展開を考えるとき、どこを掘ればうまく行くだろうか?
展開というのは、前から順に展開するものもあれば、
「ここが気になるから、少し掘り下げてみよう」とやるところもある。
展開方向の違いだ。
時間の進む方向の展開と、
事実の進む方向の展開の違いというべきか。
掘ってみると、意外な面白いものを思いつくことがまれによくあり、
掘り下げることは、展開に面白さ、予想しなさをもたらすことが多い。
ただし、
「掘っても出てこねえな」というときもある。
早々に捜索を打ち切って、他を掘ったほうがいい。
で、どこを掘るべきか、事前にわかるのだろうか?
ということをみんな知りたいよね。
経験上、どこに鉱脈が眠っているかは、なかなか事前にはわからない。
まったく掘らずに当てることはたぶん無理だと思う。
「このへん掘ったら面白そう」という予測と、
「ある程度掘ってみて行けるかを判断する」
というトライアンドエラーが、
実際のところだろう。
予測は山師的なカンに過ぎない。
以前そうだったから、という成功体験に引きずられることもあるし、
以前そうだったから今回も当たった、ということもあるだろう。
なんとも言えない。
何が当たるかはカンしかない。
しかし、
「ここは掘るだけ無駄だろ」というのはいくつかポイントがある。
・思いつかないものを無理やり掘る
・興味のないものを掘る
これらはつまり、掘り続ける者(作者)の気力が途中で途切れるということだ。
思いつかなくても、知らないことでも、
しばらく考えたり調べたりすることで、
意外に思いつくこともあるのだが、
そもそもその体力がない分野は現実的ではない、
ということかもしれない。
(若いうちはなんでも掘ってみるといい。
意外な宝が出てくることもある。
また、掘っても出てこなかった失敗は、
次に掘るときのカンに寄与するようになっていく)
逆に、こういうところは掘ってみるといいかもよ、
というところは、
・本筋と関係ないのだが、気になるところ
・サブキャラであんまりメインで絡まない予定だが、
気になるので一応掘っておこうかというところ
・本編では使わない部分なんだけど、
自分で調べないと納得しない部分
ダンジョンで怪しいルートがあれば、
ちょっとつぶしておこうか、という感覚が近い。
とくに三つ目は重要で、
たとえば忍者がどういう日常を暮らしているかなんて、
忍者バトル漫画には必要ないと割り切ったのが、
原作版「風魔の小次郎」で、
そこを掘ってみたのがドラマ版だ。
そしてその日常パートは大変面白くなり、受けた。
あるいは、なぜ夜叉があれだけの数の忍者を保てているか、
という問いから、黄金剣を所有しているから、
という新しいアイデアにつながった。
掘ってみてよかったわけだ。
掘ってみることは、
子供のような発想が必要かもしれない。
「あれはどうなってるの?」と、親に聞く感じだ。
何かが気にならないと、掘ってみようとは思わないからね。
で、掘った末、
面白いものがあれば展開とすればいいし、
面白くならなかったなら、そっと閉じればいいだけのことだ。
展開というのは難しい。
この気になるところのディテールを考えよう、
と深堀りしてみると、何か面白いつながりなどを発見できて、
メインプロットが面白くなることがある。
(あるいは、その構造ができた時点で、
リライトでもっと掘ってみるとか、
最初に軽くしか触れずにミスリードするとか、
いろんなリライトが可能になるだろう)
注意するべき点は、
メインプロットより作者が面白くなってしまうこと、
つまり「メインプロットを考えるのがつらくて、
そっちを掘ることが作者の現実逃避になっていること」だろうか。
「ああ、今自分はメインプロットから逃げてるな」
という自覚とともに、
掘る行為を楽しむべきだ。
いい加減戻るべきだと感じるまでは、
自由に掘ったほうが面白いものが見つかりやすい。
親の目から離れたところこそ、自由な発想の源であるからね。
時間方向の展開を縦糸とするならば、
掘り下げる展開は横糸になりえる。
縦糸と横糸でストーリーを編むのである。
2021年04月10日
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