2021年04月08日

【薙刀式】プロに必要なスペックを逆算してみる

かつて「夏目はqwertyを使わない」として、
夏目漱石の文章の指の頻度をかな入力アナライザーを用いて分析してみた。
新配列の方が指の疲労度は自然で、
どちらかを選べとしたら、夏目はqwertyを選択することはないと断じた。

今回様々な文体を打って実地調査したことで、
じゃあ逆にプロユースにはどれくらいの性能が必要なのだろう?
と見積もってみる。


動画で見た、最も複雑な文体、
有島武郎、吉川英治、綿矢りさですら、
僕は1500字(変換後)/10分くらいの速度を出したいと思う。

1500は薙刀式に慣れた僕が、
ブログ程度の軽い文章を書くときの速度だ。
これくらいなら、目で読んでても遅くはない感覚を受けると思う。

ちなみに映画字幕は6字/秒と言われていて、
換算すれば3600という速度になる。
NHKアナウンサーは400字/分だそうで、
4000という数字だ。

これらに追いつくのは、
漢字変換作業を伴ういかなる方法でも無理だろう。
専門的なトレーニングが半年単位で必要で、
かつカナ入力と漢字変換を別の人間がやる、
2人がかりのリアルタイム字幕方式でも、
その集中力は一時間しか持たないらしい。

一日3時間から8時間執筆する、
プロの小説家には現実的ではない。
1500ですらピンポイントの速度だろうね。

そもそも日産文字数は、5000字あたりが平均だ。
時々1万や2万の化け物がいるが、
それは特殊能力じゃないかな。


ということで、目標を1500と見積もった。


ところで、ビジネスタイピングの一級は700である。
平均的なキーボードとqwertyが想定だろう。
僕は薙刀式と自作キーボードで、
二倍の下駄を履けた計算になる。

ちなみに日本人のブラインドタッチ率は3割程度だから、
多くの人は700に届くまい。
500くらいだろうか。
このあたりが僕がサイトメソッドで打ってた速度で、
それでも他の人より速かったので、
普通の人は400と見積もってみるか。

つまり、
ざっくり言うと、
ビジネスタイピングは普通の人の二倍速く、
僕はビジネスタイピングの二倍、普通の人の四倍速い。

このあたりがプロの要求する速度領域と仮定する。

ラノベ文体ならこの辺に来れることはわかった。
しかしプロの小説家の文体というのは、
IMEいじめになることは間違いない。


そもそも芸術というのは、
「他の人がしないことをすること」である。

一方IMEの変換候補や、構文解析や、
登録されている単語のバラエティは、
統計的平均的な日本人像を想定している。
Google日本語入力は更に極端で、
ビッグデータに収束していくわけで、
つまりは平均的な文章が最も効率的で、
そこから離れれば離れるほど非効率になるように出来ているわけだ。

タイピング効率化のための、
たとえば辞書登録テクニックなんかを見ても、
「自分がよく使う単語を登録しよう」が基本になっている。

プロとは「前と同じ言葉を使わないこと」が常識なので、
「自分がよく使う単語」などあってはならないのだ。

あるジャンルを書いたら、次はまったく違うジャンルを書く。
それがプロの鏡である。
同じことを書くのは停滞であり、プロの死である。

ということは、
IMEの原理自体が、プロの道具として問題があるのでは?


そもそも平均的な文章を効率よく書けるためというのは、
お題目に過ぎず、
実際の台所事情はコストダウンの筈だ。
上の方を削ってボリュームゾーンに合わせることが目的で、
「なるべく高みを目指す」ことにはない。

一方プロは、平均を脱して高みを目指す事が仕事だ。
プロがデジタルを使う意味は、そもそもないのかもだ。


プロが使うIMEに、ATOKがある。

平均像に実力をスケールダウンさせることなく、
「どんな日本語でも書けるようにしよう」
という貪欲な時代のIMEの末裔だから、
ひょっとしたら高みを目指せるかも知れない。

なにせ有料なので未体験であるが、
それが複雑な文体、変換候補に出づらい単語を、
うまく変換していけるのならば、
有島武郎や吉川英治や綿矢りさは、
ATOKを使うべきかも知れない。

なにせ、ラノベ文体と違って、
複雑な文体は速度が半分に落ちる。
せっかくの薙刀式も効果が薄くなってしまう。


大体のファクターを整理すると、以下のようである。

ブラインドタッチ: ×2
薙刀式と自作キーボード: ×2
複雑な文体: ×1/2

プロ用IMEが、×2ほど、MS-IMEより効果が高ければ、
有島武郎や吉川英治や綿矢りさが、
薙刀式を用いて1500出せるということになるだろう。

普通の人のサイトメソッド400からスタートして、
どこに注力するかだと思われる。
辞書登録が×2のファクターがあるとは思えないし、
そもそもどんなにタイピングを頑張ったって、
IME操作のせいで、そんなには速度効率は伸びないと予測される。


ざっくり、
複雑な文体のqwertyローマ字者は400程度、
複雑な文体でサイトメソッドなら200程度、
と見積もれるか。

こりゃ、複雑な文体の人はデジタルを使う意味はなさそうだ。
町田康とか、大変だろうなあ。


プロとは、平均的でないことをする人のことである。
一方デジタルは、平均へ近づこうとしている。

高みを目指すなら、デジタルでも別のことをしなくてはならない。
デファクトスタンダードを越えなければならず、
その技術力を得ることが、
小説家になることとはとても思えない。


ということで、
薙刀式を使うといいよ。(そこか)
現状一番考えられたもののひとつだからね。

×1/2のファクターを、
これから考えていかなければならないと、
強く感じた次第である。
posted by おおおかとしひこ at 13:25| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。