2021年06月21日

中盤は、序盤でためたバネを使う

中盤はもっとも難しい部分だ。
序盤を利用できないか、と考えよう。
逆に、利用できるような序盤の振りをしておこう。


序盤に設定した部分があると思う。
まだ使っていないのがあるはずで、
あるならそれを使って何かを展開していくのだ。

主人公にある設定が付与されたなら、
それを使えないか考える。
場所の設定を使って展開できないか考える。
人間関係の何かを使えないか、考える。

逆から考える。
何が設定されていれば、
この先の展開がやりやすくなるかを考える。
今それをあらためて設定すると
「あとづけ」という大変かっこわるいものになるが、
それを序盤でしこむようにリライトすればよい。

展開とは、
設定なしにすすむことが出来るすべてのもの、
と定義してもいいかもしれない。

だから基本的には、
設定→展開→設定→展開……
と自転車操業になるものである。

速い展開というのは、
設定を一々しなくても済む、
これまでの設定を使って、
ただ展開だけをできる一連の部分を言う。
無呼吸自転車操業、みたいなことか。


設定とは、観客が聞いていないすべてのことだ。
「あそこに分かれ道がある」でもいいし、
「ここは東京」でもいいし、
「あいつは怒りっぽい」でもいい。
なんでもいいから、
「聞いてないぞ」となるのはすべて設定である。
だから、細かい設定から大きな設定まで、たくさんあるわけだ。

展開に困ったら、
小さな設定をして、
それと前のものを組み合わせて展開させていくことが、
まれによくあると思う。
それが小さな自転車操業だ。

そうでなくて、
あとで使うものを、
あらかじめうまく設定パートに入れ込むことで、
あとあとの展開をスムーズにしていくべきである。


この設定を上手にできないと、
なんでもかんでも設定することになってしまい、
非常に冗長な設定部になる。
ただ設定を並べられて退屈なパートになってしまう。

理想の設定パートは、
設定と展開が同時になされている部分で、
展開が設定に、設定が展開になるようなことだ。
つまり、
設定されていると観客が感じられないものが、
理想の設定である。


だから、
あとあとの展開を考えるならば、
設定を先にしこんでおくことは、
非常に重要なパートだということになる。

リライトでも一幕のリライトが一番分量が多く、
時間がかかるものだ。

それは、あとで使うものをどううまく入れ込み、
かつ退屈しないものに整えるか、
ということがいかに難しいかの証拠だ。



感覚的には、
ばねをしこむようなものだと僕は思う。


ばねをしこんでいないと、
そこから跳ねられない。
序盤でためこんだばねを、
中盤のここで開放する、
と計画的にやらないと、失敗する。

ここはあとで使うばねなのだ、
ということをあらかじめわかったうえで、
序盤を書く技能は、
とても計画的でなければならない。

で、その計画をプロットというわけだ。

プロットがなくても書ける人は、
天性でばねの仕込みをわかっている人ではないか。
プロットが破綻しがちな人は、
そもそもばねの仕込み方が下手な人ではないか。


もちろん、終盤では、
序盤から中盤まですべてしこんだばねを、
最大に開放してカタルシスを得るわけだ。
その開放計画こそが、プロットであるともいえるだろう。

複雑なばねのたわみと開放のペアを、
どのように面白くつくっていくか。
シナリオはパズルに似ていると僕は思っている。
posted by おおおかとしひこ at 00:21| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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