飛鳥配列の複雑さは一発で理解し難い。
しかし通りすがりさんの情報により、
かつての飛鳥のページのアーカイブを見ることができたので、
その成立過程の推測が出来るようになった。
記録に残る最初のホームポジションの8文字と左右シフト:
す と し か う い き た
わ ず よ で の じ ょ が ま ん そ ゅ ぎ な ね だ
上段が単打、下段の左右はそれぞれ左右シフト。
出典: https://web.archive.org/web/20030810111754/http://www.izu.co.jp/~wizard/key/kana1.html
新親指シフト飛鳥配列のページ
https://web.archive.org/web/20090429102833/http://shizuoka.cool.ne.jp/izubekkan/asuka.htm
理想の日本語配列を求めて
(伊豆時代のホームページとRayさんが言っていたものと推測。
ここから飛鳥配列が成立して、上のページに独立させたのだろう)
https://web.archive.org/web/20030817164423/http://www.izu.co.jp:80/~wizard/key/rayshiki.html
がそのアーカイブ。
この配列はまだ飛鳥配列の名がなく、
零(れい)式の名がつけられている。
Rayさんの名をとったわけだ。
これが最も若いバージョンかは不明だが、
ここから色んな飛鳥理論が発見され、
それを受けて、配列が複雑化していったのだと思われる。
当初からあった考え方は、
「特等席にはいいカナを」だろう。
その特等席がホームポジションの8キーであり、
この使用率を65%にあげたことが、
飛鳥のはじまりであったと考えられる。
最終的にはこの使用率がさらに上がり、
70〜80%くらいになったわけだ。
ついでに右小指の張り出しも使い、
おそるべき中段率の高さに繋がっている。
もう一度その初期バージョンのホームキーを見てみる。
す と し か う い き た
わ ず よ で の じ ょ が ま ん そ ゅ ぎ な ね だ
「ん」がシフト側なのに少々驚く。
清濁別置だが、す、か、し、たはまだ同置。
飛鳥の特徴は「です」「ます」を連続シフトで打てることだけど、
この時はまだそこまで頭が回っていなかったようだ。
つまり飛鳥の起源は、「です」「ます」を打つためにはなかった、
それは副産物であったことが明らかになった。
わたし、いう、きた、いた、したい、
などの中核になる言葉、
が、だ、で、とか、ので、です、ます、なので、だね、ですよ、ような、そう、
などの助詞を含む繋ぎになる言葉、
かい、がい、たい、だい、しき、とし、かん、がん、しん、じん、たん、だん、
のう、よう、そん、まん、ねん、
などの、漢語に使われる言葉、
しょう、じょう、しゅう、じゅう、きょう、ぎょう、きゅう、ぎゅう
などの、主に漢語に使われる拗音、
などがバランスよく揃っていることが解読できる。
飛鳥の特徴であるところの、
「運指がぬるぬる繋がる」は、
すでに最初期から考慮されていたことが、
明らかである。
つまりは言葉を打鍵塊として捉えようとしたことが、
飛鳥のはじまりであったのかもしれない。
それまでの配列はカナを単文字と考え、
それらの出現頻度と指の分布の考慮が精々(親指シフト)であった。
そうではなく、
「ある言葉を優先的に打ちやすい運指の塊にする」
ことが、指のつながりを生み、
打鍵塊単位での打鍵を可能にしたのだろう。
そして、
重要な言葉とはなんぞや、
打ちやすい位置とはなんぞや、
左右交互とアルペジオとどっちがいいのか、
重要な繋がりとはなんぞや、
などを求めて、飛鳥はここから長い旅に出たのだと思われる。
僕が配列をなんとかしようとはじめた時、
すでに飛鳥は完成していたように思う。
リアルタイムのことを知らない僕は、
だから大変興味深い。
ちなみに飛鳥の最終版は、
き し う て ん い か た
だ わ あ お が な ば ら る く す の ま こ で そ
となり、初期バージョンをベースに煮詰めたことが、
朧げながらも伺える。
ょゅは右下段に落ち、左に移動した「う」とともに左右交互打鍵になった。
ホーム段にはより頻度の高いものを配置できたわけだ。
(最終版を触った時、ゃだけ別位置になってることに疑問を抱いたのだが、
最初期からょゅだけを特別扱いしてたからだな、と理解できた)
僕が知りたかったのは、
薙刀式における「ある」「ない」「する」のような中核カナがあったのか、
芯があって雪だるまのようにしてきたのか、
であったが、
考え方や感覚のようなものを受け継ぎながら、
色々カナを動かしたのだな、ということがこの調査から判明した。
上にあげた資料を読み込むと、
・左から始まり右で終わる
・連続シフトで言葉を繋げる
・助詞は右側
・拗音は左→右のゃゅょ→左の「う」
などが根幹のアイデアになっていることが分かり、
これらを感覚的におさめるために、
飛鳥の配字が収束を続けたことがわかってくる。
飛鳥理論は複雑すぎて色々な所に囚われがちだけど、
煎じ詰めればこのへんになるのだな、
ということがわかって、
大変貴重な資料であった。
飛鳥の批判対象は、主に親指シフト、JIS、qwertyであったが、
当時としては、
明らかにこれを凌駕するオーバースペックであったことがわかる。
大袈裟なことを言えば、飛鳥こそが新配列の考え方の基礎をつくったのだ。
飛鳥完成前に、
我も我もと新配列が登場してきて、
飛鳥理論の一部は共用されたようにも思うし、
そうじゃない理論もたくさん出てきた。
それらの切磋琢磨の結果、
新下駄、蜂蜜小梅などの名作が生まれたのだろう。
配列図が文字化けしてるのが惜しまれる。
たぶんコードを変換すれば見れるかもだが、
文字の変遷を追うことにはあまり興味がなくて、
考え方の幹を知りたかったので、まあいいか。
Rayさんはご存命なのだろうか。
薙刀式を批評してほしいくらいだ。
昔のブラウザなら表示文字コードの設定などがあったんだけど、最近のブラウザにはないっぽいんですよねえ……
古い形式で書かれているだろうから、古いタイプの文字コードでも探すか、と思ってたけど、edgeにはないっぽい。
ちょっと別のブラウザでも見てみます……
(こうしておくと、いちいち指を離さなくて良いので楽です。もう、以前の環境には戻れません)
仮想PC環境上に環境を構築してあるので、この先いくつPCを乗り換えようとも、文章作成にはこの環境を使い続けるのだろうと思います。
ところで、最近は親指シフトに適した安価で良質なキーボードが少なくなった気がします。
自分のお気に入りは、サンワサプライのSKB-SL03です。
345、368あたりは後期の飛鳥の中でもちょいちょい聞くやつですね。
どの辺が他のバージョンと比べて良いのか、教えて頂くと幸いです。
門外漢からはどこがどう味が違うのかわかりにくいので…
エンターとBSは近いに越したことはないですね。
なぜみんなそれをやらないか理由が分からないくらいです。
(薙刀式ではU単打にBS、VM同時押しにエンターです)
SKB-SL03は昔ながらのきちんとした親指周りで使いやすそうですね。
自作キーボード、たとえばJISplitなら、親指に色々割り当てられて便利ですよ。(全てのキーがプログラマブル)
https://shop.yushakobo.jp/collections/keyboard/products/jisplit89
僕は今こっちの沼にいます。