映画の中でよくあるセリフだよね。
どんな二種類を考えようか。
正義と悪なんかじゃありふれ過ぎてつまらないよね。
世の中には二種類の人間がいる。
よく眠る馬鹿と、眠れない馬鹿だ
Macを使う奴と、それ以外の馬鹿だ
うどん派と蕎麦派だ
なんでもいい。何かの対立軸を探したまえ。
好きなやつを100個くらい書こう。
この台詞を言うとき、どういうことを言おうとしているか?
これはつまり、
「世の中には二種類の人間がいる。
味方と敵だ」
の言い換えに過ぎない、と理解してみよう。
つまり、「あいつは敵だ」「お前は味方だ」
「あいつは理解できない」「お前は理解できる」
ということの、言い換えに過ぎないということだ。
世の中をふたつに分けることで、
これはコンフリクトを作り出す。
世の中は対立だらけだ。
「黒人を差別するやつと、しないやつ」
「女性を馬鹿にするやつと、しないやつ」
なんでもいいぞ。
「関西人が嫌いなやつと、好きなやつ」
嫌い派が多いのかね。
この論法は、
「どちらでもない」を排除して、
世の中を二項対立化するときに便利だ。
逆にいうと、詭弁にも使えるよね。
宇宙人が攻めてきて、
人類が絶滅寸前になったとき、
最後の希望が見つかって、
「人類には二種類のやつがいる。
誇りをもって闘って死ぬやつと、
何もせずに黙っておびえて死ぬやつだ。
いいか、俺達は闘う側の人間だ」
なんて演説は心に響く。
そのとき、
他方を排除する快感が走っていることに気づこう。
これらを悪用することも出来るし、
善用することも出来る。
使い方次第の武器である。
中国対アメリカの構図に持ち込み、
「世の中には二種類の国家がいる。
中国に協力する国家か、アメリカに協力する国家だ」
という議論があったとしたら、
何かしらの詭弁だと思うべきだ。
第三国や、両方に協力したり、両方に批判的な立場をないものにするからだ。
同様に、
「世の中には二種類の人間がいる。
プペルに感動して、ここに集った人と、
プペルを見もせずにこき下ろしてる愚かな人です」
というような詭弁にも使える。
思考停止を生み、洗脳して動員するには最適な論法である。
それくらい、この論法は強力で、
思考停止を生む。
第二ターニングポイントなどで、
明らかに対立構造がはっきりして、
あとは戦うしかない、
などというときには使える論法である。
「インディペンデンスデイ」や、
「シンゴジラ」の演説シーンはそうしたものだ。
勿論、
普段よくないと思っているものを敵と設定して、
普段こうあるべきだと思っているものを味方と設定して、
「世の中には二種類の人間がいる」
と始めることも可能である。
これは一種の投影行為で、
投影には麻薬的魅力がある。
テーマを設定したとき、アンチテーゼが敵の主張になるから、
世の中にはどういう二種類の人間がいる、
というふうに表現すると面白くなるか、
ということありきでこの台詞を考えると面白くなるかもしれない。
最初に書き出した100の対立から、
見えてくるものをつくってみよう。
あるいは、ストックしておいて、いつか使おう。
どんなものにでも対立はあり得る。
それをどのような面白い軸をつくるべきかは、
このエクササイズで見出すことが出来る。
「世の中には二種類の人間がいる」
と言ったとき、次に何がくるのか?
それは、あなたが世界をどのように見ているのか、
を反映しているのだ。
世の中には二種類の人間がいる。
排除するのに快感を覚えるやつと、そうじゃないやつだ。
2021年03月14日
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