Adobeのイラストレーター上では、
テキストを打つとたまにDvorakJが効かなくなることがある。
不安定なので一旦オフにしてqwertyローマ字にしたら、
こんなにひどい配列だったのかと再認識した。
ショートストーリーをイラレ上で書く、
というモノなのだが、
こんなことなら別のエディタで薙刀式で書いておき、
コピペするんだったと後悔するくらいひどい。
レイアウトを整えながらイラレで文章も書こう、
なんてズボラをして、余計にドツボにはまるパターンだなこれ。
qwertyローマ字は、
指から言葉がどんどんこぼれていく。
せっかくの溢れる情熱が、
指が追いついていないが故に、
どんどんどこかへ消えてしまう。
かろうじて書き留めた言葉は、
とてもじゃないが稚拙な言葉遣い。
幼児の辿々しいものだ。
夢を見て日記をつけようとして、
どんどん忘れてしまい悔しくなる感じに似ている。
あの豊かなものに対して、
手元に残るのはわずかな感じ。
速度だけの問題ではなさそうだ。
脳内発声がめちゃくちゃノイズになる。
うるさくてアイデアを圧迫する。
手元のライトが眩しくて、遠くが見えない感覚になる。
接続の悪さがノイズになる。
薙刀式なら数文字単位でIMEに流し込むはずが、
カナ単位でしか放り込めない。
たとえば「これから」を一単語として打てない。
koreまでは一連で打てても、
karaで手間取り、kore/ka/raと三つくらいに段階が割れてしまう。
そしてこの手の忙しさは、「これ」という言葉の手軽さとは異質だ。
薙刀式なら「これからどうする?」を一塊で打てるのに、
kore/ka/ra//dou/su/ru/?
くらいに7つくらいの塊になってしまう。
//は一拍指が止まる感じのところ。
僕は3塊くらいで疲れてしまうようだ。
(ちなみに薙刀式では、()を同時打鍵、JK+をJKを押しながら、
で表記すると、
V/F.(DJ)LOI JK+D
だ。?は「?確定」なので、そのまま次にいける。
この運指なら一塊で打てる)
7:1以上離れたストレス差か。
習熟度の差もあるが、これはつらい。
ここで手間取っている間に、
その先に待機した文は、指の間からこぼれて、
永遠に失われる。
頭の速度に指がついていかない。
指が遅いし、手数を増やさないといけないし、
ものすごく遠回りしている感じ。
結局、その稚拙な文体を洗練させるために、
何度も何度もリライトしなければならなかった。
編集モードはないし、
普段の10倍とか20倍かかってしまう。
ああ、ここをうまくショートカットしてるんだなあ俺、
ということを把握できたのは大きい。
qwertyローマ字から薙刀式に切り替えると、
20倍くらい得します。
ファクターが足し算で効くんじゃなくて、
掛け算できいてくる感じ。
このやり方二度とやらんとこ。
創作というのは、波に似ている。
常にあるわけじゃなくて、
溜まって溜まって、一度に押し寄せて、
「あ、今なら書ける」という瞬間がある。
それはそんなに持続せず、
すぐに去ってしまう。
レストランでアイデアを思いつき、
メモする紙がなかったので、
テーブルクロスにサインペンで書きまくり、
それを買い取ったという話は有名だ。
それくらい、
「書けるという感覚はすぐに過ぎ去る」
のである。
秒のタイミングがずれるともうダメだな、
というのがこれまでの僕の経験だ。
テーブルクロスとサインペンのほうが、
qwertyよりマシだということが、
今回やってみてわかった。
こういうときは手書きにしよ。たとえ目の前にパソコンがあってもだ。
逆にこれを防ぐために薙刀式があるわけで、
薙刀式の効用は、不便を感じることで明確になるなあ。
「普段の便利」って、不便と比較しないと分からないものだね。
幸せは不幸になってから気づくのね。
2021年04月30日
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