2021年05月01日

【薙刀式】統計主義と構造主義

配列のつくりかた、その哲学については大きく二種類に分かれると思う。
統計主義と構造主義と命名して議論してみる。


統計主義は、
単文字頻度や連接頻度の統計に基づき、
「打ちやすい運指によく出る連接を」
という考え方に基づいたものだ。

統計をどう取るかの異同はあるにせよ、
大数の法則で平均的に得をすると考えるわけだ。

その最右翼は新下駄だろう。
飛鳥は統計頻度至上主義ではないが、
感覚的な連接頻度を配列に反映している。

新JISは、連接しにくいグループ二つにわけて、
それを左手、右手に振ったことで、
左右交互を中心とした統計主義的仕上がりになっている。
(親指シフトも一部そういう作り方のはず)

計算配列もそうだろう。
ただ連接頻度を考慮に入れる場合、
「どの運指を良いとするか」の評価関数が難しいため、
ベストであるという保証が出来ないだろう。
計算をベースにして、
あとは人力で評価調整してスタイルが最近の流行り
(いろは坂など)かもだ。


一方の構造主義は、
「日本語の構造を、配列の構造(運指の構造)に、
反映させよう」という立場だ。

薙刀式はその最左翼かな。
日本語の言葉の本質は「ある」「ない」「する」
であると勝手に定めて、
それをアルペジオ核にするところから始めている。

最初の音「あ」が右人差し指ホームにあるべきと考え、
BS、エンター、句読点、候補選択、分節選択伸縮を、
人差し指で扱うように考えている。
語尾を右手、助詞を左手にしたり、
主格の格助詞は人差し指(どうしても無理なものは中指)など、
構造的なことに重きを置いている。
それは僕の「言葉の空間把握」みたいな感覚を優先したからかもだ。

飛鳥でもそれはある程度意識されていて、
「ここぞという言葉を優先して良運指にする」
という哲学が貫かれている。
(問題はその「ここぞという言葉」がなんなのか、
部外者からは分からないことだ…)


もちろん、構造主義と統計主義は両立できる部分もある。
相反する要素ではなく、
どちらをどのへんで重視するか、というバランスだろう。


たとえば句読点をペアだと考えて構造的配置にする、
という薙刀式もあれば、
連接を重視して、句読点もひとつのカナ扱いして、
繋がりのいいところに配置する新下駄もある。
親指シフトの小指上段句読点は構造主義的に見えるが、
実のところは小指連打を避けるためのトリッキーな解決策であると考える。
そういう意味では統計主義的だ。

逆に新下駄は機能キーは親指や小指外に逃している
(親指の機能キーや右一列ずらしして真ん中に機能キーを持ってくるのは、
正式には新下駄には含まれないけど、
統合環境で考えると理解が進むと思った)のは、
構造主義的だなあと思うし、
良く使うエンターもBSもカーソルも文字領域にほうりこむ薙刀式や、
エンターやEscも文字領域にする飛鳥は、
統計主義的だなあと思う。

よく議論にのぼる「ー」は、
統計主義的には頻度がたいしたことないからマイナー位置でもよいが、
外国語にかぎって最頻出文字だから、
いい位置にしようというのは構造主義的だ。
(どこまでいい位置にするか、でバランスは異なる。
薙刀式では;単打とかなりいい位置に、
新下駄ではQ単打と単打の中ではよくない位置にいる)


指の感覚の差もあり、
何を良運指とするかにも差異はある。

薙刀式はJIを最強のアルペジオと考えてるが、
新下駄では逆のIJを優先していて、
単打「こう」、シフトを含む「よう」「どう」「○ょう」「○ゅう」
などに活用しまくっていて気持ちよさに寄与している。
飛鳥では段の異なるアルペジオよりも、
中段同士のアルペジオを良運指と考えていた形跡がある。


どこを構造主義的に考えているか、
どこは統計主義的に考えているか、
統計主義優先の部分でも、
運指の評価をどうしているか、
などによって、
配列を横断的に見ていくのはおもしろいと思った。


薙刀式が出てきたとき、
これまでのカナ配列とは異質の原理に基づいたものが出てきた、
ような感覚があったかと思う。
それは統計主義的な界隈に、
構造主義的な一石を投じたからではないかな、
と理解してみた。

使う音二音(+濁点半濁点)を同時押しして拗音を作ったり、
濁音、半濁音、小書きを同時押しするキーを変えて同置にする、
などは構造主義的な考えだと思われる。

しかし統計を無視しているわけではなく、
もちろん良く使う連接はいい位置にしたり、
指の頻度を考えられているわけで。

統計主義は新配列の基礎になる考え方だから、
そこにどのように構造主義を割り込ませていくのか、
その度合いの問題かも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 10:45| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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