なんとなく心地よい法則がわかってきたのでまとめておく。
dmm.makeで購入できる製品版のサドルプロファイルと、
何世代か改良して新しくやろうとしているものを、
重ねてみたのがこちら。(赤がNew)
まず親指の角度が若干変更。
これによって、ほとんど全キーが変更を受ける。
ここの初期値敏感性がすごくあることがわかってきた。
手首の位置と親指をまず決めてからじゃないと、
他の指は決められない、という隠れたルールが実はあるのかも。
(今のところ、手首、親指、中指の3点で空間を固定してるイメージ。
しかしナチュラルにテントをかけているので、一番下にくる小指で決めたほうが良かったと、
この時点になって判明)
他の指は、全体的に上に上がっていることがわかる。
これは、以下のような思考実験から生まれた。
まず自然に手を開くとこういう感じ。
出来ればこの形でキーを打ちたい、というのは皆同じだろう。
で、この形のまま指先を平面に当てるとこうなる。
これが、コラムスタッガードの、
中指と薬指が上がり、小指が下がる形の根拠だと思う。
指のつくる馬蹄形で、平面に接した形だと思われる。
これには欠点がふたつある。
ひとつは手首が浮いてしまうこと、つまりパームレストが必須なこと。
もう一つは、親指が変な形になること。
人差し指から小指までは指先が平面に当たるが、
親指は横が当たる。
実際のコラムスタッガードでは、
さらに親指を寝かせて側面で打つパターンになってしまう。
親指を沢山働かせたい僕は、
この劣悪な親指環境を改善するべきだと考えて、
斜めに打てる親指キーなどをつくってきた。
で、この手の形のまま、
手首をつけて自然に構えるとこうだ。
パームレストが不要で、
親指の指紋部分は斜めに向き、
各指はその面よりも上に位置する。
この各指のホットスポット、
指紋部分をキーの正面で捉えようというのがサドルプロファイルだ。
もう一度赤い部分を見てみよう。
斜めの親指を基準として、
それより上の面に各指が自然な位置関係で置かれているような、
そんな感覚がわかっただろうか。
この手の形で中段部分を見ると、
中指が最も高く、人差し指はそれより低く、
薬指は中指よりやや低く、そして小指はグッと低くなる。
「球を掴むような形」になるわけだ。
また、長い中指と薬指を格子配列だと、
人差し指と長さを揃えなければならないため、
より折り畳まなければならないので、
中指と薬指は、奥に傾くようにセッティングされている。
ここまではサドルプロファイルrev1でも意識していたのだが、
前回は見た目の曲面を美しくすることを意識した、
つまりトップ面をなるべく繋げるようにしたのに対して、
今回は指からの逆算だけで作ろうとしている。
rev2で意識したのは、
「手と指の角度の違い」だ。
掌の向きと、指の向き、実は違うことが、
自分の手を見てて気づいたのだ。
アプリオリには、掌を机につけるとき、
各指も机の面に正面から当たると考えられると思う。
実態は異なる。
その掌の正面ベクトルに対して、
どの指も内側へ回転していることに気づかれたい。
つまり各指は、微妙に内へ巻いていることで、
ものが掴みやすくなっているのである!(俺だけじゃないよね?)
これは指の向きをわかりやすくするために、
わざと指を揃えて写真を撮ったが、
実際に上のような自然な手の開きにすると、
中指の内向きと薬指が大体同じくらいになり、
中指より人差し指はマシな角度になり、
そして小指はずいぶん内側に巻く。
これを中段に反映させるとrev2のようになるわけだ。
下段はどうか。
指を縮めると、指紋の当たるところはさらに内に巻く。
従って外への回転はさらにキツくなる。
ちょうど、手前から3Dの放射状になるようにだ。
上段は、中段を伸ばしていくから、より角度は緩くなる。
しかし放射状に指が伸びるから、
斜めの角度自体は、指に合わせて傾斜がつく。
結果的に三次元の弧を描くようになる。
僕がWillow64のカーブが気になる、
と言っていたことはまさにここなのである。
Willow64はこれを平面に投射したようなことになっているが、
サドルプロファイルは、
この曲線を、19ピッチ格子配列上で作ろうというアプローチだ。
小指の大胆な斜めさを見よ。
ふつうのキーボードでは、
小指は随分斜めに打つことを強いられていた。
「小指は弱い指だから使用頻度を下げよう」
というのは今まで言われていたことだが、
実はそれに加えて、
「そもそもまともな環境で働いてない」があったのでは?
(もっとも、弱い指に変わりないので、
良環境で酷使していいわけはないだろう)
「球を掴むように」「指の指軸回転の向き」
を考慮した結果、このような曲面になりつつある。
なお、人差し指の伸ばし位置は、
お椀型がいいみたい。
人差し指意識としては球の同一平面を触ってる感じなんだけど、
客観的な角度はお椀、くらいの塩梅になっている。
これは触らないと全然分からない領域の世界になってきて、
画像でどこまで伝わるか分からないけど、
とりあえず分かったことを整理するために書いておく。
人間工学ヌルいんじゃないの、
って僕が思うのは、
こうした手のモデルを、まったく無視しているか、
知らないからではないかと思う。
僕は絵の勉強のために手の解剖学やデッサンの経験があるから、
こうしたことに早く気づけたかもしれない。
yfukuさんが3Dプロファイルのために、
指のボーンモデルを作ってたけど(これはこれですごい)、
指の向きは三関節の棒とは違う、
もっと微妙に回転角が入ってる動きなんだよね。
ということで、
これをプリントしてはしばらく使い込み、違和感を消していく、
というループをあと何回か回して、
さらなる自然な打ち方へと収束したい。
現在dmmで入手可能なサドルプロファイルは、
コルネにも使えるような一般的なカーブに留めたが、
上の議論でも分かるように、
格子配列専用プロファイルになりそうだ。
(最終デザインはサドルプロファイルと見た目を変えるために、
スカート付きのやつにしようかな。迷ってる状態)
さてどうなることやら。
新しいバージョン楽しみです!
今朝、薙刀式3Dキーキャップの標準のものを注文いたしました。
丸い方も後日試してみたいと考えております。
余談ですが、国産の3Dプリンターのかなり初期の頃のとあるモデルの開発に携わった経験があり非常に苦しんだ記憶を思い出しました・・・汗
無料ということでblender使っているんですが、fusion360のほうが幾何学的なものには向いてることがわかり、
転向しようかどうか迷ったまま、blenderのスキルが上がっていっているという。笑
モックアップをつくっても、それを数値上の座標に換算するのが難しいですね。結局ノギスで測って目合わせしているだけだからなあ。
出来上がったものを物理で修正したあと、数値空間に戻すことが困難ですね。
そのフィードバックのルートが早くなれば、3Dプリンタはさらに化けると思います。具体的には3Dスキャナかなあ。