何かに例えるのは比喩であり、
話をわかりやすくするための手段である。
どうすれば例え話がうまくなるだろう?
AをBで例えるとしよう。
まずAの抽象的な特徴を抽出する。
例として「大きくて硬い」だとしよう。
その抽象的な特徴を持っているBを探す。
冷蔵庫、岩、車、ビル、などだろうか。
そのどれが的確か?
Aの「それ以外の特徴」で決まるのだ。
Aが「電気を入れないと動かない」なら、冷蔵庫が適切かも知れない。
Aが「砕けないことはない」なら、岩が正解かも知れない。
Aが8人乗れる何かなら、バンが正解かもだ。
AをBで例えたとき、
AB共通する特徴だけでなく、
Bのほかの特徴で、Aを類推できないと、
例え話としては出来が悪いのである。
ある駐輪場がオブジェの形になっていて、
玉ねぎの形に似ていて、
通称玉ねぎと呼ばれている写真を見た。
しかしそれはあくまで「玉ねぎに形が似ている」に過ぎず、
玉ねぎのほかの特徴、
涙目になるとか、炒めると飴色になるとか、
血圧を下げるとか、犬に食わせちゃダメとかなどは、
駐輪場には存在しない。
だから形の話に過ぎず、機能の話にはならない。
だから「似ている」で話が終わり、
以降の例え話にはならない。
例え話が上手い人は、
特徴抽出がうまく、
その似ているところを探すのが上手い人のことだ。
子供の頃やった、「仲間を探そう」「仲間外れを探そう」
なんかが得意だった人かも知れない。
下手な人は、具体に囚われて抽象思考が下手な人かも知れない。
ざっくり言うと数学が出来ない人だ。
そしてもっと重要なことは、
たとえているBが、イコンになることである。
つまり、イメージが立っていて、独立してて、
キャッチーなことだ。
駐輪場を玉ねぎと呼ぶ例では、
玉ねぎという名称はかわいくて立っていてキャッチーで、
イコンになると思う。
駐輪場と玉ねぎという意外な組み合わせもいい塩梅だ。
だが、イコンにはなっても例え話にはならないので、
例え話としては落第なだけである。
抽象的な特徴が似ていること、
たとえたものBで、もとのAの他の特徴も類推できること、
そしてBがキャッチーで立っているイコンになること。
それらが揃わないと、例え話はやるだけ無駄だ。
また、Bの選択は、
「なるべく身近で見知ったもの」にすると良い。
男子にマスカラみたいなものよ、と言っても通じないだろう。
大阪人に浜村純みたいな、と言ったらわかるけど、
他の国の人には通じまい。
つまり、観客がどういう人か、どのようなことが身近か、
という空気感をわかってないと、
例え話は無効である。
例え話は、つまりは高度な表現である。
抽象思考が出来て、
キャッチーなたとえにたどりつき、
しかも観客の空気感を分かった上でなければならない。
例え話が上手い人を観察していると、
それらの高度な判断が出来ていることがわかると思う。
AIには出来ないことだ。
(過去の例え話の学習から、似た状況で過去のものを出してくることは出来るだろうが)
2021年04月05日
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