2021年05月28日

優秀な話は、本筋から逸れない

つまりだめな話は、
すぐに脱線したり、本筋から離れていってしまう。


これが、
冒頭はうまく書けても、
続きがうまく書けず、
挫折してしまうことの理由である。

なぜ脇筋へ逃げたり、脱線してしまうのだろう?

本筋をどうやっていいか分からない、
本筋を解決するプレッシャーから逃避する、
本筋に飽きた、
などが理由だろうか。


実のところ、あなたが挫折したポイントまで、
観客はあなたの1/100以下の時間でたどり着いている。

あなたが挫折に数ヶ月かかったとしても、
観客はそこまで数十分だろうか。

もしそれまでがきちんと書けてて、
感情移入もできて、
この先に興味があり、
つまり焦点の維持が出来ているならば、
その本筋から外れる事は、
観客への裏切り行為である。

速く次を見せてくれ、という要求に対して、
あなたは次を見つけられず、
はぐらかしのために本筋から脱線して逃げたのだ。


これをせず、
本筋を面白く保ち続けたものだけが、
面白いストーリーになりえる。
しかしその難易度は、
ストーリーを始めることより何十倍も大変だ。

本筋から外れないためにはどうすればいいか?

これまでの要素の組み合わせだけで行き詰まったのだから、
新しい要素を入れて、
次を展開させるべきだというのは間違っていない。
その新要素がないと解決に導けないという直感自体は、
間違っていないと思う。

問題は、
「一見脱線してるように見えて、
実は本筋を行ってますよ」と、
観客が理解して見守れるか、
という一点に尽きると思う。


たとえば新登場人物や新舞台が出てきたときに、
これは、ただ新しいのが出てきて展開してるだけなのか、
本筋のPをこれらが突破してくれそうだと、
観客が理解または予感出来ているか、
ということなのである。

大きな文脈/小さな文脈でいえば、
小さな文脈では、新登場人物や新舞台の話なのだが、
大きな文脈では、これは本筋のPの話である、
というように見えれば問題ないということだ。


問題は、作者自身がPと繋がりを持たないまま、
新登場人物などにうつつを抜かしている状態に、
陥りがち、ということなのだ。

二幕に至って急に挫折する理由は、
この脱線が脱線になってしまうからではないかと思う。

今目の前で繰り広げられているこれは、
本筋のPと関係あるのだな、
と分かるように、
展開させるべきである。

なんなら、誰かに言わせても良い。
「これ何のためにやってるんだ?」とね。
その時登場人物の誰かが、
「俺はPに繋がると思ってるぞ」と言える感覚に、
なっているかどうかなんだよね。

「え?Pなの?じゃあやるわ」
という軌道修正になっても良い。
それで本筋から外れていないようになるのならね。


とりあえず第一稿はそのように繋いでおいて、
リライトの時にもっとうまくPを意識させればいいだけのこと。


だめな話は脱線して帰ってこない。
面白い話は、脱線してるように見えて本筋を最短距離で走っている。
そのちがいだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:11| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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