2021年03月09日

あなたの整理はわたしの整理の中にない

さっき三井住友のATMで振り込みをしたんだけどさ、
九州のTalpKeyboardさんのところでキーボードパーツを買うため、
GMOあおぞらネットに振り込む必要があったんだけど、
その困難さにびっくりした。

つまりは情報の整理の仕方の話。


興味深いので、記録してみる。

1. 振込先の金融機関を選択してください

三井住友
SMBC信託 ジャパンネット
埼玉りそな ゆうちょ
みずほ りそな
三菱UFJ

地方銀行 信託銀行
信用金庫 その他


まずこの初手がわからない。
GMOあおぞらネットは、メジャーバンクにないから、
後者4つのどれかが正解だろう。

九州に振り込むのだから地方銀行かも知れない。
信託銀行と銀行の違いはわからないし、
信用金庫と信用銀行と銀行の違いもわからない。
GMOあおぞらネットはネットとつくくらいだから、
地方に根ざした歴史はないだろうから、その他だろうか?
いや、元々九州にある古いのが合併してそうなった可能性もある。
名前がいっぱい張り付いてるしな。

初手、地方銀行。はいはずれ。
戻ってその他を押してみる。

2. 振込先の金融機関を選択してください

銀行
信用組合
商工中金
農林中金
労働金庫
農業協同組合
信農連
信漁連

さっき出てた銀行と、その他→銀行の違いが分からない。
そもそも銀行って世の中にいくつあるのかわからない。
僕は3、4個しか知らない。
ひょっとしたら2000ぐらいあるのだろうか?
それとも8くらいなのか?
それを知る術はいまここにない。

そして二行目以降の、なにひとつ僕の知らない単語だ。
中金はなんの略かわからない。
農林と農業の違いもしらん。
労働って仕事はすべて労働やんけ。
信農は最初「信濃」かと思い、長野は銀行が強いのかしら、
などと想像するだけ無駄だった。

ここに正解がある気がしない。
一回戻って、他の選択肢を確認する。
信託銀行、信用金庫を全確認するが、ないようだ。
なので確信を持って「その他」以下のどこかにいることまでは把握。

ここで余計な想像を働かせ、
九州はどれくらい東京から蔑まれてるかを考える。
きっと取るに足らないと思われているのだろう。
ということは銀行ではないのではないか。
ネットってあるし、しかしネットがどの漢字の訳語かはわからぬ。
で、二番目以降から全選択し、
中身を全確認。
はいぜんぶはずれ。
ここまで5分以上経過。

さて、では銀行を選択するしか消去法としてないわけだ。


3. 振込先金融機関を押してください

あおぞら
アメリカ
イオン
auじぶん
SBJ
オリックス
コメルツ
GMOあおぞらネ
新生
シティバンク、エ
ジェー・ピー・モ
住信SBIネット
セブン
ソニー
大和ネクスト

これで初手の「あおぞら」はトラップのようだ。
なかほどの「GMOあおぞらネ」を押す必要がある。
しかし何一つ聞いたことのない名前ばかりで、
僕にとっては暗号だ。

ちなみに一行目は、なぜか「の」がなくなり、
選択から押すに変わった。
「押す」は確定を意味するのか、まったくその意図は伝わってこない。
初手に銀行名押す時と矛盾する。
「の」のない理由は不明。
日本語の統一がなってないことだけはわかった。

ここまで軽く8分くらいかかったかな。

まあふざけんなという話ですよ。



こっちはさ、
聞いたこともないところに口座がある、
TalpKeybordさんに振り込みたいだけなんだよ。
「ジーエム」あたりまで入力するから検索させろや。
TSUTAYAの検索端末のほうがまだマシやぞ。
一発で点にたどりつけるわ。

なんでお前らの勝手な分類を知らんといかんのだ。
銀行業界の勢力図を把握してないと辿り着けない仕組みがクソだと思わんのか?
俺は銀行業界にはなんの興味もねえんだよ。

信用金庫と地方銀行が何かもよく知らないし、
さくら銀行はどこにあるんだ?あったんだっけ?
くらいの知識しかない。
何銀行がどのような役割をしてるか知ることは、
九州のTalpさんの活動とは一切関係がない。

これらを2秒でゴールに辿り着けないシステムに、
なんの意味があんの?

はいはいGMOさんね、
これはその他の銀行のジャンルの、
と分類できるのは、業界の人だけでしょ。

俺はTalpさんに金を払いたいだけで、
その口座がうんこぷりぷり銀行だろうが農林中金だろうがどこでもいいんだよ。
なんなら口座名検索させろ。

俺の目的地は点であり、
そこに至る線は0にするのが「間に立つサービス」のやることやろ。

なんだこの傲慢。



同じことを、図書室で思った事がある。

「図書室で好きな本を読みなさい」と言われても、
上の看板にある本の分類が、僕には知らないことだらけで、
なにひとつ分からなかった。
何が読みたいかなんかわかるはずないじゃない。
それがどのジャンルに属するかも知らないし、
世の中にどんなジャンルがあって、そこがどこに位置してるかわかりっこない。

小学生だったからか、そこで僕は泣いた記憶がある。
完全に迷子のそれだ。

だから僕は最初にランダムで出会った本を、
一年間読書の時間で何回も読んだ。
他の本の探し方を知らなかったからだ。
あの角のあの段の何冊目の赤い本しか、
僕にはわからなかった。
地図の見方がわからないなら、そこに行くしかない。

僕がいまでも読書が嫌いなのは、
このトラウマと関係してるかも知れない。
もっとたくさんのおもしろ小説に出会えたチャンスを、
僕は地図の見方がわからないばかりに、
読書嫌いとして一生を棒に振ったわけだ。

図書室の雰囲気は好きだし、
生まれ変わったらあそこで莫大に読書をしたい。
しかし地図があることは、大人にならないと知らなかった。

いや、いまでも評論とエッセイの違いはわからない。
どっちもあり得るし、読んでみるまで答えは出ないのに、
なぜ読む前からジャンルがわかるのか?
それ、読み終えた人のネタバレ分類やんけ。


TSUTAYAの映画の分類は、
大体癖を知ってるから探せる。
それでも時々腹が立つ。
その整理の仕方は間違ってるだろ、とよく思う。
ドラマでもあり恋愛でもありアクションでもある作品は、
どこに分類するつもりだ。


さて、ようやく脚本論である。

あなたの整理は、他人の整理とは限らない。


「それがどのような文脈で、
どのように見られて、
どのように受け取られ、
そしてどんな文脈でもわかりやすいか」
が検討されていないのは、
客観性がない情報の整理だ。


あなたの説明はなぜ下手なのか?

あなたの理解や整理を表現しているからで、
他人が整理しやすいように話していないからである。

あなたの恣意的なジャンルの分類をしていて、
あなたの思い込みで情報を仕分けして、
あなたの業界の常識で銀行を格付け分類しているからだ。


事情の説明が下手なのは、
気持ちの説明が下手なのは、
今置かれている状況説明が下手なのは、
あなたの整理でしゃべっているからだ。

観客が整理しやすいようにしゃべりなさい。

そうじゃないと、
この三井住友野郎!と俺が罵声を浴びせてやる。

頭のいい整理は、2秒で地図や分類の整理ごと理解できるものだ。



本の整理は、ひとつの基準でやるから問題なのだ。
さまざまな要素の絡まりなのだから、
Aの分類だとこのジャンル分けになるし、
Bの分類だとこのジャンル分けになるし、
女の子が主役の本とか、ロボットが出てくる本、
などなどの、複数の切り分け基準を設けるべきで、
そのようなネットワーク検索ができるべきだ。
論文の参照関係などから辿れてもいい。
情報ネットワークってそういうふうに使うべきなのに、
いまだにそうなってないのは、
「だれがどのようにさがすのか」の、
想像力が足りてないと僕は批判する。

とりあえず三井住友はクビ。二度と使わねえ。
posted by おおおかとしひこ at 20:39| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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