2021年03月01日

【自キ】手の延長をつくる

3Dキーキャップを作っているのは、
動線を最小化して効率を上げる目的である、
とも言えるのだが、
実際の僕の感覚としては、
「手の延長としての道具を作っている」
のだ。


「武器は手の延長」と武術ではよくいう。
それほど武器は手の一部、
体の一部になるべきであると。

逆に言えば、
接点であるところの持ち手で、
無駄な空間や変な歪みがあるべきではなく、
「しっくりと手と武器が馴染む」
ような感覚でない限り、
自分の身体を延長することは出来ないと思う。

刀の持ち手や包丁や万年筆など、
道具と手が馴染まない限り、
意のままにそれを動かす、
身体延長感覚は得られないと思われる。

しかるに、
キーボードはその馴染み感がとても薄い道具だ。

我々の手は三次元で有機的に動くというのに、
二次元的な幾何学模様をしているのは、
あまりにも手と道具の間に無駄な空間があき、
しっくりと握れない道具なのではないか?

逆に、キーボードがそのような道具になるためには、
自然に机の上に置いたときの、
自然な手の位置の、
自然に開いた指の位置にホームキーがあり、
そこから自然に指を動かしたところに、
上段キーや下段キーがあるべきではないと考える。

キーボードに体を合わせるのではなく、
俺にキーボードが合わせろ、
ということである。

3Dキーボード、たとえばLime40やDactylなどは、
3Dフレームにキースイッチをつけることで、
各キーの3D曲面を形成する。
一方僕のアプローチは、
格子配列上に、高さも傾きも異なるキーキャップを並べて、
3D曲面を作っていく方法だ。

どちらが正解かはまだ分かっていない。
どちらもまだエンドゲームに来ていないからである。


備忘録がわりに、
これまでサドルプロファイルを開発していくうえで、
「自然な三次元曲線とは」が、
分かって来たことを整理しておく。


打鍵姿勢について:

・掌は小指側がつき、親指側が浮く。(テント)
・従って、最も低いのは小指で、次が親指。
・逆チルトの方が撫で打ちしやすい。
・両腕は肩幅に開くと楽。
・実際には肩幅で使えるカフェの机は少ない。
 やや狭めてハノ字を作ると同等に楽。

ホーム段について:

・親指は4指とは違う角度についている。
 軽くものを握る形が一番落ち着く。
 つまり親指キーは横を向いている。
・4指を自然に前に投げ出すと、中指が最も高く、
 人差し指と薬指が同じ高さくらい、小指が低い。
・これは撫で打ち前提だと、指の指紋部分をキーに接触させるため。

・コラムスタッガードでは、長い中指キーを奥へ出して、
 短い人差し指と小指を手前に引くようにするが、
 格子配列前提なので、中指と薬指は、人差し指や小指に比べて、
 折り畳む必要がある。
 そのためその2キーは奥に傾き、縮めた指の角度に合わせる。

・全体的に、球を掴んだような曲面になる。
 ただし、中指〜小指が形成する凸と、人差し指は異なる位置。
 人差し指のみ独立した腱を持ち、それが他より短い為、
 人差し指は半径が短い球の上にいる。


指の動き:

・中指、薬指、小指は同一の腱についているため、互いに従属した動きになる。
・一方人差し指は独立した腱のため、他の指と独立して動かせる。
 ゆえに、伸ばし位置の別列も担当できる。
・4指は掌の向きに対して、指紋がやや内側になるように、
 ねじれつきで付いている。
・このため、指の曲げ伸ばしは、掌に対して垂直面内では行われず、
 掌に対してそれぞれ傾いた面内で行われる。
・しかも指は真っ直ぐ握られない。少しだけ内側へ捻れながら曲げられてゆく。
・つまり、中段に対して下段はより内側にねじられ、
 中段に対して上段は外側にねじれが解放された角度になる。
 これに合わせてキーのトップ面を考えなければならない。

・人差し指伸ばし位置を打鍵するときは、掌が回転する。
 残りの3指の位置もホームキーからずれる。
 手のひらを戻しながらアルペジオで残りの3指を打つとき、
 キーへの入射角は変わる。
 伸ばし位置がないなら単純な伸び縮みの運動(ねじれながら)だが、
 それに手首の回転方向のベクトルが加わった軌道になる。
 つまり、縦方向の撫で打ちが、横方向の撫で打ちになる。
 例: NK(薙刀式で「たい」)のときの中指の動きと、
   MK(同「ない」)のときの中指の動きは異なる。
・これは中指が最も影響が大きく、小指はそれほど影響を受けない。
 (ただし中指>薬指>小指の頻度の薙刀式ゆえにそう感じるのかも知れない)

・下段から上段にかけて、指が末広がりになるようにキートップに当たるべき。
 つまり下段から上段にかけて、末広がり、外側へ弧を描くようになるべき。

・人差し指と人差し指伸ばし位置の関係は、
 凸(球型)と凹(お椀型)の両方を試したが、今のところ凹がいいようだ。
・親指は毎回握るように打鍵するのではなく、握る角度に対して撫で打ちの時もある。



キーボードは、この動きに対して、
自然な位置にキートップがあるべきだ。
それが自然な手の延長のグリップになると思う。

写真付きでいずれ解説したい。
posted by おおおかとしひこ at 09:34| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。