2021年04月05日

例え話

何かに例えるのは比喩であり、
話をわかりやすくするための手段である。

どうすれば例え話がうまくなるだろう?


AをBで例えるとしよう。

まずAの抽象的な特徴を抽出する。
例として「大きくて硬い」だとしよう。

その抽象的な特徴を持っているBを探す。
冷蔵庫、岩、車、ビル、などだろうか。

そのどれが的確か?

Aの「それ以外の特徴」で決まるのだ。

Aが「電気を入れないと動かない」なら、冷蔵庫が適切かも知れない。
Aが「砕けないことはない」なら、岩が正解かも知れない。
Aが8人乗れる何かなら、バンが正解かもだ。

AをBで例えたとき、
AB共通する特徴だけでなく、
Bのほかの特徴で、Aを類推できないと、
例え話としては出来が悪いのである。


ある駐輪場がオブジェの形になっていて、
玉ねぎの形に似ていて、
通称玉ねぎと呼ばれている写真を見た。

しかしそれはあくまで「玉ねぎに形が似ている」に過ぎず、
玉ねぎのほかの特徴、
涙目になるとか、炒めると飴色になるとか、
血圧を下げるとか、犬に食わせちゃダメとかなどは、
駐輪場には存在しない。

だから形の話に過ぎず、機能の話にはならない。
だから「似ている」で話が終わり、
以降の例え話にはならない。


例え話が上手い人は、
特徴抽出がうまく、
その似ているところを探すのが上手い人のことだ。

子供の頃やった、「仲間を探そう」「仲間外れを探そう」
なんかが得意だった人かも知れない。

下手な人は、具体に囚われて抽象思考が下手な人かも知れない。
ざっくり言うと数学が出来ない人だ。


そしてもっと重要なことは、
たとえているBが、イコンになることである。
つまり、イメージが立っていて、独立してて、
キャッチーなことだ。

駐輪場を玉ねぎと呼ぶ例では、
玉ねぎという名称はかわいくて立っていてキャッチーで、
イコンになると思う。
駐輪場と玉ねぎという意外な組み合わせもいい塩梅だ。
だが、イコンにはなっても例え話にはならないので、
例え話としては落第なだけである。


抽象的な特徴が似ていること、
たとえたものBで、もとのAの他の特徴も類推できること、
そしてBがキャッチーで立っているイコンになること。

それらが揃わないと、例え話はやるだけ無駄だ。

また、Bの選択は、
「なるべく身近で見知ったもの」にすると良い。

男子にマスカラみたいなものよ、と言っても通じないだろう。
大阪人に浜村純みたいな、と言ったらわかるけど、
他の国の人には通じまい。

つまり、観客がどういう人か、どのようなことが身近か、
という空気感をわかってないと、
例え話は無効である。


例え話は、つまりは高度な表現である。

抽象思考が出来て、
キャッチーなたとえにたどりつき、
しかも観客の空気感を分かった上でなければならない。

例え話が上手い人を観察していると、
それらの高度な判断が出来ていることがわかると思う。
AIには出来ないことだ。
(過去の例え話の学習から、似た状況で過去のものを出してくることは出来るだろうが)
posted by おおおかとしひこ at 00:09| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。