

いや、そもそもPCは筆記用具としては、
あまり出来が良くないことに対して、
文句を言ってこなかったプロ作家たちはどうかしてるとさえ、
僕は考えている。
(メーカーに言っても梨の礫なんだろうが)

かつて手書きを貫き、
文体が変わるとワープロを否定してた人たちは、
今どうしてるんだろう。死んだのかな。

日本の文筆家たちは、PCの移行に失敗して、
沢山死んだんじゃないかとすら想像してしまう。

テレビが4:3からHDになって死んだのと、
似ていると僕は思う。

PCのライターたちには、
それ以前のライティング文化があまり継承されていないように見える。
おじいちゃんのやり方と、若者のやり方の断絶がひどい。
本来文筆業というのは連綿たる何かで連続しているべきなのに、
PCやスマホなどのデバイスが出るたびに、
分断され続けているように感じる。

絵の世界がデジタルになっても基本は全然変わらないのと、
対照的だ。

それは、
連綿たる連続性を知らない家電業界の無知と、
PCがどうやって動いてるか知らない、
文筆業界の断絶の大きさを物語っていると思う。


そんな文脈と一切関係ない、
DIYなエンジニアたちが、
勝手にさっさと薙刀式を試用してみることは、
たいへん痛快な気がする。

結局文化が動く最初の力は、
人間の根源に備わった好奇心だと僕は思うからだ。



なんでキーボードで日本語を書くことは、
こんなに苦痛なんやろ。
もっと楽にするする出来ないか。
そう考える人は少数派なのかしら。

現状に疑問を抱き、
現状を改良することのできるエンジニアは、
ある種の特権階級なのかもしれない。

なんで飯が不味いんやろ、
もっとうまい飯が作れんのか。
そう考えた人は料理人になるのだろう。

僕はとりあえずキーボードと配列が苦痛で、
自分が楽して早くなるために薙刀式をつくり、
薙刀式が一番打ちやすい自作キーボードを改良し続けている。
それが苦痛を覚えている人を助けられるなら本望だ。


どこから広まるかは予想もつかなかった。

手を出した人たちがある程度マスターした時、
どういう光景が広がるのかも、
まったく予想がつかない。
楽しみだ。

薙刀式のように「配列は変えられる」と気づいたら、
プログラマーDvorakのように、
英数字と記号も変えたくなるだろうね。
ついでに物理もね。
自作キーボード一直線だな。笑
posted by おおおかとしひこ at 13:13| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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