2021年03月14日

くだらないが実に科学的だ

「温水便座にピュアオーディオの電源を繋いだら、
水圧が上がり、キレがあがった」という馬鹿馬鹿しいが科学的検証に満ちた記事。

温水洗浄便座をオーディオ用電源で強化したら何が起きたか
https://www.phileweb.com/sp/review/column/202103/13/1235.html

これはオカルトではない。
「家庭用電源は100Vといいながら、95〜105Vくらい常に不安定で揺れている」
という基礎教養が必要だ。


実際のところ、オシロスコープで測定したことはないが、
電力会社からの供給は、
「いつでも、常に、100V」ではない。
ダメな電力会社もありえるし、
突発的に電力ネットワークに需要が起きたら、
一時的に電圧が下がることもよくある。
しかしそれは、
「まあ日常に支障のないレベル」に抑えているわけだ。

電圧がイメージできなければ、
水道のイメージで大体あってる。

常に同じ勢いの泉があるわけではなく、
あるときはチョロチョロ、あるときはドバドバと、
不安定であるということだ。
100Vという定格に対して、
どれくらい揺れがあるかは、
電力会社や使用者のネットワーク次第で決まる。

ピュアオーディオ民は、
この電力の不安定さが、
音質へのノイズになると主張する。

不安定な出力で回すモーターは一定回転を保証しない。
レコードがちょいちょい加速したり減速されては困るわけだ。

なのでオーディオ用電源というパーツは、
100Vキッチリに供給電力を整えるマシンである。

民間のオーディオマニアだけでなく、
少しの誤差で作動に誤差が出るような、
敏感な精密機械なんかもそうした安定電源を使うことがある。

僕の業界だと映画照明なんかだね。
実際は大量に電気を使うための発電機がメインだが、
安定的に一定の光量を保つような供給のされ方をしている。

ここまでは前提知識。


ここからがネタで、
だからピュアオーディオ民は、
「供給する電力会社で音質が変わる」
と主張する、というネタがある。
東京電力はまろやかで、中部電力はキレがあるとか、
変電所の近くに引っ越したことで音質が上がったとかだ。

オーディオパーツは電気を増幅して使うから、
熱源のような電磁波ノイズに影響されやすく、
極端にいうとラジオにノイズが乗ったようになる。
本文中の便座の熱ノイズはそれのことだ。

ただ、ほんまにそんな差があるのか、
それを聞き分ける耳があるのか、
というオカルト的なネタでよく使われる。

で、便座だ。
家庭用電源の不安定な供給下での、便座の水流と、
ピュアオーディオ用電源の安定的な供給下でのそれは、
違うのか?
という実験だ。

測定が体感(尻の穴)というのが馬鹿馬鹿しい。

実際に水流計などで測ると違うんだろうか。
ちょっと興味がある。


電化製品は、一応定格電圧で動いたときにフルスペック出るように設計されているから、
普段の不安定な電圧供給状態では、
100%の力が発揮できていないわけだ。

炊飯器も便座も、フルスペックを使いたければオーディオ電源か。

馬鹿馬鹿しくて素晴らしい実験だ。


いつも当たり前にある、意識しないものでも、
よく見ると先入観とは違っているものだ。
このような観察力と発想力を常に持ちたい。
posted by おおおかとしひこ at 00:12| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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