簡単な形のストーリーは、
2人の間の綱引きである。
AとBが綱を引き合う。
強い方が勝つ。
それだけじゃワンサイドゲームで詰まらないので、
シーソー展開をつくる。
それだけでも飽きてしまうので、
大逆転展開にする。
勝ちそう、負けそう、勝ちそう、
いや負けだ、絶望的な負けだ、
あれ、これなら勝てるのでは?
大逆転だー!
という風にだ。
このシーソー的な綱引きは、
主人公と敵の間で行われる、
メインコンフリクトの筋書きを示している。
最初は負けそうだけど、
チャンスで勝利を拡大して、
徐々に勝利の確率を上げるが、
シーソー的な展開で大敗を喫し、
絶望的と思われたが、
真っ暗な中に逆転の希望を見出し、
ついには勝利する、
という展開は、
面白いストーリーのシーソーの雛形であると言ってもよい。
まずはこの王道を使って、
面白い展開をつくれるか、
というのが基本にして最終形だと僕は思う。
もちろん、
ワンサイドゲームや、
バッドエンドなどの変化球もあっても良いとは思う。
で、本題。
これだけではイマイチの時、
3人の間の綱引き、n人の間の綱引きにすると、
面白くなるかもしれないよ、
という話。
多体問題(3以上の物体に働く力学)は、
数学的に厳密解が解かれていない、
物理の難問である。
つまり、予測できない不安定さを持っている。
(カオス方程式で範囲予測くらいは可能だけど)
物理ですらそうなのだ。
ストーリーにおいておや。
メインのコンフリクトに、
読めない要素の三番目や四番目を入れて、
先を読ませなくすると面白くなるぞ、
ということだ。
三国志でいえば、
魏、蜀という二つの国ではなく、呉という国があることで、
力が拮抗して、
話が面白くなったことは間違いない。
n人参加型ゲームでは、
協力や裏切りによって、
簡単にゲームの流れが変わるはずだ。
つまり、ゲームプレイヤーを2ではなく3以上にするのである。
二点間の綱引きではなく、
三点以上の綱引きにすることで、
話を複雑に、容易に読めなく、
しかもドラマチックにすることが可能なのだ。
しかし簡単に想像できるように、
n人の綱引きは、
すぐに複雑になる。
三角関係ですら面白く描くのは難しい。
関係性がn(n-1)で等比級数的に増えていくからだ。
nが多い(たとえば5以上)になると、
誰が誰のことをどう思ってるのか、
などを整理することが難しくなり、
全部がお見合いしたまま話が進まなくなることうけあいだ。
そういうときは、
全体を2や3に割って、
メインどころを整理して、
2や3の綱引きに整理し直すのが楽であった。
もちろん、力量があれば、4以上の綱引きに挑戦しても良い。
簡単なn人の綱引きは、
全員を同じ力にしないことだ。
力の大小をつくっておき、
ある程度予測がつきやすくなり、
拮抗が破れやすいようにつくっておくことである。
小同士が協力して大を凌駕したり、
拮抗していた大が崩れた時に、
小の一撃でさらに崩れて雪崩になる、
みたいな展開をつくりやすいだろう。
あるいはプレイヤーの死によって、
綱引きの拮抗が崩れて、話が怒涛の展開になることもある。
ニュープレイヤーが綱引きを引っ張り直すこともあるだろう。
その場にプレイヤーは何人いるのか。
誰が場の支配力が強くて、
どれだけの勢力があるのか。
それらを設定して、面白いn人の綱引きを考えるのも、
なかなか面白いぞ。
二人の綱引きが書けるようになったら、
チャレンジしてみても面白いと思う。
2021年05月26日
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