2021年05月30日

【薙刀式】始画と終画

日本語を書く常識と、
メカニカルのタイピングの理想って、
噛み合ってなくね?という話。


日本語の文字には書き順がある。
書き順を忠実に守るのは漢字圏はそうかもだが、
その他の言語は詳しくないのでわからない。

なぜその書き順があるかというと、
文字を美しく書けるためである。
美しいというのは美観的な問題でもあるが、
読みやすくするためもある。

つまり書き順は、
文字と文字の区別をつけるために存在する。


さらに一画一画に分解すると、
日本語の文字は、
始めと途中と終わりがある。

始めはグッと力を入れて、
力をぬいて途中を通過して、
終わりは止め跳ね払いなどへつなげる。

一文字の中の書き順は、
これを一筆書きするように出来ている。
つまり、
始画をしっかりと打ち、
途中は次へつなぐように力を抜き、
一画の終わりは次へつながるように終わり、
また次の一画が始まり…
最後は止め跳ね払いなどで終わる。

つまり、一画と同じ力の使い方を、
一文字の中でやる。
これは、筆で発達した力の使い方である。

さらに文へ拡張しよう。

ある言葉の先頭文字の始画を、力を入れて書いたあとは、
言葉の切れ目になるまでサラサラと力を抜いてつなげて、
言葉の最後は止め跳ね払いになる。

言葉の単位は、単語でも文節でも文でも良い。
書き手の意識の途切れ目が、続け字の途切れ目で、
筆で書く言葉は、
つまり、文も一字も一画も、
同じ力の使い方で書く。

はじめにグッと力を入れ、
続けるときは力を抜いて続け、
最後はそれぞれに応じた終わり方をする。


僕が薙刀式で書くときは、
まさにこのような力の使い方をしている。

長年手書きでやってきたことも影響してるかもだ。
単語や節や文単位を、
はじめの画はグッと書き、
力を抜いて続け字、
ラストは文意に応じて。

タイピングでも同様に、
第一文字を底打ちするほど強く打ち、
間は力を抜いてアクチュエーションぎりぎりに打ち、
しかもアルペジオなどで繋ぐ感覚で、
終わり方は文意に応じて、
力を抜いたりガッと打ったり。

筆や手書きで書くような、
力の入れ方で打っていることに、
最近気づいた。


これって、
メカニカルキースイッチの、
理想のタイピングとちょっと違くない?
というのが本題だ。


メカニカルスイッチは、
2mmの深さにオンになる点、アクチュエーションポイントがあり、
2mmから4mmまでは本来打たなくていいポイントだ。
しかし車は急に止まれないから、
ブレーキの遊びとしての区間であろう。

だから、
「上手いメカニカルの打鍵」というものは、
最上が0-2mmの間だけをフワフワと漂うように半ば打ちすることで、
次善が0-4mmで底打ちギリギリで戻ってくることだ。
底打ちをガツンガツン打って行くなんて、
下の下の打ち方のはずだ。

ところが世の中のメカニカルスイッチの打鍵動画は、
底打ちばかりしている。

なんならその音にこだわり、
その音を改造でより響くようにしようとしているのが主流だ。
本来の設計とは違くない?

理想は黒軸の想定のように、
底打ちをせず半ば(60g)で止めてフワフワと打って行くこと。
しかし現実では、
赤軸底打ち(ボトム60g)で、カタカタと打っている。

これはへんだ。

変なのはどっちか?

設計を無視した、人の打ち方か?
人の生理を無視した、メカニカルの設計か?


僕は、
間違ってるのはメカニカルの設計では?
と最近思うようになった。

メカニカルは、タイプライターというか、
英語のブロック体みたいな感覚では?
と思うのだ。

英語にも筆記体、つまり日本語の続け字のような文化があったが、
今の外人はほとんど出来ないのだそうだ。(要出典

つまりブロック体しか書けない。
だったらタイプの方が楽、
という主張はすごくわかる。
つまり英語という言語は、
筆記体を失った時点でタイプに負けたのかもね。


で、大元の、
日本語の書き方、
薙刀式の打ち方に立ち返るわけである。

僕がずっと板バネに注目してるのは、
万年筆のような、
文字を書く生理に近いからでは、
と思っているからだ。
板バネ式の純正親指シフトキーボードを触ったとき、
ペン先を感じた記憶がある。

万年筆のようにバネ機構を持たないボールペンや鉛筆でも、
実はバネを使っている。
「紙という弾性体」で、だ。

万年筆には合う紙と合わない紙がある。
厚みや滑り感で決まる。
そこまで拘らなくとも、
ペラペラの紙は書きにくく、
やや分厚い紙の方がボールペンや鉛筆が乗りやすいことは、
経験的に知ってることだよね。

僕は、
こんな風にタイピングで文字を書きたいと考えている。


で、実質そんなものがないので、
メカニカルで、始画をガツンと打ち、
間を抜いた力でアルペジオして、
終画は文意に応じてガツンと力を入れたり抜いたりしている。

果たしてこれが、
メカニカルのポテンシャルを十二分に生かしてるのかなあ、
などと疑問に思いながら。


音でいうと、
日本語や薙刀式は、ガッ、ぬぬぬぬ、すっ、みたいに書く。
メカニカルの理想は、ぬぬぬぬぬだ。
タイピング動画のほとんどは、ガガガガガガだ。


キーボードは、
もっと日本語を書くように打てるべきだと思っている。
ないならつくるのみだ。


とりあえず、
「今のエンドゲームスイッチ」が出来た。
写真を整理中なので、まとめたらまた発表します。

それで2万字ほど打ってみたのだが、
今の自分の打鍵法に、
かなりついてきた感触を得た。
とはいえ所詮はメカニカル。板バネ式を自作できないものか…
posted by おおおかとしひこ at 12:58| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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