前記事の続き。
邦画や下手な洋画ポスターに最近多い、ブロッコリーは、
下手くそな乱交なわけだ。
ブロッコリーの初出は、
斎藤工のツイートだったと思うが、
見事なたとえだね。
重点がどこかわからず、
キャストたちのせいぞろいを、
ブロッコリーのように盛りつけただけの、
意味のない写真のことをそう言う。
つまり、下手くそな乱交だ。
焦点がどこかわからず、ぼやけているのである。
ブロッコリー写真は、
性的な絡みがあろうとなかろうと、
これらのメンバーが絡みます、乱交します、
としか言えていない。
だから、「どれも似たような感じ」でしかない。
人間の認識は、
「1、2、たくさん」である。
精々2.5の要素しか理解できない。
それ以上は「たくさん」としか認識しない。
乱交は、たくさんのたくさんだから、
イメージはぼやけ、アイデンティティはない。
どうしてこうなってしまったかはなんとも言えないが、
かつては集合写真でも主従がしっかりしていた。
対立する二人を中心に据えて、
周りに小さくその他の人たちをバランスさせていた。
メインどころのポーズやシチュエーションで、
その物語がどのようなものであるかを、
暗示しているのがそもそものポスターだと思う。
なんなら、主要キャストが存在しない、
「物語の本質を一枚絵で描いたもの」すらある。
ジョーズが有名だ。
海外のアートディレクションでは、こちらが尊ばれる。
つまり、物語は主題であり、乱交ではない。
邦画がブロッコリーになり始めたのは、
ダブル主演とか言い出してからでは?
映画資金を自社で賄わず、
製作委員会という名の投資家集団から賄うようになり、
物語性ではなくキャスト名で資金提供をするようになってからでは?
主役一人じゃ金が足りないから、
もう一人主役級をアサインして、
しかしどちらも主役級の扱いをしないと出ないぞ、
と事務所は言うから、
「ダブル主演です!」なんて詭弁を使うようになって以降、
銀行から金を引き出すために、
有名キャストを並べるようになって、
しかしどれもビッグネームだから、
ポスターに出さざるを得ず、
しかしビッグネームだから、
どれかを大きくすると事務所同士が揉めるため、
「全員同じ大きさのポスターにする」
という詭弁で逃げるようになったことが、
現在のブロッコリーにつながっているように思う。
つまり、ブロッコリーはキャスト表であり、
物語性の象徴ではない。
「これからこのメンバーが乱交します!」
というメンバー表に過ぎない。
野球で言うところのベンチ入り表でしかない。
「そこでどういう試合が見られるのか」がポスターであるべきだ。
ベンチ入りメンバー表は名前だけでいいだろ。
ちなみに、AVの乱交もののほうがしっかりしている。
たとえば「鈴村あいりvs58人」というAVのパッケージを見れば良い。
(アップは自重する。このタイトルで画像検索すれば色々出てくるよ)
58人のビジュアルは省略され、
エロい主役がドーンと真ん中にいるのみだ。
「人生初59P」というキャッチコピーが一番デカくあり、
コンセプトが非常に明快で、そそるようになっている。
ただ「すごい59P」でないところがミソで、
「人生初」と言われたら、
どんな体験だろうかと想像が膨らむからである。
非常に上手いコンセプトだ。
これは上手な乱交のポスターだ。
なぜなら、
「1、2、たくさん」のうち、
1が主役、2が「vs58人」、たくさんが「人生初59P」と、
すべての要素が記憶に残すことができるからである。
しかも58人のビジュアルを省略することで、
「どんな58人とのくんづほぐれつだろう」と想像させることに、
寄与している。
つまり、空間があいている。
あいているところに、我々は想像するのだ。
だから手に取り、裏返すのである。
邦画のブロッコリーは、
その裏側でしかないだろう。
乱交のぐちゃぐちゃでしかない。
それは記憶に残らない。
それは、下手くそなプレゼンテーションだ、
と言う話である。
n人の綱引きは、ともすればこのようなドツボに落ちるだけになる。
どことどこが対立軸なのかを、
整理することが重要だ。
そしてそうなってないぐちゃぐちゃは、
ブロッコリーポスターにしかならないだろう。
お暇ならレンタル屋のアダルトコーナーへゆき、
「乱交もの」の棚に行きたまえ。
(そこまで性癖別に分類してくれてるかはわからんが)
うーんどれも一緒だなあ、と思うのなら、
それはあなたの頭の中と同じかもよ。
もっと整理をするのだ。
整理は、たったひとつの魅力的な基準のもとに行われるべきで、
それをコンセプトという。
僕はAVよりも映画の方が面白く、文化的で、素晴らしいと考えている。
しかしほとんどの邦画は、少なくともポスターづらにおいて、
鈴村あいりvs58人に負けている。
じゃあAV見るわな。
2021年05月31日
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