現状を変えることへの不安が強い場合、
「今の私は間違っていない」を強く確かめることで、
その不安を消す心理。
配列を変えることへの不安
(うまく行くだろうか、コストをかけてダメだったらどうしよう、
努力をしなければならない、やったことがない、
一人でできるかな)
が強いと、
「いや、べつにqwertyで困ってないし」
と現状へ戻す揺り戻しの心理が、現状維持バイアスである。
現状維持バイアスは、
必要以上に働くことで、
現状維持を強化する。
無意識の不安を消すための心理作用だから、
無意識に現状を、ほんとうよりも良いものと確認して、
必要以上に安心したい。
「qwertyは世界標準であるから、これを逸脱するべきではない」
「共用PCでいつでも使えるようにqwertyでよいのでは」
「他のPCで使えないじゃん」
「Xタイパーだが?」
「なんだかんだqwertyは速い」
「タイパーの頂点取ってるのはqwerty」
「ずっと使ってきて、慣れてるし」
などなどか。
権威に頼る(世間、標準、すごい人)ことで、
自分を大きく見せようとすることは、
現状維持バイアスの特徴だね。
反論は簡単で、
・世界標準と日本語は異なる。それぞれの言語で最適化された配列を使えば良く、
世界標準、たとえば英語やショートカットはqwertyと、二刀流にすれば良い
・共用PCでqwerty、プライベートで新配列、という二刀流で十分
・他のPCにエミュレータをインストールしたり、USBに入れて刺したり、
かえうちを使ったり、QMKをキーボード側に入れればOK
・新配列でXタイパーになればいいじゃん
・他の新配列も速いよ
・あなたが頂点を取ってないから関係ない
あなたの新配列は、あなたのqwertyより速いかも知れない
・二刀流が可能なことが数々の証言で明らかになっている。
一時的にqwertyの速度が落ちるけど、ゆっくり元に戻ります
習慣の慣れというのはすごいね
と、ことごとく論破できるんだよね。
それでも不安があるものだから、
現状維持に戻りたいと思って、
「いや、現状で困ってないので」
と強がって、現状維持バイアスでものごとを見てしまう。
「いや、qwertyで慣れてるしなあ」という人の、
9割5分は、
「現状を変えるのが不安」と悟られたくないから、
現状維持バイアスが無意識に働いて、
その理屈で防衛しているに過ぎない。
ほんとは興味あるんでしょ?
でも不安なんでしょ?
ちょっとやってみればいいじゃない。
3日やってみて効果がなかったら戻ればいいじゃない。
「自分には向いてなかった」なんていくらでもあるさ。
ウイスキーが向く人と向かない人がいるけど、
試してみるまで分からないじゃない。
(僕は興味があるけど、どうにもウイスキーは体に合わない。
日本酒は最初からばっちりだった。体質と興味は別だね)
「付き合ってください」は、
即セックスしてくださいではなくて、
何回かデートしてみてから考えましょう、
でもいいと思うんだよね。
自分には現状維持バイアスが今かかっているな、
と認識することはとても難しい。
無意識の効果だからだ。
でも知ってると、わかるようになる。
「自作キーボードをしたいけど、半田付けがなあ」
って言う人は、
半田の不安があるから、現状維持バイアスがかかって、
「そこまでする必要はないかな」と、
もともとは不安だったのに、必要性にまで波及してしまう。
実際、meishiという4キーしかないマクロパッドで、
半田付けを練習してみれば、
失敗も込みで「大体わかった」になるのになあ。
数千円で失敗を買えるんだから安いもんだよね。
配列の話に戻すと、
現状維持バイアスを突破して新配列を習得する人は、
・ほんとに困っててなんとかしたい人
・既に配列を変えたことがあり、配列を変えることに不安を感じない人
の二つのパターンが多い。
自作キーボードでキーマップを変えることに慣れてくると、
文字配列にも興味が出てくると思うけど、
やはり不安が先に立ち、
「自分の用途はプログラミングで、そんなに日本語書かないし」
と現状維持バイアスをかけて、
沼の入り口から遠ざかろうとする。
言い訳は、不安の裏返しである。
対象Aを貶めたり、
現状Bを持ち上げるのは、
A
2021年03月31日
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