たとえば薬指。
KLでのLへの指の当たり方が、
JLでの指の当たり方とは違うんだよな。
さすがに、
HLとJLだと、
伸ばし位置へ人差し指が伸びる時に手首が連れていかれるため、
ホームへ戻りつつのLと、
その場からのLの打ち方が違うことは把握していた。
しかしホーム位置だとしても、
前に来る指で薬指の動きが違うことに気づく。
ピアニスト的にはこれはNGで、
「前にどんな指が来ていたとしても、
指は独立で打鍵できるべき」なのだろうが、
そんな訓練を積んでないぼくらは、
従属しまくる指を使うしかないのだ。
(鍛えて独立はどこまであがるんやろ)
KLの、隣同士のアルペジオでは、
薬指は自然な打鍵をする。
しかしJLの、一個離れたアルペジオでは、
より指を立てて打っているように観察される。
若干突き刺す角度も内向きになっているような。
「球を掴む方向の力の入れ方が自然」だと僕は考えているが、
無意識に力のかけやすい方向に薬指が向くのかもしれない。
原始的に考えると、
指はキーに同じ当たり方をする、
独立した5本のマシンになるのだろうが、
実際の僕の手は、
前に打ったものの影響を受けて、
毎度毎度違う当たり方をするようだ。
単純に、
JIとIJでも、指の力の入れ方は違うよね。
外に滑らせるように伸筋で打つJIと、
内向きにローリングしながら屈筋も使うIJは、
違う運動になるし、
指の当たり方も異なる。
エルゴノミクスとか3D曲面とか言ってる人は、
このことを把握しているだろうか?
聞いたことない議論なので、
単純に手を構えた位置から、指は独立して動くものとして、
曲面を考えている可能性がある。
つまり近似が甘い気がする。
最初に気づいたのは、
薙刀式での「たい」「ない」(それぞれNK、MK)での、
Kの中指の当たり方だ。
手首の回転を使って打ってるからか、
と最初は理解したのだが、
指の幅が大きいときは屈筋を使い、
隣同士のときは伸筋を使っていることに気づく。
前者は中指のアーチを深めに、
後者は浅めにしていることで気づいた。
単純に考えれば指が遠い方がアーチが浅めになるんじゃないかと思ったが逆で、
遠い方がホールドしようとしてか、アーチを深めに使っていることに気づいたのだ。
こうした指の運動は、個人差があるのだろうか?
従属運動は個人の癖や器質や、
すでに出来上がった神経系と関係あると思われる。
こんなことを研究してるエルゴノミクス研究所はないんだろうなあ。
聞いたことない話だもの。
3Dキーボードをまじめに考えると、
誰も気づいてないことに気づかざるを得ない。
なにせ自分が実験台で、
上手くいかないところは指が痛くなるからね…
実はキートップの凹みは、
そうした個人差を打ち消すためにあるのかもしれないなあ、
と最近わかってきた。
サドルプロファイルはかなり浅めに凹みを設定していて、
撫で打ちしやすくなっているのだが、
(深さ0.5mm、1mm、1.5mmをつくってみて、0.5mmを採用)
0.7とか0.8とか刻んだ版も試さないといけないかもしれない…
アプリオリに、
独立した指が叩いて戻るだけなら、
キーボードはとても簡単だ。
そうでなくて、指は従属しているからややこしい。
論理配列もそうだし、物理配列もそれらを利用する方向で、
人に楽をさせることを目的とする。
逆に、独立した指前提のキーボードなんて、
人間には使えたものではないのだ。
ピアニストが特別なのはそういうことだと思う。
2021年03月16日
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