2021年04月30日

【薙刀式】指の間からこぼれてゆく

Adobeのイラストレーター上では、
テキストを打つとたまにDvorakJが効かなくなることがある。
不安定なので一旦オフにしてqwertyローマ字にしたら、
こんなにひどい配列だったのかと再認識した。


ショートストーリーをイラレ上で書く、
というモノなのだが、
こんなことなら別のエディタで薙刀式で書いておき、
コピペするんだったと後悔するくらいひどい。

レイアウトを整えながらイラレで文章も書こう、
なんてズボラをして、余計にドツボにはまるパターンだなこれ。


qwertyローマ字は、
指から言葉がどんどんこぼれていく。

せっかくの溢れる情熱が、
指が追いついていないが故に、
どんどんどこかへ消えてしまう。
かろうじて書き留めた言葉は、
とてもじゃないが稚拙な言葉遣い。
幼児の辿々しいものだ。

夢を見て日記をつけようとして、
どんどん忘れてしまい悔しくなる感じに似ている。
あの豊かなものに対して、
手元に残るのはわずかな感じ。


速度だけの問題ではなさそうだ。

脳内発声がめちゃくちゃノイズになる。
うるさくてアイデアを圧迫する。
手元のライトが眩しくて、遠くが見えない感覚になる。

接続の悪さがノイズになる。
薙刀式なら数文字単位でIMEに流し込むはずが、
カナ単位でしか放り込めない。

たとえば「これから」を一単語として打てない。
koreまでは一連で打てても、
karaで手間取り、kore/ka/raと三つくらいに段階が割れてしまう。

そしてこの手の忙しさは、「これ」という言葉の手軽さとは異質だ。

薙刀式なら「これからどうする?」を一塊で打てるのに、
kore/ka/ra//dou/su/ru/?
くらいに7つくらいの塊になってしまう。
//は一拍指が止まる感じのところ。
僕は3塊くらいで疲れてしまうようだ。

(ちなみに薙刀式では、()を同時打鍵、JK+をJKを押しながら、
で表記すると、
V/F.(DJ)LOI JK+D
だ。?は「?確定」なので、そのまま次にいける。
この運指なら一塊で打てる)


7:1以上離れたストレス差か。
習熟度の差もあるが、これはつらい。

ここで手間取っている間に、
その先に待機した文は、指の間からこぼれて、
永遠に失われる。

頭の速度に指がついていかない。
指が遅いし、手数を増やさないといけないし、
ものすごく遠回りしている感じ。


結局、その稚拙な文体を洗練させるために、
何度も何度もリライトしなければならなかった。
編集モードはないし、
普段の10倍とか20倍かかってしまう。

ああ、ここをうまくショートカットしてるんだなあ俺、
ということを把握できたのは大きい。


qwertyローマ字から薙刀式に切り替えると、
20倍くらい得します。
ファクターが足し算で効くんじゃなくて、
掛け算できいてくる感じ。

このやり方二度とやらんとこ。



創作というのは、波に似ている。
常にあるわけじゃなくて、
溜まって溜まって、一度に押し寄せて、
「あ、今なら書ける」という瞬間がある。
それはそんなに持続せず、
すぐに去ってしまう。

レストランでアイデアを思いつき、
メモする紙がなかったので、
テーブルクロスにサインペンで書きまくり、
それを買い取ったという話は有名だ。
それくらい、
「書けるという感覚はすぐに過ぎ去る」
のである。

秒のタイミングがずれるともうダメだな、
というのがこれまでの僕の経験だ。

テーブルクロスとサインペンのほうが、
qwertyよりマシだということが、
今回やってみてわかった。
こういうときは手書きにしよ。たとえ目の前にパソコンがあってもだ。


逆にこれを防ぐために薙刀式があるわけで、
薙刀式の効用は、不便を感じることで明確になるなあ。
「普段の便利」って、不便と比較しないと分からないものだね。
幸せは不幸になってから気づくのね。
posted by おおおかとしひこ at 08:17| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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