2021年05月26日

n人の綱引き

簡単な形のストーリーは、
2人の間の綱引きである。


AとBが綱を引き合う。
強い方が勝つ。

それだけじゃワンサイドゲームで詰まらないので、
シーソー展開をつくる。

それだけでも飽きてしまうので、
大逆転展開にする。

勝ちそう、負けそう、勝ちそう、
いや負けだ、絶望的な負けだ、
あれ、これなら勝てるのでは?
大逆転だー!

という風にだ。

このシーソー的な綱引きは、
主人公と敵の間で行われる、
メインコンフリクトの筋書きを示している。

最初は負けそうだけど、
チャンスで勝利を拡大して、
徐々に勝利の確率を上げるが、
シーソー的な展開で大敗を喫し、
絶望的と思われたが、
真っ暗な中に逆転の希望を見出し、
ついには勝利する、
という展開は、
面白いストーリーのシーソーの雛形であると言ってもよい。

まずはこの王道を使って、
面白い展開をつくれるか、
というのが基本にして最終形だと僕は思う。

もちろん、
ワンサイドゲームや、
バッドエンドなどの変化球もあっても良いとは思う。


で、本題。

これだけではイマイチの時、
3人の間の綱引き、n人の間の綱引きにすると、
面白くなるかもしれないよ、
という話。

多体問題(3以上の物体に働く力学)は、
数学的に厳密解が解かれていない、
物理の難問である。
つまり、予測できない不安定さを持っている。
(カオス方程式で範囲予測くらいは可能だけど)

物理ですらそうなのだ。
ストーリーにおいておや。

メインのコンフリクトに、
読めない要素の三番目や四番目を入れて、
先を読ませなくすると面白くなるぞ、
ということだ。


三国志でいえば、
魏、蜀という二つの国ではなく、呉という国があることで、
力が拮抗して、
話が面白くなったことは間違いない。
n人参加型ゲームでは、
協力や裏切りによって、
簡単にゲームの流れが変わるはずだ。

つまり、ゲームプレイヤーを2ではなく3以上にするのである。
二点間の綱引きではなく、
三点以上の綱引きにすることで、
話を複雑に、容易に読めなく、
しかもドラマチックにすることが可能なのだ。

しかし簡単に想像できるように、
n人の綱引きは、
すぐに複雑になる。

三角関係ですら面白く描くのは難しい。
関係性がn(n-1)で等比級数的に増えていくからだ。

nが多い(たとえば5以上)になると、
誰が誰のことをどう思ってるのか、
などを整理することが難しくなり、
全部がお見合いしたまま話が進まなくなることうけあいだ。

そういうときは、
全体を2や3に割って、
メインどころを整理して、
2や3の綱引きに整理し直すのが楽であった。

もちろん、力量があれば、4以上の綱引きに挑戦しても良い。

簡単なn人の綱引きは、
全員を同じ力にしないことだ。
力の大小をつくっておき、
ある程度予測がつきやすくなり、
拮抗が破れやすいようにつくっておくことである。

小同士が協力して大を凌駕したり、
拮抗していた大が崩れた時に、
小の一撃でさらに崩れて雪崩になる、
みたいな展開をつくりやすいだろう。
あるいはプレイヤーの死によって、
綱引きの拮抗が崩れて、話が怒涛の展開になることもある。
ニュープレイヤーが綱引きを引っ張り直すこともあるだろう。


その場にプレイヤーは何人いるのか。
誰が場の支配力が強くて、
どれだけの勢力があるのか。

それらを設定して、面白いn人の綱引きを考えるのも、
なかなか面白いぞ。

二人の綱引きが書けるようになったら、
チャレンジしてみても面白いと思う。
posted by おおおかとしひこ at 00:19| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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