人はストーリーを線で記憶できない。
点でしか記憶できない。
これは僕の仮説だ。
もう少し具体的に考える。
ストーリーとは問題の解決である。
つまり、
事件の発生、
解決までの展開、
解決の理屈(どうやって解決したか)がある。
そこにいろんな人が出てくる。
その人には登場時の第一印象がある。
そしてその人なりの事情がある。
多少それらが前後したとして、
大体これらの要素をならべると。
第一印象、事件の発生、事情、解決までの展開、解決の理屈、
名場面、登場人物への印象
あたりの順でものごとが描かれる。
途中途中に名場面が何度か挟まれるに違いない。
で、事件を解決し終え、
それを解決した人(たち)に好印象やねぎらいの感情を抱いて、
物語というものは終わる。(ハッピーエンドの場合)
で、記憶というのは、
これらを一つ一つ繋げて覚えられず、
バラバラに記憶するというのが僕の仮説だ。
なんなら、
間のものを全部飛ばして、
入り口と出口で記憶する。
つまり登場人物の第一印象と、
ラストの登場人物の印象だ。
この二つが繋がり、同居して、
「はじめは○○だと思ったけど、
最後には○○になって、よかった」
と圧縮されるのではないか?
これと主役俳優がリンクされて、
たとえば
「松坂桃李が、
はじめは尖った嫌なキャラだったんだけど、
最後には優しい頼れる人になってて良かった」
という具体的な記憶となる。
そしてそれがさらに忘却曲線をすすむと、
「松坂桃李は良かった」
まで圧縮される。
そしてそれがさらに進むと、
「松坂桃李好き」か、
「あの映画は良かった」
まで圧縮される。
具体的人物への印象の方が記憶として残りやすいから、
人=「好き」だけが残るという仕組みだ、
というのが僕の仮説である。
こうして、
ストーリーが良かったのに、
俳優が得をする仕組みになっていると僕は考える。
同時に、ストーリーの作者=脚本家は評価されづらい仕組みになっていると。
だからかつては脚本家に俳優よりも高いギャラで報いたものだが、
最近はどうなんだろうね。
「人気俳優に客がつく」
というビジネスモデルになってから、
実態以上に俳優女優が持ち上げられすぎたかもしれない。
人間はストーリーを記憶できない。
それは最終的に登場人物への記憶に圧縮される。
さらにそれは中の人(=タレント)への印象に圧縮される。
このように考えると、すべては分かりやすい。
なぜ人気俳優を集めた映画が100%成功しないのか?
人気俳優たちが人気がなくなったから失敗した、
わけではないのにだ。
2021年05月11日
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