2021年05月09日

【薙刀式】指とキーの距離

おそらく僕が3Dキーキャップで目指していることは、
「すべての指とキーの感覚を、等距離に」
ではないかと思った。


指はキーボードの形をしていないし、
一生キーボードの形にはならない。

だから運指の工夫で、
「まるでキーボードの形に指がなっている」
ように動かす。

そこに、無理と無駄があるわけだ。

TYが無理があるなら近づければいい。
下段キーが打ちづらいなら、打ちやすい形にすればいい。
小指が遠いなら、近い位置に動かせばいい。
指が立体的な軌道を描くなら、
その立体の位置にキーを配置するべきだ。

僕はつまり、
「指がキーボードの形になるのではなく、
キーボードが指の形になる」
ことを目指しているわけだ。


しかしこれがなかなかに難しく、
もう一年以上ぐねぐねといじっている。
最初に手を出した時から、
もう30回くらいは試作をプリントしている。
一回8000円くらいかかるから、24万くらいは使ったのか。むむむ。
ゆかりさんは3Dプリンタ持ってるからまだ試行錯誤が安く上がるかもなあ。
プリンタ買った方が早かったかもね。
(でもメンテとかやる気がしない)


で、具体的には何が最終目標なんだろう、
と考えた時に、
「指とキーの距離がすべて同じ」ではないかと思った。

手を自然に構えた時、
右手ホーム段で考えると、
HJKL;が、各指から等距離にならないか?
それと、親指と親指キーの距離も、
という要求だ。

平面キーボードでそうならないことは、
各指のたわみが違うことや、
そもそも各指で同じ箇所がキーに触れていないことから明らかだ。
指の同じところが当たりたい(指紋の中央部)し、
各指が自然に動いた時に、
同じ距離感でホームキーを押したい。

中指や人差し指は大きめに動くし、
小指は少ししか動かない。
客観的な距離ではなく、
主観的な距離が同じであるように、
いろんなことを調整したいのが、
最終目的なのだなあ、と思う。


それは、デファクトのキーボードでは不可能だ。
平面キーボードでも不可能だ。

立体化にはいくつかの障壁があり、
僕は3DPCBの手間を避けるために、
平面PCB+立体キーキャップのアプローチを取っている。

ゆかりさんは、
「指の第二関節を曲げた状態が基準」と言っていた。
これはキネシス以来の、凹型キーボードの原理だろう。

僕は、
「球を掴んだような形が基準」と考えた。
手の自然な形はこれで、
第二関節を曲げて指を突き下ろすのは、
そもそも人類にとって不自然であると考えた。

球を掴んだような形から、
上中下段、人差し指伸ばし、親指が、
等距離になっていると、
最高に使いやすいはずだと考えた。


それは1mm以下、1度以下の単位での調整が必要だ。
なかなか正解がわからない。
あるキーを変えただけで全部を変える必要も出て来る。
影響力のあるキーは、
JK親指あたりだが、
Nを変えるとKも変えたくなる、みたいな関係性がある。


最近まとまってきた3Dキーキャップではあるものの、
なんだか微妙なところが違う。
各キーがちぐはぐな感じがした。
ある手の置き方で心地よいところと、
別の手の置き方で心地よい部分がある。
なんだかつぎはぎっぽいのだ。

油粘土で微調整するアイデアは、
この微妙さにかなり効果的で、
あっという間に正解へたどりついた。

手の感覚をベースにまとめるのが一番だからね。
(CADは見た目と数字しかなく、触れない)

で、やっと最終のOK基準が、
「指紋部分で打てて、しかも全キーが指から等距離」
という感覚なのだということがわかってきた。

もちろん、Jと、UMは等距離にはならないけど、
中段と上下段は等距離に整えるとかそういうこと。

でも、各指は長さも回転角も、実はついている角度も違う。

だから、客観的な等距離(格子配列がその例)ではなく、
主観的な等距離をつくっている。


サドルプロファイルはひとつの到達点だが、
違う形ならもっと踏み込めると思ってコツコツやっている。
昨日発注かけたやつはかなり自信作だが、
触ってみるまでわからないのがキーボードだ。


ピアノの教本を見ると、
「すべての指を分離できるように」
「すべての指をひとしく使えるように」
「すべての指の粒をそろえるように」
という目標がある。

僕はその逆で、
「そのそろってない指が、
そろっているように感じるキーボードで、
結果的にそろう」
が目標だなあ。

もちろん耐久性や器用度にばらつきがあるから、
それを論理配列薙刀式でコントロールすればいいのでは、
と考えている。
posted by おおおかとしひこ at 18:44| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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