2021年03月27日

【薙刀式】主観的速度

このようなツイートを見かけたので。

> JISキーボードのメリットって必ず
「かな入力が1回で済む」「タイプ速度が倍になる」
って出てくるけど、その速度で打ててる人ほとんどいないよね。

「本人の中では倍になってるけど、
他人から見たら速くなってない」が正解だと思うんだよね。


他人から見た速度を客観速度、
自分から見た速度を主観速度ということにする。

カナ入力にするメリット、
あるいは合理的な運指にするメリットは、
速度を上げることだけど、
客観速度は大して変わらないことが多い。

「その客観速度を維持するための、
主観速度」が変化することが多いと思う。


客観速度は実は思考速度に支配されている気がする。
物理的な指の限界速度よりも、
思考速度の方が遅くて、
そこがタイピングのボトルネックだと思われる。

その根拠は、
思考を必要としないコピータイピングで、
あれほどの速度を出すタイパーたちが、
その速度を生かしてバンバン長文を書いていないことだ。

単純な客観速度は僕の何倍もあるから、
僕のブログの何倍も生産してていいはずなんだけど、
そんなの見たことない。

じゃあタイパーは考えてないバカかというとそうではなく、
文章を書き続ける力はまた別の才能だと思われる。


逆に、
ライターという人種は、
思考速度が他の人より速いと考えられる。
思考速度が速いというよりも、
「文章組み立て速度」としておこうか。

書きたい日本語文章がスラスラ出てくる状態で、
指がついていないことが、
配列をローマ字から変更する理由の一つだ。

じゃあ客観速度は上がるかというと、
上限は思考速度までで、
それを完成させるための、
主観速度が倍になるのだよ。

1/1.7に打鍵数が減るし、
動線が練られた合理的配列なら、
さらに指の動線が楽になり、
独立的なランダムな指使いから、
従属的な(アレを打てば高確率で打ちやすい位置に次がある)指使いになる。
遠くまで出張したりする必要がなくなり、
強い指をたくさん使い弱い指を使う確率が減る。

これで、主観的には倍以上速くなる。

僕の経験で言えば、
qwertyローマ字から薙刀式に変えると、
主観的には10倍くらい速くなっている。
客観速度では3倍だ。


疲労の点も大きい。
労力が減ることで、
「書き続ける」が可能になる。

仮に客観速度が変化しなくとも、
指の疲労が半分ならば、
ざっくり倍書けるわけだ。

生産量が倍になるならば、
「手が倍速くなった」と言うことも可能だと思う。


しかし主観速度に最も効果的に効く部分は、
「思考速度に指がついてくるため、
考えの蒸発が防げる」点だと思う。

仮に、「右に曲がるために、普段より倍ハンドルを回さないといけない車」
を想像しよう。
一回転すれば右に曲がれるところを、
いちいち二回転しないと曲がれない車だ。

どんなに無意識化して、
相当の速度のオペレーションになったとしても、
二回ハンドルを回してるうちに、
何を書こうと思ってたか、
それが蒸発するのは早いと僕は思う。
オペレーションは極力減らすべきだ。
ワンボタン昇龍拳と、263昇龍拳で、
変わらないわけはないと僕は思う。

いちいち二回転ハンドルを回さない車なんて、
一回転を知ってればめんどくさくてしょうがない。

ライターにとってはここがキモだと思われる。

自分の考えが蒸発してしまい、
文として定着しないことが問題だ。

それさえ出来れば、手間や疲労が何倍になっても、
耐えられると僕は考える。
(もちろんそれが少ない方がいいに越したことはない)

これをもって、「倍早い」という言説(主観)が存在すると思うのだ。

逆に言うと、
合理的なカナ入力からローマ字に変えると、
客観速度は変化しないが、
主観速度が半分に落ちる。

考えは蒸発してゆき、
書き留める手が追いつかない。

つまり、クオリティが半分になる。


ローマ字で十全なクオリティを書ける人は分からないだろうが、
多くの人は十分なクオリティをローマ字で出せない。
枷をつけながら書かされているからだ。

その主観的な枷を外すのに、
合理的なカナ入力を使うのはとても良い。

客観速度は変わらなくても、
主観速度は何倍にも上がる。

「倍速くなる」という人は、
このことを言っているが、
主観と客観の区別がついていないだけだ。

僕みたいに主観効果と客観効果を測定したり考えていないからだろう。


僕はローマ字から薙刀式に変えて、
主観的には10倍速くなり、
蒸発は1/3くらいに抑えられ、
客観的には3倍速くなり、
疲労は半分以下に減っている。

こういう風に説明すればいいんだけど、
Twitterみたいな短いメディアでは、
「倍速くなる」と、誤解を招く表現になるのである。


薙刀式をはじめとする、合理的なカナ新配列は、
思考の速度に倍以上ついてくる。
マグネットコーティングのようなものだ。

客観速度は、指の速度や思考速度がボトルネックになる。
タイパーは指が速いだけで、思考速度が速いわけではないことが、
数々の証言から推測される。
posted by おおおかとしひこ at 17:34| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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